昨日の記事で、中国短期金融市場の混乱について書きましたが、その影響が香港のオフショア人民元(中国元・CNH)市場にも及んできたようです。
中国政府が「影の銀行(シャドーバンキング)」を規制するために金融引き締め策を行ったために、資金調達が困難になった中国本土系の銀行が、活路を求めて香港市場に流入したと見られます。
その結果、「香港のオフショア人民元市場の短期調達コストは1カ月前の0.5%未満から過去最高の4%超に急伸」し、同市場の銀行間取引金利指標(CNH HIBOR)は長短が逆転しています。
(参考:「香港のオフショア人民元市場に中国金融市場の流動性ひっ迫の余波」)
このように資金調達コストが急騰したことによって、香港経由で中国本土に流れ込む資金の先細りが懸念されています。
企業や銀行の資金調達が難しくなれば、減速している中国経済にさらに悪影響を与える可能性があります。
昨日の上海市場では、中国本土の短期金利が低下して流動性のひっ迫懸念が緩和しましたが、香港市場の金利の動向を含め、中国政府の金利政策から目が離せない状況が続いています。
このように先週から中国本土と香港の短期金融市場が混乱する中、中国元(人民元・CNH)の為替レートはどのように動いているでしょうか。
上のチャートを見ると、中国元(人民元)金利スワップで取り引きするオフショア人民元(CNH)は、先週5日続けて上昇したのち小幅な下落を見せています。
上海市場のオンショア人民元(CNY)は対ドルで3日連続下落していますが、市場関係者によれば、中国への資金流入の減少が、最近の緩やかな中国元安傾向に拍車をかけているそうです。
上海市場のCNYと香港市場のCNHはほぼ正確に連動しますが、対ドルと対円をまったく同じに見ることはできません。
けれども、5月以来の各種経済指標の悪化や、中国金融当局による金融引き締め策のために企業や銀行の資金調達が困難になっている現状を見ると、中国元(人民元)が売られやすい状況が続いていると言えます。
したがって、中国元(人民元・CNH)は当面は1元=15~17円のレンジの中を推移し、17円を超えるような元高の状況は出にくいものと予想されます。
