あの夏の夜、俺たちはなぜか湘南を目指して走っていた。
オンボロ車にラジカセ爆音、窓全開、怪しい3人組。
潮風とパープルレインが混ざり合う中で起きた、
ちょっとバカで、ちょっと惜しくて、忘れられない一夜の話だ。
ある夏の夜、俺とエーイチ、そしてオガワ君の3人でドライブに出かけた。
この組み合わせは珍しいし、行き先が湘南ってのもまた珍しい。理由は忘れた。
俺の車はオンボロで、クーラーなんて付いてない。
カーステレオも無いから、いつもラジカセを積んでフルボリューム。
窓は全開、乗ってるのは怪しい3人組。
そりゃあ警官にもよく止められた。
でも酒も違反もしてないから自信満々。
「おっ、巡査さんですか、ご苦労様です」なんておちょくってた。
ムキになって車内を探しても何も出てこない。ほんとご苦労なこった。
その頃はプリンスが売れてた時期で、
パープルレインを爆音で流しながら、
エーイチは窓からケツ出してフリフリしてた。
プリンスといえばケツ出しだしな。
あれ?もしかしてクイーンのフレディのつもりだったか。まあどっちでもいい。
そんなこんなで湘南のどこかの海岸に到着。
砂浜を歩き、防波堤にひょいと登って腰を掛け、ビールをプシュ。
男3人でくだらない話をしていると、
どこからか女の子3人組がやってきて声をかけてきた。
「そっち行っていい?登れないから手貸してよ」
と言うので、上から手を握って引っ張り上げてやる。
「ビールちょうだい」
「もうねーよ」
「それでいいよ」
そう言って、呑みかけのビールにそのまま口をつけてきた。
おっと、こりゃいい展開じゃん。
3対3、ちょうどいい。
盛り上げて、むふふ……なんて企んでいたら、オガワ君だ。
「面倒くせーから行こうぜ」
そう言って立ち上がり、勝手に歩き出す。
あーあ。
女の子たちも「あっそっ」と言って、別のグループの方へ行ってしまった。
まったくもう、オガワ君ったら硬派なんだから。
困ったもんだね、参ったね、残念だね。
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