第46回:卒業式/エピローグ | 回顧録ーMemoirs of the 1980sー

回顧録ーMemoirs of the 1980sー

激動の80年代、荒れる80年代。
ヤンキーが溢れる千葉の片田舎で、少年たちは強く逞しく、されど軽薄・軽妙に生き抜いた。
パンクロックに身を委ね、小さな悪事をライフワークに、世の風潮に背を向けて異彩を放った。
これは、そんな高校時代を綴る回顧録である。

あの日、何を話したのかも、誰と別れたのかも覚えていない。
ただ、帰り道の自分だけが、妙にくっきりと残っている。

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卒業式の記憶が全くない。
入学式の記憶はあるのにね。不思議なもんだ。
でも、なぜか帰りのことだけ覚えてるんだ。


腹が減ったんで、新津田沼のイトーヨーカ堂の地下フードコートでラーメンを食った。
スープをこぼして学ランを汚した。


「ちぇっ、まあいいか。もう着ないんだし」
 

ふと寂しさを覚えた。
高校デビューに向けて気合で買った中ラン。
サイドベンツ、裏地にペガサスの刺繍。
入学してすぐ建築科のボンクラにシメられ、ジンにはぶん殴られ、
サイドベンツは縫い合わせ、刺繍の上には布切れを縫い付けさせられたんだったな。
 

新京成に乗り込む。
昼下がり、人もまばらな車内。
一人ぽつんとシートに座り、ぼーっと外を眺めながら、
無意識に口ずさんでいた。


俺は本当はモッズが好きだった。
めんたいビートもいいけど、
森山達也が歌うバラードが一番好きだったのかもしれない。


俺たち何処へ行こう ここから先は
俺たち何処へ行こう ここから先は One Boy