
記憶の交差点
—昭和の駅前、西友の2階で分け合った味—
まだ小学生だった頃
駅前の西友に、母の買い物に付き添って行くのが週末のルーティンだった
兄弟2人、手をつないで2階の奥へ
そこにあったのが、松本楼のグラタン
弟と2人で、1皿のグラタンを分け合って食べた
熱々で、チーズがとろけて、マカロニがもちもちしてて
子どもながらに「これは旨い」と思った、 いや、今でも思ってる
忘れられない味だ。
食べてる間に、母は買い物を済ませて戻ってくる
それが当たり前だった
昭和だったから、あり得た光景だった
今はもう、その西友も、あの松本楼も、記憶の中にしかない
でも、あのグラタンの香りだけは、今も鼻の奥に残ってる
弟と分け合ったあの一皿が
俺の“食の原点”だったのかもしれない。