伝説の広視野双眼鏡 LEITZ Amplivid 6×24 ダハ式黎明期の名品 | BLRM ブラッキー リッチモア ~ Be Lucky Rich More!! のブログ

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〜 SINCE 2015.4.8

 

ここのところ、日本製の双眼鏡の記事が続いたので、

 

ZEISSファンには、もしかすると面白くなかったかも?

 

知れないが、今回は ZEISSと並ぶドイツが誇る、

 

世界のトップメーカー、LEITZ WETZLAR ( 現 LEICA )

 

の伝説の名機と呼ばれる、知る人ぞ知る幻の双眼鏡、

 

LEITZ WETZLAR Amplivid 6×24 を紹介させて頂こうと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1956年から1962年の、僅か6年の短い製造期間をもって、

 

市場から消えてしまった、この LEITZ の幻の双眼鏡は、

 

あらゆる意味で、ちょっと特殊な双眼鏡である。

 

 

また、双眼鏡の進化の過程を具現化したような、

 

双眼鏡の歴史的にも、大変意義深い製品だ。

 

 

まず、最も大きな特徴は、極めて広角の双眼鏡と言う事だ。

 

 

視野が非常に広く、FOV 212m/1000m 12.1度 と言った、

 

他に類を見ないスペックの、広角の視界を誇る。

 

 

次の大きな特筆すべき特徴は、

 

2枚のミラーと、五角のプリズム用いた、

 

ミラー式反転プリズム と呼ばれる、

 

特殊なプリズムを搭載する事だろう。

 

 

このプリズムがまた、非常にクリーニングがやり辛い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当初、後の TRINOVID にも、

 

この、ミラー式反転プリズムが搭載される予定だったらしく、

 

その設計図が残っている。

 

 

ボディーは、インナーフォーカス式のTRINOVIDで、

 

プリズムが、この ミラー式反転プリズムと言った組み合わせの、

 

双眼鏡の設計図が残っている。

 

 

 

 

 

 

 

しかしながら、この双眼鏡は結果的には世に姿を現す事なく、

 

企画の段階で、終わってしまったようだ。

 

正しく、幻の双眼鏡となったのである。

 

 

そして、この Amplivid が登場した2年後の、

 

1958年に、かの有名な ユッペンダールプリズムを搭載した、

 

LEITZの代表作、TRINOVID が世に登場する。

 

 

そしてLEITZ は、これ以降、

 

1962年に、Amplivid の生産終了と時を同じくして、

 

ポロ機の生産から撤退し、

 

ダハ機一色へと移行して行くのである。

 

 

Amplivid 6×24 は、同じく名機として名高い、

 

TRINOVID 6×24 に、後継を譲ることになる。

 

 

その意味で、この Amplivid 6×24 は、

 

ポロ機から、ダハ機へと移行する黎明期の貴重な双眼鏡でもある。

 

 

TRINOVID のようなインナーフォーカス式ではなく、

 

ポロ機と同様の、接眼部からブリッジが伸びた、

 

接眼部が伸縮してピントを合わせると言った、

 

いわば、古典的な方式となっている。

 

 

いわば、ポロ機とダハ機のハイブリッドのような構造と、

 

なっているのである。

 

 

参考までに、LEITZ のポロ機の代表的な名作である、

 

1926年から、1962年にかけて製造された、

 

BINUXIT 8×30 は、とても素晴らしい双眼鏡で、

 

清潔感と色気や艶やかさを備えた見え味が素晴らしく、

 

ZEISSとは、また違った魅力を持った名機である。

 

 

ただし、カールツァイスイエナのような耐久性はなく、

 

とりわけ、グッタペルカ部分は非常に脆く、

 

完全な形で残っている個体は殆どない。

 

 

仮に残っていたとしても、オーバーホールの分解時には、

 

十中八九、グッタペルカが剥がれ落ちてしまう。

 

これは構造的な問題にも起因するので、避けられないのである。

 

 

拙宅の BINUXIT も、グッタペルカは全て取り去っている。

 

BINUXIT に限らず、LEITZ の双眼鏡は全般的に、

 

グッタペルカ部分が非常に脆いようだ。

 

 

ヘンゾルトの双眼鏡もグッタペルカ部分が脆いが、

 

LEITZ は更に脆い。

 

 

ただ、幸いな事に、BINUXIT の場合は、

 

グッタペルカを全て取り去っても、汚らしい感じにはならず、

 

オリーブドラブにも似たような、何とも渋い、

 

グレー系のミリタリー調の色合いの金属地なので、

 

グッタペルカとは、また違った美しさがあって、

 

これはこれで、なかなかカッコ良い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Amplivid に話を戻そう。

 

実は、去年にこの Amplivid 6×24 のオーバーホール依頼を頂いた。

 

 

大変ありがたい事に、私の元には、

 

他の業者やメーカーから、修理を断られた双眼鏡が送られて来るが、

 

この、Amplivid も、そのような経緯で、

 

私のところにやってきた双眼鏡だ。

 

 

そしてそれを機に、改めて 

 

この双眼鏡の魅力を感じ入った次第である。

 

 

Amplivid の魅力を再確認させて頂いたオーナー様には、

 

この場を借りて、心から感謝申し上げる次第である。

 

 

 

その時に撮影した、Amplivid 6×24 の、

 

接眼レンズの写真を参考までに載せておきたいと思う。

 

 

 

 

 

 

構成枚数も多く、非球面レンズ!?と思えるようなレンズもある。

 

広角の視界を達成する為に、もしかすると

 

非球面レンズが採用されたのかも知れない。

 

 

 

オーナー様は、私なんて足元にも及ばない程の

 

双眼鏡道楽をされて来られた方であるが、

 

一時は、100台を越える双眼鏡を所有されていたそうだが、

 

現在は、この Amplivid と他の数台の双眼鏡のみを

 

手元に置かれているそうだ。

 

 

100台を越える双眼鏡コレクションの中から、

 

厳選された、わずか数台の中に選ばれ、

 

生き残った、Amplivid の魅力は只者では無い、

 

と言う事は、その事実からも明白だろう。

 

 

しかしながら、この Amplivid 、

 

実は、透過率もそれほど高くなく、62%程度らしい。

 

 

また、視界は広いのだが、周辺の収差や歪みも大きく、

 

左右にパンすると、昨今のフラットナーレンズのように、

 

画像がグニャと歪むので、あまり左右に見渡すのは宜しくない。

 

私は三半規管があまり強くないので、酔ってくる(笑)

 

 

中心像のシャープさも、ポロ機の BINUXIT に明らかに劣る。

 

 

更に、LEITZ としては珍しく、画像も黄色味がかった着色感がある。

 

 

このように、光学性能的な観点で見れば、

 

決して優秀とは言えない双眼鏡だ。

 

 

にも関わらず、この双眼鏡は世界的にも非常に人気が高く、

 

年季の入ったマニアをも魅了する魅力に溢れている。

 

 

また、生産台数も少ない故か、市場の玉数も少なく、

 

中古市場の価格相場も、約6万円前後と比較的高い。

 

勿論、グッタペルカは所々剥がれ落ち、

 

レンズやプリズムが曇った状態での現状価格での話だ。

 

 

可愛らしく、コンパクトな駆体も、

 

その魅力の一つとなっているようだ。

 

 

TRINOVID 8×20 と比較してみても、

 

さほど変わらないコンパクトさだ。

 

 

このコンパクトさで、1000m/212m もの広視野を誇る双眼鏡、

 

となると、この Amplivid 6×24 と、

 

後継の TRINOVID 6×24 くらいしか存在しないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

TRINOVID が登場した影響で、人気があったにも関わらず、

 

僅か6年の短い期間で市場から姿を消した 幻の双眼鏡、

 

そして、名機 TRINOVID 6×24 の前身とも言える

 

この Amplivid 6×24 。

 

 

世の中には、まだまだ魅力的な双眼鏡が多くあるようだ。

 

 

このような、貴重な双眼鏡を拙宅に託して頂いた

 

オーナー様には、心から感謝申し上げる次第である。

 

 

次回の記事は、Amplivid と BINUXIT を持って、

 

フィールドテスト?に出掛けた記事を書く予定だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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