ＣＴ
「がぶ飲み」などと言う…サイゼリヤとか、そういう業態の力というのは影響ありますか。
ＯＳ
ワインですよね。
口にしてもらうというチャンスとしては、アリだと思うんです。
ただ…これは「アウトレットワイン」というところから始まっていると思うんですが、最初はインポーターが気軽にやっていたラベル不良(の販売)とかが、やはり結果としてブランドイメージを崩してしまっているんですよね。結果、他の飲食店さんから嫌われてしまった。それでインポーターも出せない、ということになって一気に手を引きましたね。
業界としては「アウトレットワイン」というのはノー・グッド、良くないという判断です。ワインというのはブランドイメージもしっかり構築したいのに、それを崩されてしまいますから。アウトレットワインという言葉でなくても、「ワイン酒場」という言葉もある意味そうですが、たとえ2500円でも美味しいワインを飲ませなくてはいけないですね。これをわたしたちは主張しているんです。安ければなんでもいいから探してくれといって、それを提供しているお店は結構あるんです。なので、飲みにいっても「なんじゃこれ！？」というのは正直あります。
ですから、そこをやはりサプライヤーとしてはしっかりアピールしないといけないと思います。
販売者側としては、ワインの価格って簡単なんです。「これはいくらです」と言ってしまえば勝ちというか。例えば「これは1200円です」と言ってシェフがＯＫと言えば、ある意味勝ちというか、それで良いわけです。だから、いくらの物をいくらにするというよりも、特に今はオープン価格なので、900円でも(その価値を)納得させられれば勝ち、逆なら負け、というようなやり取りです。
皆さんがご存知の新川さんのところの「リゴレット」の本部に打ち合わせに行ったことがあるんです。大したものだなぁ、と思ったのはその選び方で。
メニューに並んでいるこの辺が欲しい…例えば、イタリアのこういう味筋が欲しい、みたいな…となると、私達のようなサプライヤーはサンプルを出します。それで、最初に値段ではなく、まずはテイスティングです。その結果、コストパフォーマンスとして2500円で満足させられるものであればＯＫなんです。そこで蓋を開けてみて、1000円だったとしても2500円で売るんです。
あとは、販売責任を負います。
半年間でこのくらい(お店で)売る(出す)と。例えば「100ケース」とか。それで、結果的にその期間内で売り切れなかったとしても、もちろん販売を約束した分は引き取る、と。だから、1000円より下げられないか、と値段の交渉をするわけです。でもサプライヤーからすれば、安心ですよね。確実に売ってくれますし、(もし足りなかった場合でも)引き取ってくれますし。それを徹底しているみたいです。
あとは、リゴレットさんのメニューで手書きのラベル見たことがありますか？
ＳＫ
はい、イラストで、可愛い感じのですよね。
ＯＳ
そうです。
やはり、エチケットでの売れ行きが全く違うそうです。
リゴレットさんのワンプライスゾーンに関しては、お客さんが好きに選びます。ですから、外見というかエチケットも重要なんだというようなことを言われました。
どんなに美味いな、と思っても正直な話、エチケットがあまり良くないと売れ行きもよくないそうです。アッパー(な値段)のラインはホールの方がお勧めしていきますから、極端な話、プレゼン力で売れていくそうです。
ワインも今、とても好調ですが、これからは色々と問われていく気がします。やはり、どういうワインを出して行くかによってですが、(知っている方が)見ればある程度わかりますからね。例えば、ワンプライスで出していれば、どの程度のワインを揃えているのか、とか。何でもかんでもというのでは、難しくなると思います。
皆さんにお聞きしたいのですが、何故日本酒は、４合瓶が並ぶ店がないんでしょうか。実は結構今、テーマにしていまして。
ワインは当たり前にテーブルに複数のボトルが並ぶじゃないですか。
ＳＫ
割高なイメージがあるのでは？
一升瓶から比べると、というか…単純に今思っただけですけど。
ＯＳ
アメリカなんかでは当たり前なんですよ、日本酒を飲むお店では４合瓶が並ぶのは。なんで日本では日本酒の４合瓶が当たり前にテーブルの上に並ばないのかな、と。
確かに、若干(アルコールの)度数は高いですけれど、それでも何故だろう、と。
ＣＴ
やはりＳＫさんが言うように、原価が割高だというイメージがあるんじゃないでしょうか。
ＳＫ
今、４合瓶のスタンダードなものだと、いくらくらいですか。店で飲むとしたら…。
ＯＳ
一升瓶の純米吟醸で2500円だとしたら、4合瓶だと1250円(一升瓶の値段の半分)です。
1250円のワインだと結構売れるんですが、1250円の日本酒だとあまり…。
③へ続く…