G-3623 <夢メモ>雨の刑事モノ 分割稿① | ガンダムFREAK!! <B-Edition>

G-3623 <夢メモ>雨の刑事モノ 分割稿①

<夢メモ>雨の刑事モノ

 

微睡(まどろみ)から目を覚ます

凭れかかる車窓

 

見上げる先の空

どんよりと暗く雲が立ち込める

 

まだ明るい時間なのだろう

灰色に淀み

しかし明けてはいる

暗く輝く空

太陽のないホライゾンブルー

 

ここはどこなのだろう

バスの中だろうか

揺られているのは一人

一番後ろの席

 

まだ意識は甘く揺籃に揺蕩う

もう少し起きたくない

 

停留所に着く

終点であるらしい

 

漸く目が冴えてきて

薄く濡れたアスファルトの地面に降り立つ

 

そこは、道半ばのバス停というよりは

何本ものバスが停まるターミナル

 

そんなに各社の路線が乗り入れる重要拠点という感じでもなく

恐らく一社の車庫が近くに在るか、

ここ自体が車庫のようなものか

 

というのも見渡すパノラマが

霧深い山林

手前には街道があり町があるのだが

どう考えても都会の光景ではない

 

思い出してきた

この田舎町には事件の捜査で来た

自分は位の低い刑事で

先輩の刑事と待ち合わせている

 

先輩の方が地位の高い刑事、という事は警部補だとかかな、自分は巡査だろうか

夢の中のロールプレイだとは当初から気が付いている

 

しかしこの空気まで美しい田舎町

堪能したくなる

 

約束をすっぽかして散歩にでも飛び出して行きたい気持ちに釘を刺すように

後ろから、片腕でこちらの両肩を抱くようにして挨拶

上司刑事だ

 

モト冬樹か三宅裕司のようなイメージ

親しみやすいイメージの明るい人だ

遅れて来たのではなく、その広い停留所で自分を待ってくれていたのだろう

振り向いて元来た先をちらと見て確信したが

恐らく後方のベンチから来ている

 

事件というのが、何件か連続して

不審な行方不明が起こっている

どうも行方不明者と思しきが急激に老化したような遺体が見つかっており

身包みは行方不明者と同じ

ただどう考えても年齢層が合致しない

 

老化というより、歯形や指紋なども照合できない程に朽ちており、最早「風化」と言うが近い

 

何らか特殊な殺され方をしているとか

もしくは未知の風土病の可能性もある

 

停留所の程近く

ベンチが並んだ広場のようになっている

屋根こそ無いが、待合所みたいなものか

 

そこに、この町の最大の土着信仰

というより唯一の信仰の信徒が集まって来ている

最初はお祭りかと思って興味を惹かれつつ

捜査の一環としても参加者に話を聞いてみるのだが

なんと今日は、教祖様がお見えになると

 

それははて、事件に関係あるだろうかとは思いつつ、先輩と共に空きベンチの一つに腰掛け様子を見る

 

ふうと一息吐いた瞬間、傍らに巫女服の美しく若い女性がやってくる

確かに美しく若いが、何より優しげだ

単なる巫女服ではなく、頭部には金の小さな鏡を何枚も連ねた冠のようなものを備えている

卑弥呼…というと受け取るイメージがバラバラか

祭礼用の巫女服とでも言おうか

 

飲み物を勧めてくれる

有難く頂戴する

人当たりの良い笑顔

まるで太陽のようだ

 

まだ両手で飲み物の乗った盆を持ったままの彼女は、軽く会釈をして立ち去る

自分は深々と腰を曲げて礼をする

 

「この飲み物、飲んだら老化するとかだったらどうする?」

先輩に言われて見遣る

渡されたのは白く細長い、徳利だろうか

確かに中身は分からないが

 

しかし疑ってあの人の厚意を無碍にするのも違う気がする

「もし自分がそうなったら、先輩がそれをヒントに犯人を突き止めて下さいよ?」

意を決してぐい、と一口

 

…何だろうこれは?

甘酒、だろうか

旨いは旨い、毒だとか苦々しいとかじゃないが

そもそもあまり飲んだ事が無い味だ

 

虹のような味わい?

という表現が脳裏に浮かんだが

その取り取りの味を表現できる語彙を持ち合わせていない

感じる味のそれぞれが今までの人生で未知というか

触ってこなかった分野だ

 

ポテトチップスやらのスナック菓子ばかり食べて育ってきた子に、

はたまた高級ロールケーキやガトーショコラばかりを味わってきた裕福な家の子に

田舎のぼた餅の美味さを一から説明するかのような困難

 

結論、「豊かな味の甘酒」だと判定を下した

自分も一口、という先輩刑事を冗談でなく制する

本当に毒か、何らかの手口への導入という可能性を自分だって疑っているのだ

 

集まった皆の前、教団の者たちが壇上に立つ

…と思えば、一人か二人の黒子(顔は何かの呪文のような大きな字が一つ書かれた布で覆い隠されている、漢字のような印象をパッと見は受けるが、書き込みが細かくグラフィカルで、漢字ではないのが明らか…というよりアレンジ漢字みたいなアートではないだろうか?その他は本当に忍者のような黒子装束)と、先刻の巫女服の女性が現れるのみ

 

実はそのうら若き女性こそが教祖その人だという

 

てっきりもっと高齢の女性だと思っていた、というかその話だったはずだが、近々に代替わりしていたのか?

 

皆の注目を浴び、はにかむ姿さえも初々しい

 

今日は定例の通り占いをするのだという

「石を引き、並べて、運命の並びを見る」

つまりは石占いだろう

 

やり方としては、ビー玉ではないが、丸い石を用いて…それも色とりどりの多数の石玉だ

各々の石は教祖と村人を司っている

これを順々に引き、星図に相当する位置に並べていくという

その並びの端は必ず教祖自身を示す石になるという

 

まずは目を瞑り、手探りで箱の中から石を取り出す

透き通る暗い紫の結晶ながら、内から光が差すように

いや、闇が差すようにか

黒い閃光の奔る「瞳石」

これを引き当て、掲げる

 

おお、と歓声

これこそが教祖自身を表す宝玉だという

 

不思議なものだ

トリックだとしたらあまりに稚拙

それぞれの玉の手触りを覚えてしまっても良いし

薄目で見てもいい

 

何ならこれ以降は目を瞑りもしないので

それらしいものを順に引いてもいい

 

だが原始的だからこそ、

本当に奇跡の御業が込められていると言われても納得してしまう部分がある

 

この占いで見れるのは「教祖との距離」

星図の流れというが

蛇行のように、九十九折のように

しかし一本道を形成していて

その道順の通りに石が並べられていく

 

並び順は不変の一定ではなくして

運命の予兆を感じ取って順番が前後する

 

距離というのは物理的な所在場所ではなく

「運命の距離」

心理的な近さ、だけでもない

縁の近さを意味するのだろう

同じ町、共に暮らし、同じ理想を見て歩いてゆける側近は近く

心が離反し、信心が足りず、はたまた町を出る事になる者は遠くなると

 

こじつけそのものだが、一つだけ気になる点が

それはこの「石」、運命石と呼ばれるものだが

一つとて同じものはなく

また一人一人の運命に対し固定だという

さりとて何処から入手してきているのかは分からず

村の川原から授かってくる、などとも言われる

 

が、そんな変わった石が取れるような産地では到底無い筈で

そもそも何かの結晶の産地というでもない

 

たまたま流れ着いてくる…とでも言うのか?

運命に惹かれて?

 

教祖の若い女性の目には、見た者の運命が放つ光のようなものが見え、それと同じ波動を司る石が必ず見つかるのだという

 

だから、一回目に石を引くときは目を閉じた方が、自身と同じ波動の石を強く感じられる

二回目以降は会場の客それぞれの波動を見て、石と比べた方が、結果を教えてやりやすいと

こういうわけだ

 

お前の運命を司る石はこの石、なんて変な模様付きの丸い石を示されても、到底納得できるわけがないだろう

ただこの村では納得度は100%のようだ

どことなく自分を象徴している、と皆が納得するという

模様や色や大きさや

皆バラバラのその石は、何処か自分を象徴して思われるのだと

 

6番目は佐藤さん、そうかついに万年5番の俺も6番に陥落か、ははは~と、そんな身内のノリのショーが展開される

 

バカバカしい

席を立ち、また隣の先輩にも場を離れるよう促す

参考までに先輩は見て行きたかったようだが

その場へ置いて去って行く

やはり意味もなく下らないという先入観の方が勝るのか、先輩も後から追いかけてくる

 

くだらない

だって、今日たまたま来た自分より遠い者なんているものか

捜査だけしてすぐ去っていくような

接点の無い自分が一番遠いんだ

 

妙に拗ねてしまっているのか、なんて事を自覚して我に返る

そんなわけが無いのだ

そもそもあの箱には自分たちの分の運命石なんてあるわけが無いのだから

通りすがりの見物客なんて占いの対象にすらならんだろう

徹頭徹尾無関係なショー

 

不可解なのは住民が皆教祖を信じているという事

今日の参加者は疎らだが、

これは運命を知りたい者が来ているだけで

これで運命が占えるという事自体を信じていない者はいないという

 

卑近に解釈するなら、受験を控えた子は運勢の流れを知りたいとかだろうな

 

流れ…教祖に近く昇り詰めていくほど運命が上向いているとかか?

いやそうか、違うな

教祖から遠くなっておれば受験を突破してこの町を離れ、

結果距離が遠ざかっていく可能性も在るのか

 

そんな事を親身になって喜ぶのか?

いや、この村の教祖なら、そうなのかもな

平和で長閑なこの村ならば

 

「あの占いで一番遠い人が次の被害者だったらどうする?」

早足に会場を後にした自分の背、

背後からかけられた先輩の言葉にぴた、と歩みが止まる

 

…それは一理あるというか

思い至らなかった、

いや、わざと見過ごした可能性の一つであった?

だがそんな予告殺人を、嬉々として住民が喜ぶものだろうかと

堂々とやり過ぎている

 

仮に教団が犯人でなかったとしてさえ

その占いに託けて真犯人が連続で誘拐か

または殺人かを繰り返しているのなら

教団に非難が及ぶのは必至なわけで

黙示の教唆だとしても

間接殺人の認定を当然考えねばならないわけで

 

「そういう可能性も考えとけってこったよ」

シリアスに考えを巡らせる自分を茶化すように先輩がオチをつける

 

何となし居た堪れなくなった自分の精神的な葛藤

そんなところも先輩は感じ取っている

というかお見通しなのだろうか

流石だな先輩は

 

もしかして自分が分かりやすすぎたか

よそ者感がひどいものな

 

だがしかし、恐ろしいことを言う

もし占いで一番遠いのが――まあ現実として一番運命が遠いのは確実に自分らだが――自分達だと出たら

それは、次に狙われる順番が…

 

「バーカ、ものの例えだよ。

今日来た俺らが石になってるわけねえだろ」

「…ですよね」

同じ考えに安堵する

 

「そもそもな。

消えてるガイシャ達は、あの占いでは6番目とか7番目とかなんだと」

 

…。

無関係でもないのか?

事件と、占いの結果と

 

何日か先行して捜査に入っていた先輩、既に大分調べを進めているようだった

 

「だから今回、怪しいのは佐藤さんだ」

狙われるとしたら今回6位の佐藤さん。

その割に笑っていたけど

 

「5位から6位への落ち込み

教団への貢献が落ちていることを意味する

…これは狙われるぜ」

先輩の捜査手腕はいつも感服する

ただこの人、毎度推理外すんだよな

下っ端の自分が後から呼ばれたのもその為だし

話半分に聞いた方がよさそうだ

 

いずれにしろ、そこまでランキングを聞くために少し会場で粘ってたのか

そうとも知らず置いて行ってすまない

心で詫びつつ、先輩と共に歩く

 

<次回に続く>

 

 

 

 

↑SMPジェイデッカー出たか~!デュークファイヤーも早く欲しいな。またぞろプレバン限定でガンマックスも出るらしいが、ビルドタイガーも計画はあるらしい!いや~、ジェイデッカーとか黄金期よ…ぜひ全種出してほしい