続 KAIKOSHA 6×24 レストア & 新事実 偕行社 双眼鏡 PART2 | BLRM ブラッキー リッチモア ~ Be Lucky Rich More!! のブログ

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〜 SINCE 2015.4.8

 

今年の9月に、偕行社の 制六 と呼ばれる、

 

 旧 日本陸軍 双眼鏡  KAIKOSHA K.T. 6×24 

 

レストア記事を書かせて頂いたのであるが、

 

今回、再び 同機種の別個体を

 

レストアさせて頂く機会に恵まれた。

 

 

 

偕行社 に関してや、本機の詳しい内容は、

 

前記事と重複するので、今回は割愛させて頂くとする。

 

 

前記事は、こちら ↓

 

KAIKOSYA K.T. 6×24 旧 日本軍 大日本帝国陸軍 偕行社 双眼鏡 レストア

 

 

 

 

さて、今回の個体は、

 

前回、ご依頼頂いたオーナー様から、

 

大変有り難く、光栄な事に、

 

もう1台 所有されてらっしゃる個体の方も、

 

レストア依頼を頂いたのである。

 

 

 

今回の個体に関しては、

 

グッタペルカの貼り替えのリクエストも頂いた。

 

 

ご覧の通り、グッタペルカは劣化して、

 

少し触ると、ボロボロと剥がれ落ちる状態であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シリアル番号から、今回の個体の方が 古いようで、

 

恐らくは、比較的初期に生産された個体だと思われる。

 

 

 

以下に比較画像を掲載したいと思うが、

 

今回の個体は、 KAIKOSHA K.T. 等の文字も、

 

より手の込んだ、象嵌(ぞうがん)仕様 となっていた。

 

 

これで、 KAIKOSYA K.T. 6×24 は、

 

象嵌仕様の文字の個体と、

 

そうではない文字の個体が、

 

それぞれ存在すると言う事が、

 

明確な事実 として、証明された。

 

 

 

 

 

今回の個体

 

 

前回の個体。 象嵌ではなく、

 

文字を掘った後に 白の塗料が流し込まれている。

 

 

 

 

 

 

また、前回の個体は、プリズムが Bak4 であったが、

 

今回の個体は、BK7 のようだ。

 

 

これも、同機種において、

 

2種類のプリズムの個体が存在する事が、

 

あらためて、明確な事実 となった。

 

 

 

今回の個体。 写真では判りづらいかも知れないが、

 

瞳の中に、BK7 特有の、影が確認出来る。

 

 

 

 

 

 

前回の、Bak4 の個体。 

 

影はなく、射出瞳は綺麗な真円である。

 

 

 

 

 

 

さて、いつものように、双眼鏡に敬意を表して合掌し、

 

レストア作業に取り掛からせて頂いたのであるが、

 

 

この時代の双眼鏡に使用されているグリスは、

 

時代的にも、あまり質の良いものではなかったのか、

 

前回の個体と同様に、ピントリングの固着が激しく、

 

ピントの機能が果たせていないのは勿論の事、

 

グリスが固まって、まるで、セメントのような状態であった。

 

 

その為、接眼部の分解が困難を極め、

 

さすがに、今回ばかりは 修復は無理かも、、、

 

と、何度か 修理を断念しかけたくらいであった。

 

 

 

ところで、前回でも触れたのだが、

 

接眼部の分解の前に、

 

まず、接眼筒をボディーから取り外す際には、

 

この機種特有の 「鬼門」 に要注意だ。

 

 

接眼筒を固定する、小さなイモネジが、

 

プリズムカバーの少し下に、隠れているのである。

 

 

 

「双眼鏡の歴史」 を執筆された、

 

我が国の双眼鏡研究の第一人者であられる、

 

中島 隆 氏も指摘されてらっしゃるように、

 

これを無視して、分解を試みると、ネジをナメてしまったり、

 

故障の原因となる。

 

 

隠れた イモネジがお分かりだろうか??

 

恐らく、と言うか、知らなければ、まず気付く事はないだろう。

 

パッと見た限りでは、ネジの存在は、まるで判らない。

 

 

こういった落とし穴の存在も、双眼鏡の難しさである。

 

 

 

 

 

ネジを少し緩め、浮上させた状態。

 

ここまで来れば、ネジの存在が確認出来る。

 

 

 

 

何とか、分解が成功し、古い固着したグリスを落とし、

 

クリーニング後、磨いた状態がこんな感じである。

 

 

ピントリングの操作が、よりスムースに快適になるよう、

 

ネジ山の雄と雌を磨かせて頂いた。

 

 

 

 

真鍮が多用されており、実に美しい。。。

 

 

 

右側の接眼レンズに使用されている、

 

レティクルレンズもクリーニングし、

 

オーナー様から指定された眼幅で平行になるよう、

 

位置を調整する。

 

 

 

レティクルレンズは極めてデリケートなので、

 

扱いが、本当に難しい。

 

 

撮影するのも非常に難しい(笑)

 

 

 

 

 

 

 

プリズムカバーを開ける。

 

 

 

 

 

プリズムには、前回の個体ほどでは無いにせよ、

 

若干のカビや、曇りが生じていたので、

 

殺菌処理をした後、クリーニングする。

 

 

鏡体の内部も、殺菌処理を施した。

 

 

 

 

対物レンズの枠の部品一式も、

 

さすがに長年の汚れが、古いグリスと相まって、

 

酷い状態であった。

 

 

 

 

 

 

 

対物レンズ枠にも、小さなイモネジがあり、

 

これで、偏心リングや対物レンズを固定しているので、

 

これも、見落としてはならない。

 

 

ネジはアルミ製?のようであるが、

 

劣化により、少し欠けが生じていたので、

 

これ以上 壊れないよう、慎重にネジを緩めた。

 

 

 

 

 

 

 

クリーニング後

 

やはり、真鍮の部品は美しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いよいよ、グッタペルカを全て剥がす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

剥がした後、サンドペーパーでヤスリがけをした状態。

 

 

 

型を取り、グッタペルカを貼って行く。

 

 

洋服のパターン等で よく使われる、

 

薄い不織布を使って 型を取ったが、

 

双眼鏡はカメラ等とは違って、

 

複雑な曲線で ボディーが構成されている為、

 

そもそも、型を取るのが 非常に難しい。

 

 

 

グッタペルカを貼って、ある程度 乾かした後は、

 

防湿庫内で保管し、数日、様子を見る。

 

 

 

 

 

 

実は、一度目は、数日経った後、

 

わずかに、浮き皺が発生した為、

 

貼り直しをさせて頂いた。

 

 

わずか、約0.7mm程の寸法誤差が、

 

浮き皺を招いたようであった。

 

 

1mmも誤差があれば、お話にならないくらい、

 

皺が出るだろう。 何ともシビアである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かくして、レンズ、プリズム、外装、

 

そして、ピントの操作フィーリング、全てに於いて

 

生まれ変わった、 KAIKOSHA K.T  6×24

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手にした時の、サイズ感も絶妙で、

 

ノンコーティングらしい、とても自然で、清々しい、

 

すこぶる素直で、歪の少ない見え味の この双眼鏡は、

 

本当に素晴らしい逸品だと、あらためて感じ入る。

 

 

また、軍用双眼鏡らしく、解像度が非常に高く、

 

今尚、トップクラスの解像度かと思われる。

 

ピントの深度も深めで、覗いていて疲れにくい。

 

 

軍用双眼鏡の傑作品の一つだと思うし、

 

本当に良い双眼鏡だと思う。

 

 

 

 

 

この度も、大変貴重な品を、拙生に託して頂き、

 

本当にありがとうございました。

 

この場をお借りして、心より、感謝申し上げます。

 

 

 

 

最後まで、閲覧下さり、ありがとうございました。

 

感謝

 

 

 

 

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