『文芸あねもね』書収作品
新潮社刊
3.11の後に発行されたチャリティ同人誌が文庫化。
10人の女性作家が書いた「再生への希望きらめく小説集」の中からいくつか感想を。
今回は
『二十三センチの祝福』
彩瀬まる
ボロアパートに住む男と女。
離婚して可愛い娘とも離れ、慰謝料を払いながら働くサラリーマンと、落ち目のグラビアアイドルの交流を描く。
靴の修理と料理でギブアンドテイクしながら、恋とか愛とは違う、ほの暗いけどじんわり温かいやり取り。
……とか話のあらすじはまあ置いといて。
この人は、小説の作り方を知ってる。
文章表現や設定の作り方もしっかりしているけれど、何より、読者の感情の流れをコントロールできているのがすごい。
期待の裏切り方が上手い。
?と思わせて引きずりこんでおいて、ちゃんと納得もさせる。
そして、安い共感なんかじゃなくて、胸の奥をじゅっと焼くやるせない痛み。
このチャリティ小説集のテーマにしっかりそった、苦しみと小さな希望を丁寧に描いている。
【学んだこと】
・設定の作り込みを丁寧に
・読者をびっくりさせる仕掛けを成功させてこそ作家冥利