人は、良いことがあった・運が悪いことがあったなど、目の前で起きた出来事に対して自分なりの解釈を無意識に加えている。
でも、その出来事自体には本来そのような意味はなく、ただ自分がそのように解釈しているだけなんだ。そして人は、その解釈が全てだと信じ込んで世界を見ている。
目の前に起きる出来事を認識して、それを解釈するまでの間には一瞬のタイムラグがある。それを認識して、自分の価値観・これまでの経験などに照らし合わせて、それが自分にとって何であるのかを無意識に判定しているんだ。
待ち合わせの時間になっても、なかなか友人が現れないとき、イライラしてしまうかもしれない。時間は守るべきだという自分の価値観に照らし合わせて、今の状況は腹立たしいことだと判定して、イライラという感情を浮かび上がらせている。
でも、友人が来ないという目の前の出来事には、本来イライラするべきものという意味はないんだ。友人はまだここにはいない、ただそれだけなんだ。
それが分かれば、わざわざ感じたくもないイライラを募らせるよりも、この空いた時間で読みかけの本を読んでしまおうとか、ちょっと辺りを散策してみようと考えることができる。
友人が来ないという出来事を、時間が守られていないと解釈するのではなく、自分の時間が少しできたと解釈し直したことになるんだ。
目の前の出来事は、自分が今感じているようには本来起こっていない。自分がそのように認識しているだけなんだ。
あらゆる出来事は全て、それ自体は真っ白。自分の好きな色に染めていいのだから、わざわざ黒く塗りつぶしてしまうこともないだろう。
僕たちの脳はせっかちで、すぐに黒く塗りつぶしたがるから、ひと呼吸置いてキャンバスを大きく眺める心の余裕が大切なんだ。