旅行のことを書こうと用意していたら、予想外の話を耳にしてしまい眼圧高くてキツイけど、書けるところまで書いてみます。
私は1~2か月に一度、理容室へ行く。
私たち家族は娘も含め、同じ店を使っている。
ここには女性の顔そりというのがあって、お願いすると女性の理容師さんが来て顔そり開始。
男性と同じ場所だけど、気持ちよさを考えたら男性と並ぶことなど屁とも思わない。
蒸しタオルで顔蒸しされて泡立てたシャボンを顔面に塗られ拭きとって、再びシャボンに塗れカミソリが入る。あごの下から首の後ろまでしてくれて、剃り終えたらクリームを塗って丁寧なマッサージ開始。約30分くらいで1260円だけど、他に1260円の有効な使い方を私は知らない。
さて、天国の入り口の扉に手を掛けた頃、隣に男性が座った。常連さんらしくて、店員さんと楽しそうに話は尽きない。
「地方のお祭りに行くことになってよぉ」
蒸しタオルで視界は遮断されていて声しか聴こえないが、声はモノマネのレベルを超えた哀川翔!
第一声が「クワガタがよぉ」だったら、私は蒸しタオルをはぎ取って隣に首を不躾なほどに曲げてガン見しただろう。
テキヤの兄さんかな?と思いながらも聞き耳を立てる。もう、眠気は消えた。以下、理容師さんと哀川(仮)として会話を書き起こしてみる。
哀川(仮)「今日は何の日か知ってるか?」
理容師「今日…ですか?8月30日ですよね?う~ん、何かありましたかねぇ」
哀川(仮)「わかんねぇのか?本気でわかんねぇのか?」
哀川アニキのボルテージが上がる。タクシーメーターで例えるならば、車輪一回転ごとに料金メーターが上がるくらいのもの。
理容師「いや、どうしてもわかりません」
哀川(仮)「8月30日はよぉ、はち、さん、まるで、ヤザワ。矢沢永ちゃんの日なんだよ。」
理容師さんのハサミ音が止まる。頭の中で語呂合わせの確認をしているようだ。
哀川(仮)「830でヤ・ザ・ワだろうが。覚えられんだろ?」
理容師はわからんが、私はその場で覚えた。
理容師「最近、テレビによく出ますよね?」
哀川(仮)「そうなんだよ。アルバム出すから、やっぱみんなに知ってもらいたいし、永ちゃんも気ぃ使ってくれて嬉しいな。あ、アルバム頼むよ。本当にいいから。」
もう哀川(仮)アニキの永ちゃん愛は止まらない。
私のブログ仲間さんの一人も、矢沢永吉さんの大ファンで色々と話題に触れているのを読ませてもらっているけれど、こうして地道にひとりひとりのファンが頑張ってるんだなって思うと、応援したくもなった。蒸しタオルの下で、私は顔も知らない哀川(仮)アニキにエールを送る。
理容師「そういえばコンサートとかあったんですよね?当然、行ったんですよね?すごかったでしょう!?」
理容師の言葉に哀川(仮)アニキの声のトーンが微妙に下がるのを私は聞き逃さなかった。
哀川(仮)「まぁよぉ、色々あってさ。申し込みは今回、出来なかったんだ。」
私は蒸しタオルの下で、言葉の行間をすぐに読み取れた。
そうだ、アニキはコンサートを申し込みできる状況ではなかったのだ。理容師よ、思い出せ。ここへきて開口一番のアニキの言葉を!『久しぶり~。ちょっと色々あっていなかったんだわ。』これは娑婆と呼ばれるところにいなかったって意味じゃないのか?
理容師の「どうして行かなかったのだ攻撃」にアニキは怒るどころか、だんだん落ち込んできている。
やがて哀川(仮)アニキが無口になって、やっと察したようで理容師は唐突に話題を変えて来た。
理容師「お祭りのクジって当たりは入っているんですか?」
おおっ、いきなり攻めるねぇ、理容師さん。店出してる人にその質問は大丈夫なのか?
哀川(仮)「ウチはちゃんと1等から4等まで入れてる」
理容師「ウチはってことは、入れてないところもあるんですか?」
哀川(仮)「youtuberとか来て、色々やってたし。でも、真っ当な商売やってるモンは入れてるわ。入れないモンは警察沙汰になっても入れんわ。」
(youtubeで偶然だったけれど、私はお祭りのクジ引きで1等があるのかをyoutuberがくじを全て買い取りカメラの前で確認したら1等や2等が入っていなかったと騒ぎになって警察沙汰にまでなっていたことを見ていた)
哀川(仮)アニキがかかわる店は健全な商いをしていると思い、心がホッコリしてしまう。
哀川(仮)アニキは、カットをしているらしく軽やかなハサミの音をBGMに声高なトークは続く。が、ここでは書けない内容が多くて一部割愛。テレビ番組だったら、聴力検査時ぐらいピー音が飛び交うと思う。
哀川(仮)「そういえば先日、〇〇の祭りに元×ゲンジの▲▲と川〇〇世が来てたんだよなぁ。スゲーぼったくりよぉ。」
おおっ、そのふたりが来ていたのも知らなかった私。
来ていたことだけでもチワワ奥と話は盛り上がれるというのに、ぼったくりって一体どんな!?
聞き耳を更にたてる。もう、野ウサギが気配を感じて耳を立てるレベルだ。
と、ここで何と!私の顔そりが終了してしまった。
いや、これからいいところなんじゃ……と思うが、椅子も寝た状態から起こされてしまう。
仕上げを見るふりをして、視界に隅にアニキを捉えた。
見た目は……ご想像にお任せです。
あえて言うなら、お笑いの「アイパー相沢さん」似。
アニキは自分の横に、自分よりも短髪の、自分よりもでかい女がいたと知って、こっちを二度見してた。
あと少し、話を聴きたかったなぁ。