1970年製 デカレム DEKAREM 10×50 1Q オーバーホール記録  | BLRM ブラッキー リッチモア ~ Be Lucky Rich More!! のブログ

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私自身が、ワクワクドキドキ出来る事だけを記事にします。
〜 SINCE 2015.4.8

 

 

少し前に、CARL ZEISS JENA DEKAREM  10×50 1Q

 

デカレム10×50 1Q  1970年製の個体の、

 

オーバーホールのご依頼を頂いたのだが、

 

是非、様子を記事にして欲しいとのご要望を頂いたので、

 

以下、記録として記事にさせて頂こうと思う。

 

 

 

1970年の個体には、フォーカスリングにも、

 

まだ、きちんと目盛りが刻まれている。

 

 

個人的には、これがあるか無いかは、

 

大きな違いだと考えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

デカレムは、10倍機の双眼鏡として、

 

カールツァイスイエナを代表する傑作機であり、

 

周辺まで歪みが少なく、10倍機としては視野も広く、

 

最近では、私個人的には、10×40BGA T*P* 以上に、

 

好きな機種かも知れない。

 

 

その理由は至ってシンプルで、

 

デカレムの方が、覗いていて楽しいと、

 

私は感じるからである。

 

 

デカレムのスペック 等については、

 

当時のカタログを参照されたし。

 

 

 

 

 

 

さて、ではまず 対物側から分解して行く。

 

 

 

 

対物筒や、プリズムカバーを外すと、

 

遮光カバーに覆われたプリズムが現れる。

 

 

プリズムを押さえる為の金具には、

 

錆が発生していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

1970年頃からの、アイスフェルド工場で生産された個体には、

 

プリズムカバーの裏側に、

 

ビニール状のシーリングシートが確認される。

 

 

ちなみに、このシート状の部品は、同時代の

 

デルトリンテムでも同様に、確認する事が出来る。

 

 

 

 

 

対物筒、対物カバー 等

 

 

 

 

プリズムを押さえる金具には、

 

左右ともに錆が発生していた。

 

 

この現象も、1970年台以降のカールツァイスイエナの製品では、

 

よく見られる現象で、デルトリンテム等でも、

 

よくこの部品に、錆が発生している。

 

 

興味深い事に、イエナ工場製の個体では、

 

それが例え 100年近く前の個体であっても、

 

このプリズム押さえの金具に錆が発生している個体を、

 

私はまだ一度も見た事が無いので、

 

もしかすると、部品の材質が変わっているのかも知れない。

 

 

 

 

 

 

 

プリズムの遮光カバー ( 恐らくはアルミ製) と、

 

プリズムを押さえる金具。

 

 

 

 

まずは、錆を落とし、クリーニングを行う。

 

 

 

 

 

プリズムは、対物側から見る限りでは、

 

殆ど曇っているようには見えず、

 

オーナー様も、プリズムは問題なく、

 

綺麗だと思われていたようだ。

 

 

しかしながら、ご覧の通り、

 

結構な曇りと汚れが確認された。

 

 

 

 

 

クリーニング後

 

 

 

 

デカレムのプリズムは、大きくて重い。

 

 

 

 

次に、接眼側を手掛ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

接眼側のプリズムカバー裏にも、

 

やはり、シーリングシートが確認される。

 

 

 

 

 

 

そしてやはり、接眼側のプリズム押さえの金具にも、

 

錆が発生していた。

 

 

 

 

 

接眼側のプリズムにも、ご覧の通り、

 

曇りが確認される。

 

 

この程度の軽微の曇りの場合は、

 

例え、接眼側からライトを当てて、

 

対物側から確認してみても、

 

判別が出来ない事もある。

 

 

一見、問題が無いように見えても、

 

プリズムを取り出してみないと、

 

分からない事も少なくないのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリーニングすると、一段と輝きと透明度が増す。

 

 

 

 

接眼側、対物側共に、それぞれ 殺菌処理を施す。

 

 

 

 

↓ クリーニング後に、プリズムを組み込んだ状態。

 

 

ちなみに、この個体のオーナー様は、

 

当初は光軸の狂いを調整して欲しい、

 

とのお問い合わせであった。

 

 

少しの狂いの場合は、対物側の偏心リングで、

 

光軸の微調整を行うのだが、

 

一度、分解した場合は、

 

プリズムの位置決めから、光軸調整を行う。

 

 

これを、まずはきちんとしないと、

 

偏心リングだけでは、調整不能となるからである。

 

 

プリズムの位置決めは非常にシビアで、

 

数ミクロン単位でも、像が大きく傾いたり、

 

想像以上に大きく変化するので、

 

極めてデリケートでシビアな作業である。

 

 

 

 

 

 

 

 

全ての作業を終えて、組み立てた後、

 

フォーカスリングの0位置を無限遠に調整し、

 

最後に、光軸の微調整を行う。

 

 

 

プリズムも、すっかり綺麗に蘇ったデカレムは、

 

やはり素晴らしい像を見せてくれる。

 

 

パッと覗いただけでは殆ど気付かないくらい、

 

ほんの僅かな程度に、黄色味の着色があるのだが、

 

それが逆に良い味、アクセントとなっていて、

 

山や木々を見た時に、とても活き活きとし、存在感がある。

 

 

立体感や奥行き感も素晴らしく、

 

覗いていて、とても楽しい双眼鏡だ。

 

 

 

最後に、後日オーナー様から頂いた感想を、

 

掲載させて頂き、筆を置かせて頂きたいと思う。

 

 

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昨日、修理済みのデカレムを受け取りました。

丁寧に修理・梱包をしていただきありがとうございました。

 

普段は低倍率のコンパクト機を好んで使っていますが、

遊びの要素がある双眼鏡も使ってみたくなりました。

 

手持ち最大口径50ミリ & 広角 & 10倍に惹かれて

入手したのがデカレムでした。

 

フジノンの10×50のほうが光学性能が上なのは知っていますが、

どうもフラットナーレンズが不自然で嫌いなのです。

 

最新のコーティングは白さが際立つように設計されていますが、

デカレムの古臭い黄色みを帯びた像も味があっていいです。

 

10倍の割には色収差が少なく、スッキリと見えます。

 

おかげさまで光軸の違和感は一切なく、快適です。

空回りしていたディオプターも

正確に機能していて嬉しい限りです。

 

これまで何十台も双眼鏡を購入してきましたが、

手元にあるのは使って楽しい双眼鏡だけです。

 

今回のデカレムもコレクションに加えて

あちこち連れまわしたいと思っています。

 

また、機会がありましたらよろしくお願いします。

 

 

 

 

N様、この度は本当にありがとうございました。

 

心より、感謝申し上げます。

 

 

最後までご覧頂きまして、

 

ありがとうございました。

 

感謝

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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