FREE経済関係の本3冊目。
今回は、ホンマでっか!?TVのコメンテーターでもある
エコノミスト門倉貴史さんの書いた
ゼロ円ビジネスの罠
を読みました。
読んでみて気になったことがひとつ。
FREEのことを書いているはずなのに、門倉さんはFREEやフリーと書かず、
「ゼロ円」とおっしゃっておられます。
あえてオシャレではない「ゼロ円」という言い方を採用するのは
意図があってのこと。本書を読んでいくとゼロ円と書いた理由が自分なりに理解できました。
こういうことが分かるのも、ビジネス書読書の楽しさのひとつですね。
■FREEの落とし穴
ちょうどこの本が出版されたのも、他のFREEを題材にした本と同じく2010年。
ちょうどデフレの真っ只中の時期です。
FREEは、どんどん物やサービスが低価格になっていく流れの中で生まれた無料商法です。
デフレ経済の成れの果て・・・(いい表現が浮かばなくて・・すみません。)
セロ円は、顧客に対して「タダ」というインパクトを狙ったもので、本当にタダにするわけではなく、無料をうたって商品を配り、さらに高度で便利な商品を販売して利益を得る仕組みが用意されています。
それに、せっかくうまくいったとしても、競合他社が「ゼロ円」をはじめて追従し始めると、とたんに「ゼロ円」のインパクトがなくなってしまいます。
また無料を前面に出してトラブルになるケースも増えました。
引用:「ゼロ円ビジネス」に関して、消費者と企業のトラブルに発展しやすいのは、無料と有料の境界線があいまいになっているときだ。消費者がどこまでが無料でどこからが有料なのかについて誤解をしていたり、あるいは企業が、意図的に消費者が誤解するように誘導する場合もある。
「無料」を前面にしてPRしても、課金については小さく掲載するか、あまり読みたくない規約に書いている場合って多いですよね。無料と思って安心して子どもに遊ばせていたら、知らない間に子どもが有料のアイテムを購入して多額な請求が来た。なんていうニュースも当時はありましたね。
では、どうやって気をつけたらいいんでしょう?
引用:消費者が是非とも念頭に入れておかなければならないのは、利潤を追求する企業が展開する「ゼロ円ビジネス」の裏側には、必ず企業が儲かる仕組みがどこかに隠されているという点である。昔から「タダより高いものはない」という諺があるとおり、「ゼロ円」や「無料」という価格表示につられて飛びつくと後で手痛いしっぺ返しを食らう恐れがある。
いくら有名な企業が「ゼロ円」をうたっても、必ずその裏には課金のシステムが用意されているんだということを理解して利用の可否を決めるのが良いように思います。
■おわりに
ゼロ円商法は定着しないとおっしゃる門倉さんですが、ゼロ円ビジネスの理想型があるといいます。それは寄付ビジネスです。
たくさんの方々からの善意の寄付によって運営されるビジネスです。
たとえばアメリカのフードバンクというビジネスは、包装が汚れたりして販売が出来なくなった食品を寄付してもらって、その食品を福祉施設に寄付するというもの。ボランティアの一環として定着しているそうです。
また、ネットを使用する私たちにも身近な存在であるウィキペディアですが、これも寄付ビジネスの一環だといいます。何か調べたいことがあって検索すると検索結果の1ページ目に必ずと言っていいほどヒットするのがウィキペディアのページです。
ネットの情報は正確性に欠ける。とよく言われますが、このウィキペディアの情報は、2005年12月の科学雑誌ネイチャーでブリタニカ百科事典に匹敵する。と紹介されたそうです。
ブリタニカは反発しているそうですが。
この本でFREEを扱った本は3冊目。
ゼロ円ビジネスの落とし穴について書かれた本でした。
デフレ時代の価格訴求の方法の最終形態がFREEだとすると、今少しずつインフレに市場が転換してきていることも考えながら、価値を訴求する方法に変わってくることは容易に想像できます。
そのとき、どんな名前の、どんな方法が登場するのか楽しみです。