こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
訪問ありがとうございます。
独特の絵柄で読み手を選ぶだろうと思われる、週間ヤングマガジン連載中の漫画『カイジ』。
しかし、一旦読み出したら最後。その世界観に身も心も震わせてリピーター化すること間違いなし。だと思う。
『カイジ 人生逆転ゲーム』 (’09) 129分
梗概:友人の借金の保証人になっていたことも忘れていた伊藤開司(カイジ)。
失踪した友人の代わりに金融業者に返済責任。それは無理、なので客船エスポワール号でのギャンブルに挑戦する代替案を受ける。勝てば借金チャラ。加えてそれなりの大金ゲット。
しかし、際どく勝利したものの訳あって地下労働者に転落。ここから脱出するために命を賭けた大勝負に二度三度と不撓不屈の態で挑む。
いやはや、藤原竜也が泣いて喚いて大熱演。
香川照之も凄い形相の顔芸で対抗。
天海祐希はちょっとイイ感じの下衆い金融業者を好演。
光石研はダメ加減溢れるうらぶれたオヤジに扮する。
藤原君はいつも通りなんだけど、脇を固める役者が好かった。
元が漫画だから過剰な演技は全然オッケー。むしろ大歓迎である。
香川がノリノリで化け物じみた人物を演じる。しかも後年TVドラマ『半沢直樹』で披露した、所謂“顔芸”の萌芽が見られる。
*TVドラマ『半沢直樹』での顔芸(爆)*
本業の伝統芸能仕込みかどうか分からぬが、大目玉をぎょろつかせて痙攣してみせたりして。
カイジをコケにして呼ぶ時ゃ「くわいじぃ~」と、憎々しさ倍増。いつもの暑苦しさが功奏したと言へようか。主人公カイジの敵役としてまさに適役だった。
松尾スズキもつかみどころがなく、カイジらから搾取する怪しい人物を、こっちはリラックスした感じでふわっと演じて。
佐藤慶に至っては巨悪の親玉、政財界の黒幕ボスキャラ的人物を自然体で演じていた。
勿論戯画的であるのだが、登場した時に役者とキャラが合一していてすんなり受け入れてしまう感じ。
あまり濃過ぎない。これを昨今の津川雅彦あたりが演ったら、かなりのキワモノになったろう。
光石研はベテラン・バイプレイヤーの本領発揮。幅広い役を巧みに演じる力量を見せつける。
今回は終始情けないおっさん役だったが、つい感情移入しそうになった。立派な最期だったな。虚しいが。
紅一点、ちょっと危ない金融業者社長役は原作と違って女性の設定。天海祐希が好い人に見えて、実は…みたいな人物をスマートに演じ切った。
キャラ的には峰不二子かネズミ男みたいな敵味方変幻自在の39歳設定だった。
そうそう。山本太郎参院議員が関西出身の、これまたカイジを陥れる悪知恵に富んだ腹の内が読めぬ男を飄然と、時には凄みたっぷりに好演。藤原君とは『バトル・ロワイヤル』以来の因縁か。
*お茶目で不気味な関西人* *『バトル・ロワイヤル』の山本議員。後方右側 藤原君*
漫画の実写版なのであり得ない設定だらけだが、原作は読んでいるんで今回は役者に注目した次第。結構楽しめた。
ちなみに、見所は都合三種類のゲームに挑戦するエピソードだが、カイジが常に勝利するわけじゃないところがスリリングだ。泣きじゃくったり、半狂乱化して見苦しいし(笑)
*一戦目で一敗地にまみれるも・・・* *がお~っ!敗者復活戦じゃあ*
ところで、超高層ビル間の「鉄骨渡り」には戦慄した。
悪役は、人の命より「金が大事」という、ある意味世間的本音を何の躊躇いもなく口にする。
その現実として、奴らの目前で一人、また一人と落下していく様はまことに恐ろしい。こんなゲームには絶対に関わりたくない。と心胆を寒からしめるに十二分。
*イザ、鉄骨渡り!いかにもダメそうな面々。左から三人目:光石研。藤原君の右隣り:松山ケンイチ*
そんなシチュエーションで、光石研扮するおっさんが死してなおカイジからヒーロー呼ばわりされるのもむべなるかな。
原作を知らぬ人でもそこそこ楽しめるだろう。
本日も最後までお付き合い下さりありがとうございました。