$真崎定点観察-カマキリ浮遊

 土曜日(13日)に、お台場のビッグサイトで開催されている、ダイビングフェスティバルへ顔を出すために東京へ行き、到着して見上げた空からパラつく小雨は、よく見れば「霙」でした。
 真崎で、雪を見ることは滅多に無いことですが、以前この魚を追っていて、ふと寒さに顔を上げると、霙よりも湿度の少ない風花が舞っていたことがありました。そんな天気に、浅瀬でドザエモンのようだと釣り人に罵られながら(釣り人には、邪魔だと思います)何年もこの魚の観察をしてきました。
 初めてこの魚を見たのは、確か長良川だったと思います。河口堰ができる数年前から、特定生物の生態調査が行われ、そこで見ました。認識したのは、小学生の頃に読んだ「釣りキチ三平」です。(笑)その後、四国の徳島県にある吉野川、県内の狩野川など、生態調査で15年も前から付き合いのある馴染みの魚です。狩野川と平行して、興津川や安倍川などでも個人的興味から観察を始めました。
 もぉ7~8年前になりますが、真崎の水深6mくらいの場所で立派な成魚をカメラマンの峯水くんと(彼が捜したんですけど)見た事もあります。奴らは親になると中層を泳ぎませんから、地続きの安倍川産の個体だと思われます。しかし、子孫を残すためだとは言え、20kmも離れている真崎まで来るなんて...。そのパワーには圧倒されます。事実、三保の松原の景観を損ねると不評のヘッドランドの張り石の下には、沢山のカマキリの卵が産みつけられていた事がありました。
 そして、その子たちも、親の辿った道のりを逆にトレースして、4月になると川へ遡ります。こんな川と海とを結んで展開する壮大なドラマの中で、唯一見た事がなかったのが、浮遊期のしかも色素が固定していない状態でした。これは、はっきり言って死ぬまでに見れれば良いくらいの長いスタンスで取組んでいましたので、焦る事も無く、自分の寿命を逆算して飼い始めるペットのような位置感で、観察を続けていた魚でした。本来なら、燃え尽き症候群になりそうな、自分にとっては物凄く大きなネタでしたが、達成感よりも次に登る段階への「刺激」になりました。
 次ぎは、どの生態を紐解いてやろうかなぁ~?
 東京に行って、旧知の友に会い、遊び、騒ぎ、刺激し合って、自分のやっている地道なことと、それが間違いでない事を確認しました。こんな文章が書けるのも、奴らのおかげですね?ありがたいなぁ。

$真崎定点観察-カマキリ着底