オレのあん娘は煙草が好きで~♪
そう、西岡恭蔵 作、ザ・ディランⅡが歌いヒットした「プカプカ」の出だし部分だ。
第二次ベビーブームで、カップラーメンが初めて発売され
銀座にマクドナルド1号店がオープンし、地下で日本赤軍が活動していたころの
1971年にこの曲はリリースされた。
さすがにまだ私は赤ん坊だったので記憶してはいないが、この翌年以降、
吉田拓郎、井上陽水、かぐや姫、などがデビューしていく。
フォーク全盛期でもあったのだ。
1969年8月に大阪は難波元町の国道26号線沿いに「喫茶ディラン」が開店する。
珈琲1杯100円。
わずか4坪半の敷地にカウンターと椅子とテーブルを並べただけの小さな店だ。
店長は大塚まさじ。後に永井洋と組んでザ・ディランⅡを結成する。
店名のディランはもちろんボブ・ディランからとられたものだ。
店のBGMはそのボブ・ディランを筆頭にピート・シーガー、ジョーン・バエズ、
ピーター、ポール&マリーなどの60年代初頭のアメリカンフォーク。
高田渡、遠藤賢司、友部正人などアングラなメンツが客として入り浸っていたという。
このプカプカのモデルになったのがジャズシンガー「安田南」。
つきあった男(もちろんセックスで)は七十人だとか八十人だとか
ケロリとして口にしているけれど、色情狂でもない。
横で見ていると、ちょうど靴でもはきかえるように男を変えているだけの話だ。
まだ宵の口に六本木を男の腕にすがってはだしで歩いている南に逢ったことがある。
新しい靴が痛くていやだからはだしになったというのだ。
プカプカが発売された年、人気小説家だった瀬戸内晴美(現・寂聴)が
連載エッセイで安田南のことをこう書いている。
実に煙草の似合う女性だ。
私と同じ札幌出身というのも親近感があった。
時代の最先端をいくクールな女性として、『話の特集』や
『ワンダーランド』(『宝島』の前身)といったサブカルチャー誌に
エッセイを連載していたことがある。
アングラ演劇の勃興期の1960年代後半、自由劇場や
劇センター68/71(現・劇団黒テント)の舞台にも立ったことがある。
FM東京「気まぐれ飛行船」という番組で作家の片岡義男と
パーソナリティも務めていた。
しかし安田南は、突然消息を絶ってしまう。
そして西岡恭蔵は自殺してしまった。17年も前に。
安田南もすでに亡くなっているそうだ・・・。
ボブ・ディランが今年のノーベル文学賞を受賞した。
候補者には村上春樹の名もあったらしい。
賞のことなどふれもせず、今日もステージで淡々と唄い
ファンに彼らしいと祝福されている。
もう75歳。おめでとうございます。