青春時代の果てに②エーイチとアッキョのSとM | 回顧録ーMemoirs of the 1980sー

回顧録ーMemoirs of the 1980sー

激動の80年代、荒れる80年代。
ヤンキーが溢れる千葉の片田舎で、少年たちは強く逞しく、されど軽薄・軽妙に生き抜いた。
パンクロックに身を委ね、小さな悪事をライフワークに、世の風潮に背を向けて異彩を放った。
これは、そんな高校時代を綴る回顧録である。

エーイチとアッキョの関係は、
一言で言えば“危なっかしい幼馴染み”だった。
エーイチが暴走し、アッキョが巻き込まれ、
それでも喧嘩にならない。
そんな二人の関係は、
俺たちの青春の中でもひときわ強烈だった。

 

いつものように南行徳でバンドごっこをした帰り道。
ギターやベースが重たいってことで、
Dマートの前に置いてあったショッピングカートを拝借。
楽器を乗せてゴロゴロ押しながら、俺んちへ向かう。


しばらくするとエーイチが言うんだよ。


「アッキョ疲れたろ、俺が押すから乗れよ」


ギターとベースはクボタに持たせて、
アッキョをカートに乗せる。
この時点で何か企んでるのは重々承知。
でもアッキョは素直に乗るんだよな。
言ってみれば、エーイチはSでアッキョはMなんだよ。


最初は普通にゴロゴロ押してたんだけど、
家の近くにドブ川があるんだよ。
そこでエーイチ、いきなりスピードを上げて一直線。


「アッキョ死ねっ!」


アッキョは間一髪で飛び降りた。
カートはそのままドブ川へ転がり落ちていく。
ほんと手加減がない。恐ろしい。


飛び降りたアッキョは地面に転がって、


「痛てぇな、馬鹿野郎」

 

って立ち上がると、
手足が擦り傷だらけで血が出てる。
そこまでやられても喧嘩にならないんだよな。
まさしくSとM。


実はこの二人、幼馴染みでさ。
ガキの頃からお互いの家を行ったり来たりしてたらしい。

 

中学生の頃の話。
アッキョの家に遊びに行ったエーイチ、
アッキョが不在なのに勝手に部屋に上がり込み、
壁一面にマジックで絵を描いたらしい。
アッキョのことだから、
そんな程度じゃ喧嘩になるほど怒らない。
でも、ちょっとした仕返しはするわけだ。


エーイチの家にそっと侵入したアッキョ。
爆竹ひと箱丸ごと導火線を繋げて、
蚊取り線香の根元にセット。
これを3セット作ったんだって。
縁の下に仕掛けて点火すれば、
時限爆弾の出来上がり。


そして深夜——
目論見通り、大爆発に成功。
ところが当然のこと、
近所の家まで巻き込んで大騒ぎ。
「悪質ないたずらだ」ってことで警察まで来たらしい。
そりゃそうだよな。


こいつらと家、近所じゃなくてよかった。

 

画像はイメージです(似ても似つかぬイメージだけどwww)