なにをするか。ではなく誰がするか。だと思う? ブログネタ:なにをするか。ではなく誰がするか。だと思う?

一昨日のこと。学校で授業を終えた娘から電話が来て、体調が悪いからこのまま掛かりつけの内科へ行きたいという。だったら病院で待ち合わせしようということになって、私はすぐに支度をして家を出た。背後で毒母があれこれ言っていたが一切無視。診察ではかなり扁桃腺が晴れていて「これは熱出ますよ」と言われ、しばらく安静を言いつかり腹いっぱいになるくらい薬をもらって帰宅した。明日、明後日と学校は行かなくてもいいとわかったせいか、娘は安堵して表情も明るくなった。家で毒母、学校ではアスペ的思考でクラスメートと壁が出来つつあると悩む娘はまさに「前門の虎(毒母)、後門の狼(馴染めない級友)状態」なのだろう。(私のiPhoneもこのPCも「こうもん」って入力すると「肛門」が一番で出てくるなぁ…)そんな娘が最近言うのは、学校で(女子校)“おそ松さん”が流行っているが、私は好きじゃないし意味わかんないから嫌いだということだ。その話題に入りたくもないし」と取り付く島もない勢いで“おそ松さん”を毛嫌いしている。学校では「アニメ好き=腐女子」の構図があってそれが嫌だという。まぁ、母が腐れ母さんであっても気にはしてないのが救いだが。(汗)昨夜のこと。娘と「なぜ、そこまで“おそ松さん”が嫌いなのか?」について話をすることとなった。

娘曰く「腐女子が騒いでいて気持ち悪い」とか「何がいいのかが理解できない」とこの二つを軸にエンドレスで不愉快光線を母に向けて発射しまくる。正直、私も実は今の“おそ松さん”ブームがさっぱり理解できない人間の一人である。いや、モノクロ時代の“おそ松さん”を知っているが、当時から赤塚ギャグが全く理解できなくて、現皇太子がなぜにイヤミの真似をして週刊誌にその醜態を晒してしまったも理解できないままだった。私も娘も「好きではない」し「むしろ嫌いである」という感情は一致しているが、問題はその“おそ松さん”の話題が苦痛であり、登校がしんどくなった一因となると事情はかわる。しばし私はネットで情報を集めてから、夜遅くに娘に声をかけた。(亭主は出張でいないから助かった)

「あのさぁ、“おそ松さん”が嫌いなことに異議はないんだけど、だったら何が、どこがどう嫌な訳?」

と、問うと娘の表情は困惑へと変わった。

「嫌いでも『私は見たけど○○な部分が好きになれない』って理論的に説明できるの?」

と更に問いかけると娘は黙った。

「でね、これからお母さんと“おそ松さん”観ようよ。で、観た上で何が嫌かをはっきりさせて、友達と一線引けばあんたも少しは気持ち的にスッキリするんじゃない?」

相も変わらずとんでもないことを突然言いだす母の言葉に「お、おう」と返事をして、母と娘の深夜の“おそ松さん”鑑賞会が幕を開けた。


私がチョイスしたのは二つの作品。ひとつは「エスパーニャンコ」、もうひとつは「十四松の恋」。まずは「ニャンコ」の鑑賞が始まった。
色々なドタバタがあって結果、人の本音がわかる上に人の言葉が話せる「エスパーニャンコ」が誕生した。

一松「なんでそんな面倒なものを作らなくちゃいけない」

ネコ「なんで僕には友達ができないの」

     *

一松「あぁ馬鹿らしい」

ネコ「あぁ寂しい」

*
一松とニャンコとの「本音」やり取りに、本当は学校や友達が好きだけど、思うように学校へ行けない娘の心が動いたのを私は感じた。余韻が残るうちに「十四松の恋」を観始めた。これは私なんぞが余計なことは書けない。各自、観た方がそれぞれに感じるものがあると思うから。ただただ、スタッフが実に細かな部分にまで拘りを持って描いていると感心した。娘は“おそ松さん”が好きになってしまった。(笑)

観た後に娘と、特に「十四松の恋」について感想を述べあった。これはもう、「国語の授業」に匹敵するレベルの話し合いになった。「どうして新幹線に乗った彼女の腕に十四松のリストバンドがされていたのか?」「おそ松はどうして金を持っていなかったのか?」「新幹線に表記されていた『さいはて』とは何を指すのか?」等々。


娘は食わず嫌いな面が多々ある。障害が故もあるのだろうが、だからこそ人生においてかなり損をしていると私は思う。どうしても……生理的に受けつけなかった“おそ松さん”を一緒に鑑賞してどこが嫌いかをはっきりさせよう!ってのは、娘を育て始めてからかなり使った手法ではある。別に嫌いなら嫌いなままでいいんだが、食わず嫌いでクラスメートから距離を置いて孤独になる姿を想像すると親としては切なくなってしまう。今回の鑑賞会で、娘は学校へ復帰したら友達と“おそ松さん”の話で盛り上がるきっかけが掴めそうだと笑った。


で、全くどうでもいい話だが、自分の世代での声優さんでの“おそ松さん”の打線を組んでみた。ヤマト世代であり、「声優」って言葉を日の当たる場所へ持ちあげた世代が私の世代なんで、きっと今の人が知らない名もあると思う。(苦笑)

おそ松…神谷明
カラ松…井上真樹夫
チョロ松…森功至
一松…伊武雅之
十四松…富山敬
トド松…井上和彦

自分にとっては今も「伊武雅之」なんだよね。故人もいるから無理だけど、これが実現したら、第一世代がパニックになったと思う。

まぁ、何だかんだで娘は僅かだけどまた、人の心のひだを感じて読めるようになった気がした。ありがとう、“おそ松ブラザーズ”。

【結論】誰でもいいからまずはやれよ。