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こんなバカ夫婦にも当然ながら『新婚時代』は確かに存在した。そしてそれは、同居を開始して初めてのエイプリルフールに起きた。と、言うか私が起こした。

バイトをしていたとんかつ屋さんから、赤字続きで商売にならないから明日で店を閉めると突然言われ、でも、払うお金もないからと冷凍庫に入っていた冷凍コロッケ30個と生卵20個、米一升にとんかつソース1本に、オーナーが好みで着せられていたピンクのフリルの付いたエプロンを半ば強引に手渡され退職となった私。無理に着せられていたこんな恥ずかしいエプロンなんて着られるかと思っていたエプロンはその時、新婚の私のシンボル的存在になっていた。
亭主が帰宅して私は普通に「あら、早かったんだ。今、ご飯の支度するから」と、慌ててキッチンに立った。『トントントントン……』私が握る包丁が、まだ新しいまな板で小気味よくリズムを刻む。着替えも済み、夕刊を広げながら亭主はお茶を一口、飲んだ。と、その時だった。『ガタン!』と、包丁は激しい音と共にシンクに落ち私は「痛いっ!」と、指を押さえ背を曲げた。何事かと亭主がこちらを見た瞬間、私は自分の指先を見せた。指先は朱に染まり手首から、それは滴りさえしていた。
「あ゛っ!」亭主は立つとも座るともはっきりしない奇妙な姿で私の元へ寄って来た。
「え、え、えっ??」
それは血ではなく、俗にいう赤チンだった。
掃除をしていた時に、出て来たもので既に使わず月日も経っていて、捨てようと思ったものの『こりゃ使えるじゃん』と、ひとりほくそ笑んだ私は、それをピンクのエプロンのポケットに隠し入れた。そして、指を切ったマネをしたのだ。
涙目でどこの星の生物なのかと思うような動きをしながら、私の元へ来た亭主の姿に申し訳ないと言う感情よりも、『まだ愛されている』と実感をした。昨年、巷では10倍返しだ!、100倍返しだ!!と騒がれていたが、我が家では同居してすぐにそれは始まっていて、文句を言えば妻は何の躊躇いもなく次回はホッケーマスクを被りジェーソンになりきり追いかけて来ることも想像に難くはない。だから、亭主は怒りの解消よりも、泣き寝入りによる安寧を常に選択した。『真っ赤なウソ作戦』は大成功をおさめた。しかし、神は亭主を泣かしてばかりはいなかった。

その後、私はソファーの角に足の小指を強打して、小指があらぬ方向へ向いてしまう骨折をしたり、些細な事で肋骨にヒビを入れたりもしたが、「オオカミが出たぞぉ!」も、相棒の再放送並に繰り返せば、なかなか信じて貰えず、骨折してギプス固定し終えた画像を送ったりしなければならなくなってしまった。

「病気、完治したんだって!」
今年のエイプリルフール、これは許される嘘になるのだろうか。


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