三つの主題による長大な曲です。リチェルカールという曲種は表面上地味を絵に描いたような進行をしつつ、内部に高度な作曲技法を詰め込む型なのでかなり損をしています。演奏する側が今何をやっているのか見失う危険も多分にありますし、聴く側も忍耐力と集中力を要求されます。ですが、当時の世俗曲の中でこれほど内省的な分野もありません。バロック期になるとモノディやらアフェクトーやら新たな技法が生れてリチェルカールは廃れてしまいますが、ルネサンス期の音楽を知る上でこの曲種は避けることが出来ません。このメルーロの曲集は一つの試金石かもしれません。
http://aeolianconsort.chakin.com/Merulo.htm#Ricercari_Merulo_Ricercari_libro3
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