若き労働者のブルース⑦ 天井クレーン | 回顧録ーMemoirs of the 1980sー

回顧録ーMemoirs of the 1980sー

激動の80年代、荒れる80年代。
ヤンキーが溢れる千葉の片田舎で、少年たちは強く逞しく、されど軽薄・軽妙に生き抜いた。
パンクロックに身を委ね、小さな悪事をライフワークに、世の風潮に背を向けて異彩を放った。
これは、そんな高校時代を綴る回顧録である。

社会人になってからというもの、
まあ俺はちょっとフザケた不良社員ではあるが、
それでも一応、給料もらって働いてはいる(たぶん)。
そんな俺にも、たまには“楽しい思い出”がある。
今回はその中でも、ちょっとバカすぎるけど忘れられない一夜の話だ。

 

社会人生活においては、まあ一般の方々と比べれば少しフザケた不良社員ではあるが、
一応、おまんま食っていくには給料もらわなきゃならんわけで、
そこそこ普通に労働しているぞ。(嘘っぽい)
だから社会人生活については、然して面白いネタは無いんだけど、
少し楽しかったことがあるので書き綴っておこう。

ある日のこと。
会社の新人・ヤシロ君と、静岡にある工場へ製品試作の立ち合いに行った。
あれこれあくせく働いて、遅くまで残業して、
工場の人たちは皆帰り、他に邪魔者がいなくなった。
——これはチャンス。
ずっとやってみたいと思っていた“アレ”を実行する時が来た。

 

 

工場には、天井に吊り下げたクレーンがある。
重たいものを吊り上げて移動するためのやつだ。
コントローラーには上下ボタンと東西南北ボタン。
上下で吊り上げ、東西南北で好きな場所へ移動できる。
これでさ、
自分を吊り上げて空中浮遊したかったんだよ!
ヤシロ君には


「止めた方がいいですよ…」


って言われたけど、もうやる気満々。止められるわけがない。

胴体にスリングをギュッと巻き付け、クレーンのフックに引っ掛ける。
そしてコントローラーをしっかり手に持つ。準備完了。
上ボタンを押すと、ウィーン……とゆっくり体が吊り上がる。


床から足が離れ、どんどん上へ。
わーい♪
ちょっと体揺さぶってみたりして、
ウォー、ウォー、楽しいな♪


だんだん調子に乗ってきて、
東西南北ボタンを押して自由自在に空中浮遊。
ウォー!
ヤッホー!
超楽しい、超面白い!

 

なんて調子に乗ってたら、
コントローラー落っことしちゃったんだよ。
したらヤシロ君に拾われて、
そのままコントローラーを取り上げられ、遊ばれてしまった。
それまでせいぜい2メートルくらいの高さで楽しんでたのに、
ウィーン……と天井まで目いっぱい吊り上げられてしまった。
高いところは怖いよーーーー!


「おい、こら、降ろしてくれーーーー!」


情けない声で懇願する俺がいた。
ぬぁはは。

 

画像はイメージです

 

こうして“若き労働者のブルース”は、
バカ騒ぎと無茶と、ちょっとの成長で幕を閉じる。
そしてこのあと始まるのが、
俺たちの青春が最後に燃え上がる物語──
「青春時代の果てに」 だ。