これで良い・このままで良いんだと、自分に納得した瞬間に全ての変化は止まってしまう。いつでも変化を生んでくれるのは、現状に対する強烈な不満なんだ。
もちろん、今自分に与えられているものを忘れず、この時代のこの国に、こうして生きていられる現状には感謝しなければいけない。それを考えれば考えるほど、もうこれで十分だとも感じられる。
そうして、足るを知り大きな欲を持たないことが良いことだという空気もある。
でも、そうした恵まれた現状であるからこそ更なる向上心が求められるのだし、他の恵まれない人々を大きく包み込めるような器が必要とされているんだ。
健全な不満があるから、向上しよう・変わろうという意欲が生まれる。健全な不満があるから、もっと学ぼう・成長しようというエネルギーが生まれる。
今のままの自分で良い・今に幸せを感じようと、優しく声をかけてくれる人もいるだろう。全ては捉え方次第だから、そうした言葉でそのときは安心感を得ることができる。
でも、そうした考え・捉え方でい続けていては、現実世界そのものの変化や自分自身の成長は絶対にないんだ。頭の中のバーチャルな感情世界では、安心できるとしても。
その不満も、自分に対する健全なものでなければいけない。方向の違った不満は、自分以外の他人や環境に向けられてしまう。
自分が向上することによってではなく、他人を引きずり落とすことによって相対的な自分のポジションを上げようとしてしまうんだ。
出る杭を押さえ込んだり、愚痴や悪口で他人のポジションを下げようとして、相対的に上がったように感じられる自分に安心感を覚えるんだ。
僕自身は、これで良いと思えるときは生涯来ないと思っている。向上しようという想いが常にあるから、そのプロセスである毎日が充実するのだし、ちょっとした躓きに動揺することもなくなる。
今に満足してしまった瞬間に、本当の意味での充実や幸福感というのは感じられなくなってしまうんだ。