「指揮者は、一人の人間を受け入れるために、楽譜を書き直したりはしない。」(ドラッカー)
最近のサービス業のクオリティの著しい低下やなんちゃって講師、なんちゃって起業、内容のないビジネス書などを見ていると、いろんな場面でドラッカーの言う楽譜の書きなおしが行われているような気がする。
また、最近の新人にありがちな「その件については、教えてもらってませんから、マニュアルに書いてませんから、わかりません。」的な、自分たちにはわかりやすく教えてもらう権利があるかのような勘違いにも通じるものがある。
演奏しやすいように簡単に書き直された楽譜では、芸術性や感動を味わうことはできないだろう。そんなコンサートにお金を払って行きたいだろうか。
仕事にもハッと息をのむような卓越性、精緻に検討された美、芸術性がある。それが感動を生む。
演奏であれ、仕事であれ、趣味であれ、自分が取り組んでいることをより完璧をできないか、もっと早くできないかと、さらに喜んでもらえないかと研究を重ね、努力を継続すること、困難に挑戦することは、偉大な人間精神の発揮であり、それがこれまでの人類の発展を支えてきたのではないだろうか。
簡単な楽譜を求める人、学芸会の発表レベルの演奏で満足する人は、あまりにも人間の尊厳をないがしろにしているのではないか。
もちろん、今の世の中には人類の進歩が招いた問題もたくさんあるが、それを理由に簡単な楽譜を求め、努力を放棄することは、話のすり替えだ。