定食屋で夕食をとっていたら、同期の男と彼女が店に入ってきた。
目が合ったが、彼は失礼な人間なので、僕が挨拶するよりも早く目を伏せ、遠くのテーブルに座った。
無論、わざわざ挨拶に出向いて、彼女との楽しいひとときを邪魔することはしない。仲良くもないし、向こうが挨拶する気がないなら、こちらとしてもそっとしておくほかない。
しかし、後日話をしなければならなくなったとき、気まずくなるなんてことは、きっと全く考えていないのだろう。
閑話休題。
僕が気になったのは彼女の方である。
うどんをすすりながら眺める。
彼はイケメンなので、彼女が常にいる印象だ。違うのかもしれないが。
そして彼には甲斐性がないのか、彼女はコロコロと変わる。
以前見た人とは別の、しかし見たことのある女性だった。
店を出てから、なんとなく愉快な気持ちになった。
彼は結局、あんなに背が高くて格好いいのに、見えてるものは非常に矮小で、身近なところだけなのだろう。
ごく狭い人間関係のなかで、なぜか恋人を作りたがり、当然のごとく破局することを繰り返しているのだから。
確率的に考えて、長期的に性格の合う友人や恋人が、部活なんざの狭いコミュニティのなかにゴロゴロしているわけがなかろう。
結婚するわけでもないのに、デートしたり喧嘩したり、プレゼント買ったりなんだり、まあ、人の価値観はそれぞれだから、一概に否定するのは失礼だけれど、僕にとっては価値の見出せない不毛な行動を、飽きもせず彼は繰り返す。
彼女がいないといえば、世間的には劣ったステータスとして見られがちだが。
限られた女性の中から無理やり選んで恋愛をする、なんて道を選ばなかったのは、我ながら賢明であったと言えるのではないだろうか。
いずれ選ぶ日が来るにしても、それは今でなくていい。というか、今いる環境に魅力的な女性はいない。
焦る必要はない。
焦った結果、どうでもいい女に捕まるなんて、まっぴらごめんだ。
僕の価値観の中では、という話だが。