小学校5年、学校課題の宿題の作文
【冬が来る前に】
天気予報で、雪が降ると聞いて、家族で冬のくつと服を買いに出かけました。
私は去年より、身長も体重も増えていて、今年の春先まで着ていた服が、ほとんど小さくなっていました。
お父さんのくつも、仕事でボロボロになっていました。
お父さんの靴を買うことになりましたが、お母さんが
「高いくつは絶対に買うな」
と、怖い顔をで言うと、お父さんは私のくつより安いくつを選んで来ました。
他にも、上着やズボンなど、たくさん買ってもらいました。
帰りに、ご飯を食べて行こうということになりましたが、お母さんが
「たくさん食べて太ったら、また着るものがなくなる。」
と、淋しく三人でそばを食べました。
家に戻って、買って来た品物を整理しましたが、私とお父さんのものばかりで、お母さんのものが一つもありませんでした。
お母さんは、怒ったり文句を言ったりするのが仕事だと思っていましたが、自分のことを後回しにしたり、がまんしたりと私の知らないお母さんの仕事を知りました。
次の日、家族に内緒でお母さんが、インターネットで注文していた岡田准一さんのCDやDVDがたくさん届いてしまい、お母さんは必死に言い訳をしていました。でも、お母さんは幸せそうでした。
お母さんは、これがあれば冬でも心がポカポカと笑っていました。
毎日、小学校5年からは、家庭学習の一環としてほぼ毎日、作文の提出があった。
書くのが嫌でやらない子が多かったけれど、娘は楽しそうに書いてた。
娘の作文には必ず『オチ』がある。
思わず頷くものもあれば「家庭のプライバシー、そこまで晒すか!?」と泣きたくなるものまで多岐に渡る。
「服を買いに行きました。うれしかったです。」で終わるのはつまらない。
「うれしかったです。」で〆ずに、もう少し様子を見れば話は意外な展開を見せるかも知れないという可能性を、娘は私や亭主を犠牲にしてまで書いてしま……いや、書いてくれた。
三人で食べた掛けそば、美味しかったなぁ。
今日、娘は数年待ってやっと新たな心療内科へ通院開始。
先生との相性が良かったようで、今のところは通院が楽しみと笑っていた。
睡眠障害対応の薬を取りあえず二週間分貰った。
今までメンタル系の病院難民だった娘。
年齢的にも親にも言いたくないこともあるだろうし、親だからと何でも無理に介入はせずに、娘が必要とする部分には医者やカウンセラーに対応してもらう方が吉だと思う。
親だからと全て背負えるはずはない。
医者だからと全て任せられるはずもない。
出来る者が、その都度手を出せばいいと割り切るのが、わたくし『たま流』。