「そーいやさ、アッキョは呼ばねーでいいのか」
するとエーイチが言った。
「最近、あいつの下品さには愛想尽きたってゆーのかな。
まー、あいつも女に逃げられたとか、仕事もうまくいってねーとかよ。
イライラしてんのはわかるんだけどよ、荒れすぎなんだよ」
「かわいそうだと思って呑みに連れてってやればよ、他の客の女にちょっかい出してよ。
そりゃ揉めるの当たり前じゃん。挙句にゃ喧嘩おっぱじめやがってよ。
それが1度や2度じゃねーんだよ、毎回だぜ。さすがに俺だって嫌になるわ」
「それでもよ、付き合い長いわけだし、何とかしてやりてーとは思うんだけどな。
あいつも何かっつーと俺に頼ってきやがるだろ。
そーやって俺がいつも甘やかしてると、あいつは調子乗るんだよ。
そんで益々ダメになると思うんだよな」
「ここはちょっと冷たくしてな。
あいつにも“世の中甘くない”ってかな、世の中の厳しさを教えてやらねーとな。
俺だってこの先どーなるかわからねーんだし」
とまあ、話はわかるんだけど。
「でもよー、今はそんな場合じゃねーべ。アッキョ呼び出そうぜ」
ということで電話すると、アッキョはすぐに飛びついてきた。
「おう、行く、行くよ! そんで誰がいるんだよ? エーイチ君もいるの?」
わはははは。「エーイチ君もいるの?」だってよ。カワイイとこあるじゃん。
20分後。アッキョは尻尾を振ってやってきた。
タケシとアッキョが対面するのも20年ぶりだ。
「おう、アッキョ、久しぶりだな! おら、こっちこいや、早く座れって!」
興奮したタケシがでかい声で迎える。
「何だ、お前か。タケシ君じゃないの」
なんてクールを装うアッキョだが、顔はニヤニヤしてやんの。
そんな2人の微笑ましい姿を目を細めて見つめるエーイチ。
そしてその3人の様子を窺いながら、
「ほら、呼んでよかっただろ」
と心の中で呟く俺だった。
それにしてもアッキョの野郎、久々に会う時はいつも笑わせてくれる。
いきなり金髪で現れたかと思うと、次はモヒカン。
また次はドレッド、そのまた次はスキンヘッド。
ほんとこいつはピエロだよ。いつも感心する。
で、今日はピアスだらけの耳。
画像は当時のもの
「ぎゃはははは! 何だよその下品な耳はよー。
ピアスはやたらめったら付ければいいってもんじゃねぇだろ」
もう笑いが止まらん。
自分じゃイイつもりなんだろうけどよ、下品にも程があるだろって。
センスの欠片もねーじゃんか。
タケシが小馬鹿にする。
「何だよ、そのてっぺんの丸いのはよ。ザリガニの目かよ」
アッキョは不毛な主張をする。
「君たちには解らねーだろうな。こーゆーセンスが解らないようじゃお終いだよ。
君たちのその安物ピアスとは違うんだよ。
まったくねー、貧乏臭くてセンスのない君らには言っても無駄だけどな」
「ぎゃはははは、がはははは、わはははは」
その後、いつまでも笑いながら昔話に花を咲かせ、馬鹿呑みする俺らであったが——
何か忘れてねーか。
「そろそろアッキョにも教えてやった方がイイんじゃねーの!?」
エーイチに耳打ちする。
「いいよ、アッキョにゃ教えなくていいって。
そんなもん教えたら奴さんますます馬鹿になるだろ。
心配してシュンとするような奴じゃねーからな。
奴の場合はよ、心配しすぎて逆に興奮してワケ解らなくなって、
また暴れるに決まってるんだからよ」
それは言えてる。確かにそうだ。
今は教えないほうがイイかもしれない。納得。
エーイチがどうなってるのかなんて、これっぽちも気付いてないアッキョ。
調子に乗って言い出した。
「エーイチ大先生、歌でも歌いに行きましょうよ。ねっ、カラオケ行きましょうよ」
どうせ一銭も持ってきてねーくせして、よく言うわ。
「そうだな。俺も歌っておくかな。暫くオアズケだし…」
そんなエーイチの呟きにも全く気付かない、
ノー天気なアッキョであった。
