大雪だったから引き籠り計画再発動~その1『ダイ・ハード』 | 徒然逍遥 ~電子版~

徒然逍遥 ~電子版~

「行政書士ができる往年の映画ファン」のブログ
映画・洋酒・カクテル・温泉・書籍 etc
Myニュースレター【CINEMANIA通信】と重複記事あり

こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
訪問ありがとうございます。

 

 

土曜日買い物ついでにDVD三枚レンタル。ゴム長履いて徒歩で行った。タイトルは『ダイ・ハード』『アーティスト』『クィーン』という脈絡の無さ再び。一枚50円だ。


土曜の夕飯後に『ダイ・ハード』。でも除雪でくたびれダイハードだからブログ記事はまた明日。と言いつつ日曜も午前9時から夕刻16時までの除雪でダイハード。
カロリー消費できてあなうれしや。気持ちよく17時に赤ワインをぐいぐい。次いでスコッチへ移行。もう記事を書く余力無し。くたっとしながら『アーティスト』鑑賞。
で、本日は気を取り直してこれ。

 

『ダイ・ハード』 Die Hard ('88)

 

 

梗概
クリスマスイブのLA。日系商社ナカトミ・ビルでは業績の良さも相まってパーティが催されていた。ところへNYで単身赴任の刑事ジョン・マクレーンがやって来る。
しかし折悪しくも12人のテロリストが侵入。人質30人以上拘束した。その中には彼の妻ホリーも。難を逃れたのはジョンのみ。社長のタカギは殺害さる。
俄然燃え上がるジョンの気概。なんとか警官を呼び寄せることに成功。TV局まで乗り込んでくる騒ぎ。更にFBI登場。が無残にも敗北。
その間一人また一人と知略の限りを尽くしてテロリストを返り討ちにしていくジョン。血まみれ汗まみれ泣きっ面で孤軍奮闘。
遂に首領との対決。ホリーを人質にとられ弾丸は残り二発。どうなるジョン。

 

・脚本
・登場人物造形(キャラクター設定)

 

この二点の勝利と言えようか。
開始後11分あまりで外部からの侵入者(テロ集団)と外部にいる者(警察やTV局、ジョンの子供たち)以外の閉鎖された空間内(ナカトミ・ビル)にいる主要人物とそのキャラクターが描かれ紹介済みに。

殊にジョンとその家族に関しては上手に説明がなされ観客に必要な情報を与えている。

 

テロリストの首領(アラン・リックマン)が登場するとタカギ社長とのやりとりで彼のキャラも明らかにされる。
黒人の巡査長(レジナルド・ベルジョンソン)と上司が来れば彼らのキャラも手際よく紹介され無駄の無い脚本に唸らされる。

 

そして特筆すべきは伏線(あからさま過ぎて伏線とも言い切れぬが)が全てきれいに回収されることにある。アイディアと脚本の勝利だ。

 

裸足で戦ういきさつ、

意外な助っ人(黒人運転手)の潜伏と再登場、

ホリーの腕時計オメガ

テロリストを殺った後C4(プラスティック爆薬)やライター等持ち物を奪う、

ジョンとホリーの関係が伏せられている、

黒人警官が銃を撃てないこと、

ジョンが爆破したせいでガラス片を浴びたと上司が怒る、

TVレポーターが撮っているかと尋ねるシーン、

ジョンの子供たちのメイドがヒスパニッシュ

カウボーイが好きなジョン、

テロ集団登場時に被さる「第九」変奏曲、等々。

 

ダイ・ハード-1
  *喫煙以外にも使えるライター*

 

 

これらが後刻きちんと意味をもってくるところが心憎い。実に分かりやすく『ダイ・ハード』初心者も安心。

 

 

殊に皆が大団円と思い安堵した最後のショッキングシーン。黒人警官の成長譚ともいうべきエンディングだった。これで真のハッピーエンドへと収束していく。
画面一杯にクロースアップされた銃口はまさしく正義と勇気を体現する。米国社会に通底する共通認識事項の表出だ。これぞ『ダイ・ハード』=保守主義者・頑固者のタイトルにふさわしい。

 

さて、警察の上司とFBI、TVレポーターと殺害されたホリ-の同僚は緊張感とサスペンスを高めるために有効なキャラとしてどうしても必須の存在。いらつきを増幅させるこれらの人物がいてこそ最終的にカタルシスを味わえるってものだ。
ダイ・ハード-2

ちなみに彼らはドイツ系集団だが首領はきちんとした英語を話す。いかにも教養ありげなキャラにぴったりだ。
妻に尋ねると途中二箇所ほどややドイツ語なまりっぽい時があったが部下たちと違ってきれいに話していたとのこと。当然ジョンと鉢合わせした時は流暢なアメリカ英語にシフトしていた。

 

それと面白く感じたのは警察の特殊部隊が植物のとげを引っ掛け「アウチッ」みたいなこと言っているのと対照的にテロリストは冷静に銃を構え驚くべきはチョコレートを喰い始めたことだ。何という臨戦態勢に馴致された連中か。

 


プロ集団の差を強く印象付けるさりげないシーンだが警察は直後その違いに翻弄され戦慄するのだ。

しかしジョンの型破りな応対に終始戸惑うテロ集団の領袖にもちょっと同情してしまうが。
アラン・リックマン
*スネイプ役のあの人アラン・リックマン*


それとテロ集団がスタイリッシュで金髪ロン毛など従来のイメージを覆す設定も興味深い。
メンバー中唯一の黒人がコンピュータシステム専門のホワイトカラー的役柄を担うのも時代を感じさせる。

 

ついでだが撮影のヤン・デ・ボンは『スピード』を監督することになるだろう。要チェックだ。

 

 

今回は脚本の妙にフォーカスしてみた。観る機会があったらちょっと気にして欲しい。数倍楽しめるだろう。

 

本日も最後までお付き合い下さりありがとうございました。
マクレーン刑事

Die Hard (132分)
監督;ジョン・マクティアナン
『ダイ・ハード3』『プレデター』『レッド・オクトーバーを追え!』
撮影;ヤン・デ・ボン
『ブラック・レイン』『氷の微笑』『スピード』(監督)
音楽;マイケル・ケイメン
『リーサル・ウェポン』『007消されたライセンス』『X-メン』