ある女性は、『坂の上の雲』(全八巻)を読み始めて、途中から進まなくなったという。
あまりに多くの人が死んで行くから、しかも名前も紹介されずに死んで行く人が多いから、読んでいられなくなったという。
たしかに、「この戦闘で二百人死んだ。」とか「結局、その三十人は帰ってこなかった。」とか、人の死がさらりと表現されている。
日清戦争では陸軍・海軍合わせて1万8千人、日露戦争では陸軍・海軍合わせて8万5千人が戦死している。
さらにその前、幕末の争乱の中で、志士として非命に倒れた者は、二千四百八十余名に上るという。(司馬遼太郎『最後の攘夷志士』より抜粋)
また、戊辰戦争の犠牲者が一万八千人を上回るという。
そういう先人たちの犠牲の上に日本の歴史は成り立っているということを改めて噛みしめる。