昨年あたりから、官公庁への入札案件が変化してきている。


事業仕分けの影響もあるのか、予算も厳しいのは理解できるが、提案内容や講師の質ではなく明らかに入札価格のみで判断しているものが多い。


それも最近ますますあからさまになってきた。


その受注金額は、研修会社にとって利益の確保が相当難しいレベルである。


受注した企業も、赤字を出さずにクオリティを保つには大変だろう。


受注金額が低ければ、当然経験豊富なベテラン講師をアサインすることができず、キャリアの浅い講師や低いギャラでも受けてくれる講師をアサインせざるを得ない。



キャリアの浅い講師でクオリティを確保しようとすると、またそれなりの時間と労力、コストがかかる。


トレーニングの時間を増やしたり、研修中や研修後に営業担当者や企画担当者がフォローしたりといった場面も多くなりそうだ。


ただでさえ利幅が少ないのだから、営業担当者をあまり研修現場に行かせたくないのが本音だろうに。営業担当者が研修現場に出向くことも研修会社にすればコストなのである。


それに加えて、通常の価格で受注していれば、無料で提供していた諸々のサービスも削減せざるを得ない。


先ほどの営業担当者によるフォローや講師による実施報告書、アンケートの集計、受講者へのちょっとしたフォロー、研修後の実施報告なども時間を削るか、内容を簡単なものにせざるを得ない。もしくは、バッサリと提供をやめてしまうことも考えないといけない。


研修サービスは、目に見えないものなので、あまり明確にサービスレベルを価格帯で区分けすることは難しいが、昨今の官公庁案件の受注金額は、飲食業で言えば、ファーストフード並みの価格である。


ファーストフード並みだという自覚を発注側も受注側も共に持っていないと、お互いに不幸な結果になるだろう。


発注側に自覚がないならば、教えてあげないといけない。


当然、ファーストフードでは、メニュー以外のものは作ってくれないし、ボリュームの増減や食材や味の好み、焼き加減などは聞いてくれない。サービスもマニュアルに基づいた均一的なものだ。


そういう価格で研修を発注しているという、ということを自覚していないと、受注した研修会社が疲弊していくだろう。


どこまで我慢できるかはわからないが、結果として、クオリティが確保できなくなるか、その価格では2度と受注できなくなるかのいずれかだ。


前にも指摘したが研修業界は、 『規模の不経済』 が働く典型的な多数乱戦業界である。ファーストフードのように効率を第一にして、コストリーダーシップを発揮するといった運営ができないのである。


というわけで、研修会社の真摯な努力にも関わらず、結果的にクオリティの高い研修が受けられなくなる国家公務員や地方公務員の方は哀れであるし、国民としてはそんな事態を見過ごしてもいいのかと感じる、今日この頃なのであった。