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回顧録ーMemoirs of the 1980sー

激動の80年代、荒れる80年代。
ヤンキーが溢れる千葉の片田舎で、少年たちは強く逞しく、されど軽薄・軽妙に生き抜いた。
パンクロックに身を委ね、小さな悪事をライフワークに、世の風潮に背を向けて異彩を放った。
これは、そんな高校時代を綴る回顧録である。

本編では書かなかったことが、
まだどこかに散らばったまま残っている。

若い頃の話もあれば、
中年になってからの出来事もある。
笑える日もあれば、
胸の奥が少し痛む夜もある。
時系列も関係なく、
ジャンルも統一されていない。
ただ、そのどれもが
“俺の人生のどこかに確かにあった時間”だ。
ここには、
こぼれ落ちた断片たちを
気ままに拾い集めた記録を残していく。

 

NHKの集金

 

離婚して西船橋で再出発した頃の話を書いたけれど、

あの頃よりもっと若い、

23歳くらいの頃のどうでもいい話をひとつ。


俺の家でエーイチとアッキョと3人で酒を飲んでいたら、

突然ピンポンと呼び鈴が鳴った。

 

玄関を開けるとNHKの集金だ。

払う気なんてないので

 

「ちょっと待ってて」

 

と言ってドアを閉め、

そのまま放置して飲み続けた。


しばらくするとまたピンポン。

今度はエーイチが出た。

 

「お父さん、集金だよ」

 

と言ってドアを閉めて戻ってきた。

意味がわからないが、エーイチらしい。


またピンポン。

今度はアッキョが出る。

 

「俺はロックンローラーだからよ」

 

と言い放ち、ドアを閉めて戻ってきた。

これも意味不明だが、アッキョらしい。


その後、

ピンポンが鳴ることはなかった。


ただそれだけの話なんだけど、

3人の“らしさ”が全部出ている夜だった。