赤紙キター!

 

用があって出掛けにポストを見たら入っていた。

それを手に亭主の待つ、車に乗り込んだ。

車内にあるはさみで開封して、彼の思いの詰まった文面に目を通す。

おどけながら、その文面を音読しているうちに。

 

あれれ。

なんでだろう?

文字が歪んで、読めないや……

 

後部座席で涙がポロポロとこぼれ落ちる。

声が上ずり、振り向く亭主の目に入ったのは涙を拭う妻の姿。

 

ふと横を見ると、運転手である見知らぬおじさんが、心配そうに私の様子を伺っている。

そのまま視線を亭主に移すと、その表情は「俺が女房に公開DVしているみたいじゃないか!」と言いたげだ。

 

 

私が俳優・岡田准一を意識したのは、2007年11月から放送されたドラマ「SP 警視庁警備部警護課第四係」からだった。

正直言うと、このドラマを最初から最後までしっかりと見た訳ではない。(最終回はしっかりと見たけど)

『警護官』という職業を演じる上で、武術マスターは必須。(のはず)

でも、俳優の多くは、撮影技術を駆使して、如何にもその人が強いって見せてくれるが、岡田君は違った。

彼はSPの井上薫の役を演じることが決まった時点で、1年かけてスタントマンや撮影技術で誤魔化す撮影をせず、武術を学ぶことを選んだ。

 

 

*カリ

フィリピンの伝統武術で短いラタン製の棒や両刃の短剣を使う。近年、ハリウッドのアクション映画でも主流となっている。よく間違えられるのですが、カリとシラットは別の武術。カリは武器を使う事を前提に行う武術。岡田君がSPのアクションで警棒を使ってカリのよ うな動きをしていたが、急所を狙いながら相手を抑える、こちらも実践的な武術。刃物を持った相手にも通用しそうな武術だ。

 

*ジークンドー

故ブルースリーが作り上げた格闘技。カンフーの技術にレスリングやボクシング、合気道、柔道など様々な格闘技のエッセンスが含まれている武道。ジークンドーは実践型の格闘 技術としても有名。元はカンフーなど古来からある武術をベースに様々な格闘技の技術を応用し吸収したことで完成した格闘技である。

 

*USA修斗

元タイガーマスクの佐山聡が作り上げた総合格闘技。打撃あり、寝技あり、投げあり、何でもありの格闘技。こちらも実践型に近い格闘技である。岡田君もアクションシーンでよくタックルや関節技、絞め技などを繰り広げているシーンが見受けられる。

 

 

 

彼は今もこれらを学ぶ続けている。そして、師範と呼ばれるまでになった。

未だに「芸能人が金を積んで師範の資格を手にしたんだ」と言う者がいる。

でも、コンサートに通い、彼の姿を見ている本物のファンならば知っているし、わかってもいる。

あの見るたびに厚くなる胸や腕、アイドル路線を断ち切ってまで井上薫を演じようと頑張った彼の努力が見せかけではないということを。事実、彼の師範取得を誹謗中傷する者の殆どが、コンサートなどで偽りのない彼の姿を見たことのない者ばかりだった。練習中に顔などに打撃を受ければ、アイドルとしての仕事にも障りが出て来るし、彼の所属事務所も格闘技を始めることには難色を示し続けていたとの話も、嘘とは思えない。

 

色々と言う人はあると思うけれど、私は彼の闘う姿に昔、家庭と学校で居場所を失い自死さえ覚悟した時、その死へ向かう足の向きを強引に変えてくれた初代タイガーマスクの姿を、幾度目かの人生の壁に阻まれ落ち込んだ時、私は岡田君を通してだぶらせて見た。私は生きることにまた、前向きになれた。

岡田君がUSA修斗を学び始めた時、創始者である佐山聡はすでに、その道場にはいなかったが彼の思いはそこにはあったし、岡田君はそれを貪欲に追い学び今に至る。

 

 

自分の涙って嬉し涙だったんだよなって、今になって思った。

不特定多数のファンの幸せのために、不本意ながらも独身を貫くなどあってはならないし、ファンならそんなことを認めてはならないと思う。

 

でも、今も号泣している姐さん方がたくさんいると思うと、やはり切ないな。

今まで彼からたくさんの幸せを貰えたんだし、今度は私たちが笑顔で彼が笑顔で新たな作品を作れるように応援できたらと思う。