G-3467 平成異次元ガンダム回顧録 後編 | ガンダムFREAK!! <B-Edition>

G-3467 平成異次元ガンダム回顧録 後編

Vガンダムは監督自らに失敗作のお墨付きを貰ってるんです。

だとしても俺は好き、ってだけなんですけどね。

ええ。

KIZUIです。

その意味で言うとガンダムXは輪をかけて失敗作なんじゃねえのか、と。

不人気の極みVですら放送中に打ち切りなんて喰らってない。

尤も、Xは打ち切り決定後もシナリオ圧縮で被害は最小限に留め、根幹のストーリーはやり切ってくれたんですけどね。

では結局Xは失敗作か?と。

改めてこう訊かれると、自分は中々、是とはし難い。

そりゃあまあ、成功作品以外はみんな失敗作だ、という無思慮な二元論に立てば失敗のカテゴリでしょうよ。

それこそブームとして認められてるヤマトとガンダムとエヴァンゲリオン以外は全て失敗作だと論じるような、度し難ェのにまで次元を落とせばそうなりますが。

でも自分はそうは思わない。

Xはね、失敗作なんじゃない。

「打ち切り作品」なんですよ。

 

 

 

<前回の続き>

平成異次元3部作、と言ってもストーリーや設定の繋がりは全く無いが。

その最終章、ガンダムX。

 

メカとしては無比の破壊力を誇る最強武器「サテライトキャノン」を擁する主役機・ガンダムXをはじめ、重装備が詰め込まれた上に左腕がガトリングと一体化する異形のレオパルド、アンテナ形状など縦に細いイメージを出し過ぎるのはどうかと思うが航空機へと鮮やかに変形するエアマスターと、味方陣は3体体制。

5大主人公の内2枠は敵であるフロスト兄弟が操るヴァサーゴ、アシュタロンという、輪をかけて異形な凶悪機体へと割り振られている。

 

従来作ではガンダムは単一であったり、味方がガンダムチームを組むとしてもゼータとMk-Ⅱ以外はデルタガンダムからの流用派生である百式だった等、ガンダムという存在は稀有なものとして価値を持っていた。

ところがGガンダム以降、味方ばかりがガンダムを5台も揃えるという流れになりつつあり、この体制は戦隊ヒーローものの黄金律を意識した造りではあったが、シリアスを基調とするガンダムシリーズの伝統としてはやや行き過ぎであった。

(因みにSDVでは武者五人衆やアルガス騎士団+バーサル騎士、シャドウフレア5などで人気株のガンダムがチームを組むことは非常に有効な手段ではあった。)

 

Wでは主役五人があちこち流転し敵味方入り乱れるという目まぐるしいストーリー展開で以て味方側の戦力余剰問題を上手く捌いていたが、Xでは遂に5大主人公に敵を入れ込む事で根本的な対応が図られたのだ。

この手法は後に、ガンダムSEEDに於いて5体中敵が4体という究極のサバイバル図式へと昇華される。

 

Xのプラキットは、造形水準や色分けのクオリティなどで現代と比するのは流石に酷とはいえ、改めて見れば内容的に究極といえる域に達していた。

コレクションシリーズのパーツ数など、500円商品の限界を越えつつあり、素晴らしいパーツ密度を達成していた。

豪華ラインである1/100ではメッキの採用に加え、独自の付加価値としてのオプションウェポンを採用するなど、企画に於いては現代をすら凌駕し得る部分もある。

 

それらメカは、VやGでの後半主役機への乗り換えや、Wで追加されたサブ主役機2体の強化版といった流れを更に進化させ、遂に5大主役機全てに後半強化型が用意された。

主役であるXに至っては、なんと合計4段の進化と評する事も出来た(X→ディバイダー→後半主役機XXへの乗り換え→Gファルコンとの合体、「これが新たなるXの力か」をキャッチコピーとするCMに象徴的)。

短い準備期間でここまでの進化が打ち出してこれたのは、正に研鑽の結実の瞬間だった。

 

ここが自分の心躍った、ピークの内の一つだったと思う。

ガンプラを追っているとそんなピークが幾つもあって、やれGユニットだの、SEED-MSVだのと盛り上がりには事欠かないのだが。

大きな峰を捉えるなら、SD全盛期、そして平成異次元の隆盛、MGでの第二次ブーム、そしてSEEDなどでピークを迎えていた。

もちろんその後も、PGやRGやPG-ULなど幾つも楽しみはあったが。

 

ただその内、Xで迎えたプラキットへの期待のピークは、しかし世間的にはそこまで人気を得られず、X本編はあえなく短縮打ち切りという結末を迎えてしまう。

キットとしても可能な限りは出してくれたものの、5大主役の内のアシュタロンは1/100用のオプション槍まで本編に登場したものの実現せず、前半のデザインのみ1/144コレクションシリーズでキット化されたに留まる。

これは是非フルメカニクスででも現代に商品化して欲しいところだが…。

 

これまた卑劣な事後論ではあるのだが、Xの失敗した要因などは、挙げれば幾らでも粗探しができる。

だがその目指したロマンチックな、幻想的でさえある風景は、共有できなくはないものばかりなのだ。

本編にそれを巧く落とし込めなかった、つまりは準備期間が少なかったと、それに尽きると思う。

 

まずキャラデザが個人的にはあまり良くなかったのではないかと感じた。

Wの美形傾向をもっと推し進めるべき局面で、妙に個性が出てしまった。

Wでは皆15歳程度とまとめられていたものが、年齢にバラつきが出て、ジャミル・ニートなど年齢の高い層に露出が増え、というのに魅力的なキャラも多く、変に「おっさん推し」が生じてしまった。

それだけ脇キャラが魅力的だったということでもある。

 

素直にデザインが良いと思えたのはヒロインのティファ・アディールのみだった。

それとてエヴァンゲリオンの綾波レイに触発されたかのような不思議ちゃん個性で、特色としては極めて弱い。

外見は良いが性格はどうかと聞かれると、ニュータイプという特性を抜けば、正味、普通の子である。

 

「機動新世紀」という番組タイトルも、1981年の「2.22アニメ新世紀宣言」から題材を得ているとはいえ、放送当時にこの題を用いるのは明らかエヴァの後追いの意図もあったと言われるは止む無しであろう。

ジャミルとガロードの構図は碇ゲンドウとシンジの焼き直しにも見えた。

 

主役のガロードはバイタリティに溢れた良いキャラなのだが、2枚目半に描かれていて、もう一味、カッコよさが欲しい造形だった。

声優さんの演技も神がかりに魂の力強さを吹き込んではいたのだが、前年で美形5人組アイドルユニットが得ていた人気を、お笑い芸人一人に引き継がせようとするくらいの無茶な采配であったのは否めない。

SMAP全盛、或いは嵐の全盛期の看板番組のフォーマットを引き継いで、次年の後続番組の切り盛りをとにかく明るい安村氏一人に(略)

 

物語の構成にはメタ的な視点もあるが、だとしても今一つ盛り上がりには欠けていた。

主題自体がニュータイプとは何か、つまりはガンダマーにしか分からない訴求範囲の狭さ。

一般人が見て面白いと思えるかに多少の疑問符が付いて回った。

 

ともあれ正直、美形が足りないのが人気低迷の最大の要因だったのではないだろうか?

フロスト兄弟の暗躍はともかく、敵として登場する同年代の美形が影の薄いカリス君くらいであったし。

時代が時代ならヤンデレとして化けれていたエニル・エルもよく分からない邪魔者でしかなく、狂言回しの役回りというより、制作陣は殉職させる候補が欲しいのかなという気持ちでしか当時は見れなかった。

 

もっとキャラデザを練って、性格や個性を練って、見せ場や背景設定、響く人間ドラマ、格好の良いメカ、美しい風景などを盛り込めば、化けられる世界観ではあった。

主役のガンダムXが飛び抜けた破壊力を持ち、ヒロインのティファが非凡な可愛さであるとしても、主役以外のその他諸々のファクターが弱かった。

 

また、色々なものが想定内に収まってしまう傾向にあったのではないかと。

「陸戦のレオパルド、空戦のエアマスター」だとかだ。

分かりやすいが予想を超えにくい。

尤も、レオパルド単体で見ても、追っていけばそのデザインは秀逸であり、実際プラモ映えしていた。

それは立体化が功を奏したという側面の話になるだろう。

プラモならユーザーが抱く理想像を、塗装や改造で追求できる…

追求、そう、個々の要素への追求が足りず、深みが不足したのがXに人気が出なかった要因なのではないか。

しかしてそれは、斯様に短い制作期間では絶対に成し得ないものでもあった。

 

斯くして悲運の作品・Xは時代に埋没する事となったが。

だが、あの時確かに、一つの頂は見えていたのだ。

見えかけていた。

もう少しで登り詰められる、手が届くところまであと少しだった。

そんな境地がすぐそこにある、それはまだ、ガンプラの夜明け前だったのかもしれない。

 

「月は出ているか?」

迷い果てずに頂に手を伸ばすための月明かりは、あの頃の我らに果たして注いでいたのかどうか。

平成大不況、誰もがまだ見えぬ月を、そして夜明けを。

手探りしていた時代だった。

 

 

 

 

↑全く観てなかったんだけど、ほんで多分これからも手が回る時間は無さそうだけど。最近のウルトラマンはすげーのねー。CGすげーんだけどさ、街も造り込まれてて、変な例えだが、電脳世界を指向したグリッドマンの目指した世界セットに近い気がする。つーのも的確な例えではない気がしつつ(笑)。子供が夢中になるわけだわ。大人も夢中になるすげー作品なんだ、って言うけどさ、その逆もまた然り、子供が夢中になれるからこそ大人にも受けるんじゃないかな。その意味だと、ちょっと最近の仮面ライダーはおちゃらけ過ぎな気もする。いやねえ、たまたま555の最終回を朝に再放送してて。あの頃の緊張感堪らんよな。明るい、コミカルテイスト仮面ライダーもいいけど、ホラー風味の頃もまた見てみたい。アマプラとかで見れそうな気もするが。龍騎もけっこ怖いげな感じさせてなかった?時に555の新作スピンオフみたいのをまたやるらしいぜ。パラダイス何とか