福岡・山口と楽しい旅を終えて千歳へ降り立つ時。
「血も涙もない、現実の世界へようこそ」
と、亭主と娘に冗談で言ったが、これが冗談にはなっていなかった。
楽しかったことをあれこれupしようと思っていたけど、毒母に幻覚幻聴を押さえる薬を次第に強くしていき、何とかそれを自発的にかつ継続させて飲ませるのが一番の仕事となった。
あの手この手でどうにか薬は服用させることに今は成功しているけれど、好き勝手やることの度合いも強くなり、腹立つ亭主が私にあたるようになっている。
もう、面倒なんで離婚してくれればって思うけれど、亭主はそれも面倒なんで毒母同様に私に棘のある言葉を吐きまくる。あぁ……
福岡は痴呆症の毒母を持つ傷ついた旅人には優しい街だった。
髪の薄くなった、杖をつくおばさんが地下鉄などに乗るとほとんどの方が席を譲ってくださった。
おかげであちこち移動したけれど、倒れることなく予定をこなすことができた。
娘の希望で関門海峡を歩いて山口県まで行こうということになって、取りあえず新幹線を一駅使ったら、なんと!!私が大好きな500系が来た!!
最後に乗ったのが京都・大阪間とこれまた一駅だったけれど子供以上に興奮した。
これにも乗ってみたかったな。
初めて見た関門海峡は興奮した。
そう、『海賊と呼ばれた男』の岡田くんがここで手漕ぎ船で石油を売ってたんだよね。
映画を観た時、まさか数か月後に自分がこの関門海峡を生で見る日が来るなんて、想像もしていなかったから、感慨深いものがあった。これは福岡側から見たもの。
で、お約束の真ん中で記念撮影。撮影は順番待ち。
たくさんの人が楽しそうに歩いていた。
で、山口側から見た風景。何時間見ていても飽きない風景だった。
安徳帝の碑を前に長く手を合わせた。
福岡も山口も出会う人みんながいい人で、私も娘もここへの移住・永住を希望したくらいだった。氷点下8度の北海道を出て、菜の花や梅が咲きほこる温かなこの地は、本当に居心地が良かった。
私は暑く感じて上着を脱いで歩いていたが、こちらの人はみんな冬のコートや装備で「暑くねぇのかよ?」と驚いた。
不思議な光景だったのが女性の靴。
サンダルもいれば春夏のパンプスもいて、更に冬用のブーツもいて、こちらではあり得ない光景で地下街や街中では面白くなって女性の足元ばかり見る変質者になっていた。
あと、北海道の特に女性って暗い服装が多いんだなって思った。
鬱々とした気分になるわな、これじゃ。
次回からは服選びの際には、明るいものを選ぼうと思った。
ばばぁひとりで試される大地を少しでも明るくするぞ。
ポケモンは面白いくらい出まくった。
特に下関でバスに乗ったら、札幌で見たこともないモノが出続けた。
で、札幌に戻ったらまた虫とかネズミなど、害虫駆除のようなポケモンに戻ったのが寂しかった。
年金生活になったら、雪のない福岡のような土地で暮らしたい。
おにぎり持って一日、関門海峡見つめている暮らしに憧れた。
これだけ心癒されたにも関わらず、帰宅後一撃でそれを蹴散らした毒母の攻撃力は半端ねぇと思った。