昨年の大きな最高裁決定もう一つ | 徒然逍遥 ~電子版~

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こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
訪問ありがとうございます。



昨年12月10日付で、性同一障害で女性から性別変更した男性とその妻が、第三者の精子を使った人工授精で誕生した長男を法律上の夫婦の子(嫡出子)と認めるよう求めた審判で、最高裁判所は嫡出子と認める決定を下しました。
これは性別変更した男性と血縁関係にない子供との親子関係を認めるという判断です。
法律

下図にある通り夫は元女性ですので妻との間に子供をもうけることは出来ません。しかし一般の夫婦と同様に民法772条「妻が婚姻中に妊娠すれば夫の子と推定する」との規定が適用されました。(クリックして拡大)
性変更の嫡出子

この男性は性別適合手術を受けて女性から男性となり、2008年に「性同一性障害特例法」に基づき性別を変更して妻と結婚。


妻が人工授精で第三者からの精子提供を受けて2009年に長男が誕生。出生届を本籍地の東京都新宿区に提出。
しかし男性の戸籍から性別変更が判明し、区は「父子の血縁関係が無い」と判断し、長男の戸籍に「妻の婚外子」と記載したとのこと。
そこでこの夫婦は長男の父として戸籍にこの男性の名前を記載するよう審判を申し立てました。


争点は上記の通り民法772条の規定を適用できるか否かということで、1、2審は長男を摘出子とは認めませんでした。


最高裁は特例法により変更後の性別として民法も適用され結婚も認められていると指摘。


「性別変更した男性の結婚を認めながら、妻との性的関係では子が出来ないことを理由に、父子関係を認めないのは相当にあらず」として一般の夫婦同様この長男は男性の実子と推定されると結論しました。
反対意見や異論もあるようですがとりあへずは判例ができました。
裁判所

かように法律は運用面で難渋することが多々あります。以前は自衛隊の違憲・合憲を巡り様々な「解釈」が百出しましたね。


さて、法律事務に関わる人は常にアンテナを高くして法改正や判例には気を配らねばなりませんね。うっかりすると改正前の情報が上書きされずにいることもありますんで。はい。自分が経験者です(汗)


本日も最後までお読み下さりありがとうございました。