大雪だったから引き籠り計画再発動~その3『クィーン』 | 徒然逍遥 ~電子版~

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こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
訪問ありがとうございます。



土曜日積雪の中DVD三枚レンタル。ゴム長履いて徒歩で行った。国道が歩行者天国状態。『ダイ・ハード』『アーティスト』『クィーン』という脈絡の無い選択。一枚50円だ。
月曜夕食後の鑑賞はこれ。


『クィーン』 The Queen (‘06)


梗概
1997年トニー・ブレア率いる労働党が勝利した英国での選挙結果。改革派ともいうべきブレアをあまりこころよく思えないエリザベス二世(ヘレン・ミレン)。

その三か月後ダイアナ元皇太子妃が突然の事故死。だが彼女は民間人であるということで関わりは無いとして一切のコメントも発表しない王室に民衆は不満を表明。
一方彼女を“国民のプリンセス”と表現したブレアの人気は高まる。
かたくなまでにダイアナの事件を無視しようとしたエリザベス二世も世論に押され休養先から宮殿に戻る。その門前の大量の献花と群衆に驚く。
ついに公式声明を出すクィーン。その高貴な物腰に心中圧倒されるブレアと民衆。やはり王室は英国民の誇りだった。
クィーンもブレアとの友好関係に入る。

クィーン-3
*右端;チャールズ皇太子、左隣の二人は息子たち*


2006年度アカデミー主演女優賞(ヘレン・ミレン)を受賞。


あのスキャンダラスな事件をまさに英国風の抑制が効いた落ち着いた表現で再現した。
とにかく英国王室の対応とブレア政権との綱引きにフォーカスし、生前のダイアナに関するエピソード類は一切無し。ただ実写フィルムが彼女をしのぶのみ。

クィーン-2

そう言へば葬儀に来たスピルバーグトム・ハンクストム・クルーズとニコール・キッドマン夫妻エルトン・ジョンの姿が映っていた。
エルトン・ジョン作の追悼歌も流れることはなかったな。


このように地味~な作風であるがそこはそれ英国王室の伝統の重厚さが画面に横溢し、H・ミレンの抑制された演技が迫ってくる。


彼女はオスカーのみならずゴールデン・グローブ賞、ヴェネチア国際映画祭、英国アカデミー賞、全米映画批評家協会賞などの主演女優賞をゲットした。


作品同様派手さの無い地味な芝居でありながら存在感抜群にエリザベス二世を演じきった。感情をあらわにするべからず。という英国の伝統的マナーをかたくなに守っていたが時折見せる孤独感や気弱な感じを細やかに表現していたと思う。
クィーン-1

革新派vs守旧派みたいな構図に偏りすぎることも無く淡々とドラマは進行する。が、時間を気にすることなくついつい引き込まれた。中々の力作だった。


ちなみにクィーンの旦那エジンバラ公役はジェームズ・クロムウェルだ。昨日言及した『アーティスト』での好演も光る彼がいかにも英国人然としたたたずまいを見せる。
ジェームズ・クロムウェル

そしてブレア首相役マイケル・シーンがホントにそっくりさんでちょっと笑えたな。
マイケル・シーン

衣装もいいね。登場人物の出自やキャラクターを完璧に表現していた。
当然と言へば当然だけど欧米の文学・映画では衣装が雄弁に登場人物を物語ってくれる。なので男性なら洋服の着こなしをきちんと学んでいればより一層の理解を得られること請け合いだ。


さて、本作はその高評価の要因の大半はH・ミレンにありそうなので彼女に関心ある人は見逃せない作品であることは言うまでもない。


本日も最後までお読み下さりありがとうございました。
クィーンDVD

The Queen (104分)
監督;スティーヴン・フリアーズ
『グリフターズ/詐欺師たち』『ジキル&ハイド』『ハイ・フィディリティ』
音楽;アレクサンドル・デスプラ
『英国王のスピーチ』『ハリー・ポッターと死の秘宝Part1・2』『アルゴ』
衣装デザイン;コンソラータ・ボイル
『フィオナの海』『ジキル&ハイド』