『Time Tested Yechniques of Mundane Astrology with over 100 illustrations』の「はじめに」からの引用のつづきです。
(つづき)
問題
問題は次から次へと出てきます。いくつかを以下に書いてみます。
一般に建国図(国のホロスコープ)は手に入りません。建国図に関する唯一のソースとしてニコラス・カンピオンが書いた『The Book of World Horoscope』が役立ちますが、その情報は必ずしも信頼できないことにわたしは気づきました。それでも、カンピオンの努力は高く評価されるべきです。この本がなかったら、マンデーン占星術を行うわたしたちは手がかりを失い、途方にくれてしまいます。それでも、すでに書いたように、西洋の情報ソースは豊富ですが、予言を行ったり高度なテクニックを使うためには、どうしてもインド占星術に頼らざるをえません。頂上を目指す占星術家ならだれでも将来において遭遇するであろう問題について、以下に注意を喚起しておきたいと思います。
1. 信頼できる建国図が存在しない
この問題は、インド占星術のユニークで優れた技法、チャイトラ・シュクラ・プラティパダー・ホロスコープ(ヒンドゥー新年図/चैत्र शुक्ल प्रतिपदा)、スーリヤ・ヴェーティー・ホロスコープ(月間図/सूर्य बेटी)、新月図・満月図を使えば解決します。それでも、それらの技法で長期的な予言は可能なのか? という疑問が残ります。未来にわたって永遠と無数のホロスコープを使い続けるわけにいきません。建国図がないのはハンディキャップであり、それは容易に解決しません。
2. ダシャーのサイクル
建国図がわかったとしても、ダシャーのサイクルが繰り返される問題が残ります。たとえば、米国の建国図(1776年7月4日;午前10時21分20秒;フィラデルフィア)は獅子座ラグナ(20°59′)ですが、ヴィムショッタリー・ダシャーの火星期は、1891年10月14日に2度目、そして2011年に3度目のサイクルがめぐってきます。
ジェイミニのチャラ・ダシャーでも、1992年から5度目のサイクルがめぐってきました。これをもとにわたしは米国の衰微と戦争を予言して的中させたことがあります。
わたしはこの問題を、ダシャーとチャイトラ・シュクラ・プラティパダー・チャート、及びトランジットや日蝕図・月蝕図などの補助的なホロスコープを併用することである程度解決し、予言を的中させてきました。それとも、他にもっと良い方法があるのでしょか? その問題意識は、これからも持ち続けなければいけません。
3. 重要人物のホロスコープが手に入らない
問題としている期間に国家の運営に携わっている政治家や独裁者の正確なホロスコープが手に入らないのは最大のハンディキャップです。この問題を解く方法は見当たりません。インドについて言えば、2008年の段階で、マンモハン・シン首相とソニア・ガーンディー、そして1996年以来の中央政府の連立政権を維持する上で重要な役割を果たしてきた地方行政体の組長のホロスコープが、わかりません。それが原因で重要な予言を外すことになったとしても、しかたがありません。
4. リスキーなアプローチ
わたしは出版物やウエブサイトを通してリスキーな方法を用いた予言をいくつか行ってきました。的中した予言もあれば、はずれた予言もあります。近年にわたしが行った、そんな予言のいくつかを紹介しましょう。
ネパールの王の戴冠式のムフールタをもとに、わたしはネパール王朝の終焉を予言しました。現在のネパールは共和制です。
パキスタンのムシャラフ大統領のホロスコープを使った予言をはずした後、今度はパキスタンの建国図を使い、とりわけダシャマーンシャを使ってムシャラフの不確定な未来(2008年に大統領を辞任しました)について予言を行い、的中させました。
1980年代にインド政府の外交官から手渡されたベナジール・ブットーのホロスコープをもとに、彼女の悲劇的な最期について予言を行い、2007年にそれが的中しました。
わたしに手渡されたロジャー・フェデラーのホロスコープ(ロッデンのデータとは異なる)をもとに、わたしはかれの時代の終わりを予言しました。フェデラーは、2007年12月と2008年のオーストラリア・オープン、フレンチ・オープン、ウインブルドン、そしてオリンピックのシングルで敗退し、2008年米国グランド・スラムで1度だけ優勝しました。
このように、わたしはあえて何度もリスクをとりながら予言を行っては的中させてきました。誕生日はわかっているが誕生時刻がわからない場合、月の星座を使うことができます。
5. 外した予言を受け入れて理由を考える
もし占星術を飛躍的に進歩させるつもりなら、正直な占星術家は外した予言を素直身認め、その原因を突き止めて他者に説明すべきです。わたしはそのようにしてきました。少なくとも最低でも4回、それを行ってきました。しかし予言を外しておきながら、数年経ってみんなが忘れた頃をみはからって予言が的中したと豪語する詐欺師が次々と現れるので、わたしは驚いています。失敗は成功の元であり、占星術家は失敗からこそ多くを学ぶことができます。
新時代
古代インドではマンデーン占星術は、天候や地震、王の崩御、王国の盛衰、そしてもちろん農業、とくに収穫などについて知るのに使われていました。やがて世の中がより複雑になってくるにしたがい、工業化し、グローバル化し、テクノロジーがいきわたり、マンデーン占星術を国家に役立てる上でリサーチが追いつかなくなりました。
あたらしい分野がどんどん出てきています。1993年のACVA(American College of Vedic Astrology)の大会でわたしがおこなった基調講演のなかで、わたしは日本がノーベル賞を受賞するだろうと予言しました。そしてその予言通り、日本人(大江健三郎)がその年のノーベル文学賞を受賞しました。後にわたしはインド人がノーベル賞を取るだろうと予言したとき、アマルティヤ・シンがノーベル経済学賞を受賞しました。しかし予言は安定して的中し続けなければいけません。そして的中の実績がたくさんなければいけません。わたしはその基準に照らすなら、ノーベル賞の的中については実績が不足しています。
同様に、1988年にわたしは『Times of Astrology』に、当時まだ無神論的であったソヴィエト連邦に「宗教の復興のようなものが起こる」と書いたことがありました。そしたらその直後にペレストロイカが始まり、ロシア人の生活に宗教が戻ってきました。ロシア正教会が復興するのとは別に、ISKCON(イスコン/The International Society for Krishna Consciousness)で知られるクリシュナ意識国際協会の運動やイスラーム教なども広がり始めました。
占星術を議論する場の不在
新しい分野が次々に生まれているのに、それについて議論をする場がありません。その代わり何が起きているのかというと、リサーチが議論される代わりに、リサーチの成果がパクられ、盗まれ、持ち逃げされ、それが罰せられないという状況が続いています。マンデーン占星術が発展し、繁栄し、確立し、認知されていくためには、それを議論するための、学術的で正直な人々が集う環境が必要です。しかしそれは適わぬ夢にすぎません。
本書の将来
本書の特筆すべき特徴は、要点のすべてについて実例で示しているところです。実例に使われたホロスコープの数は百を超えており、世界のどのマンデーン占星術の本よりも遙かに多くのホロスコープが解説に使われており、その点においてまったく前例がありません。それをもってわたしは「本書はマンデーン占星術としては最良の本である」と断言できます。
さらに本書で取り扱われるテクニックの数の多さもずば抜けています。この数に匹敵するだけのテクニックを書いた本がいままでにあったでしょうか?
そしてバーラティーヤ・ヴィディヤー・バヴァンにおいて科学的な方法論を用いて明らかにされてきた内容が書かれてある点も特筆に値します。これだけの規模と深さのリサーチが、公的・私的な機関から資金的な援助を一切受け取ることなく、個人の情熱だけで行われてきたと言う事実です。
しかしそれでも忘れていけないのは、それだけの努力と情熱がマンデーン占星術に注がれてきたにもかかわらず、マンデーン占星術はいまだに未開で荒涼とした荒野であるという事実です。その事実を謙虚にうけいれることなく、テレビに出演して大げさにアピールするようなことは慎むべきであり、そのような輩はかえってマンデーン占星術の無知をさらけ出しているに等しいと言えます。そして、政党の栄枯盛衰を予測することが、マンデーン占星術の一丁目一番地であると思い込んでいる、かれらのような詐欺師らによって、マンデーン占星術はいままで原形を留めないほど破壊されてきたのです。
いずれにせよ、真剣な占星術家にとって、メータとラディカが著したこの本は、大いに役立つに違いありません。それはわたしの望みでもあります。
KNラオ
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1年かけてつくりました。
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無料動画コースの位置づけについて動画の中で議論されています(↓)。
では、無料動画コースの第1回から第6回までをご笑覧ください。
第01回:イントロ(11:32)
第02回:著者について(17:35)
第03回:本書の目的(08:46)
第04回:惑星(02:26)
第05回:影の惑星(06:56)
第05回:星座(07:00)
メルマガに登録すると一日おきに1レッスンずつメールでYouTube動画が届きます。
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ラオ先生のやさしいインド占星術~入門編~
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1:イントロ (11:32)
2:著者について (17:35)
3:本書の目的 (8:46)
4:第1章 惑星 (2:26)
5:第1章 影の惑星 (6:56)
6:第1章 星座 (7:0) ← これ以降の動画を視聴するにはメルマガに登録する必要があります。
7:第1章 練習問題 (4:2)
8:第1章 ナクシャトラ (8:58)
9:第1章 練習問題 (3:23)
10:第1章 練習問題 (5:35)
11:出生データ (9:27)
12:惑星と星座 (3:58)
13:第2章 高揚と減衰 (10:33)
14:第2章 ムーラトリコーナ (5:49)
15:第2章 友好と敵対① (12:44)
16:第2章 友好と敵対② (12:41)
17:第2章 友好と敵対③ (10:11)
18:第2章 惑星の星位 (8:47)
19:第2章 アセンダント (8:9)
20:第2章 アスペクト (4:42)
21:火星のアスペクト (3:17)
22:土星のアスペクト (2:19)
23:木星のアスペクト (1:48)
24:第2章 月とジャンマナクシャトラ (12:22)
25:PACのP(ポジション) (3:19)
26:PACのA(アスペクト) (4:54)
27:PACのC(コンジャンクション) (2:47)
28:第2章 エリザベス女王のホロスコープ (19:26)
29:第2章 エリザベス女王のホロスコープの解釈 (4:15)
30:第2章 占星術の基本原則 ハウスの種類 (3:37)
31:第2章 注意 (4:51)
32:第3章 惑星と精神性(太陽) (6:49)
33:第3章 惑星と精神性(月) (4:24)
34:第3章 惑星と精神性(火星) (5:31)
35:第3章 惑星と精神性(水星) (4:10)
36:第3章 惑星と精神性(木星) (5:48)
37:第3章 惑星と精神性(金星) (2:44)
38:第3章 惑星と精神性(土星) (2:49)
39:第3章 惑星と精神性(ラーフとケートゥ) (3:7)
40:ダシャーヴァターラ (3:27)
41:第3章 惑星の象意(太陽) (3:28)
42:第3章 惑星の象意(月と火星) (3:9)
43:第3章 惑星の象意(水星) (2:27)
44:第3章 惑星の象意(木星) (2:5)
45:第3章 惑星の象意(金星) (3:47)
46:第3章 惑星の象意(土星) (7:48)
47:第3章 惑星の象意(ラーフとケートゥ) (4:22)
48:第3章 ハウスと精神性(1室) (12:5)
49:第3章 ハウスと精神性(2室) (5:6)
50:第3章 ハウスと精神性(3室) (3:4)
51:第3章 ハウスと精神性(4室) (2:32)
52:第3章 ハウスと精神性(5室) (2:39)
53:第3章 ハウスと精神性(6・7・8室) (5:31)
54:第3章 ハウスと精神性(9室) (7:39)
55:第3章 ハウスと精神性(10室) (5:40)
56:第3章 ハウスと精神性(11室) (6:31)
57:第3章 ハウスと精神性(12室) (10:16)
58:第3章 ハウスからなにがわかるか(1室~4室) (9:38)
59:第3章 ハウスからなにがわかるか(5室~8室) (8:55)
60:第3章 ハウスからなにがわかるか(9室~12室) (7:23)
61:第3章 ラーシからなにがわかるか~星座のおはなし (12:56)
62:第3章 DARESメソッド (7:33)
63:第3章 ダナ・ヨーガの概略 (6:21)
64:第3章 ダナ・ヨーガの事例1~2 (4:56)
65:第3章 ダナ・ヨーガの事例3~4 (3:51)
66:第3章 ダナ・ヨーガの事例5~7 (2:56)
67:第3章 ダナ・ヨーガの事例8~9 (4:10)
68:第3章 ダナ・ヨーガの事例10 (7:53)
69:第3章 アリシュタ・ヨーガ(不幸のヨーガ) (12:0)
70:第3章 アリシュタ・ヨーガ(不幸のヨーガ)事例1 (3:23)
71:第3章 アリシュタ・ヨーガ(不幸のヨーガ)事例2 (2:57)
72:第3章 アリシュタ・ヨーガ(不幸のヨーガ)事例3 (3:52)
73:第3章 アリシュタ・ヨーガ(不幸のヨーガ)事例4 (3:6)
74:第3章 アリシュタ・ヨーガ(不幸のヨーガ)事例5 (2:49)
75:第3章 アリシュタ・ヨーガ(不幸のヨーガ)事例6 (6:46)
76:第3章 ラージャ・ヨーガ(成功のヨーガ)概略 (13:9)
77:第3章 ラージャ・ヨーガ(成功のヨーガ)事例1 (3:6)
78:第3章 ラージャ・ヨーガ(成功のヨーガ)事例2 (10:35)
79:第3章 ラージャ・ヨーガ(成功のヨーガ)事例3 (4:57)
80:第3章 ラージャ・ヨーガ(成功のヨーガ)事例4 (3:24)
81:第3章 星座交換 (3:55)
82:第3章 星座交換 事例 (3:32)
83:第3章 特別なヨーガ1 (6:24)
84:第3章 特別なヨーガ2 (7:54)
85:第4章 月の重要性 事例1 (15:52)
86:第4章 月の重要性 事例2 (8:45)
87:第4章 月の重要性 事例3 (16:36)
88:突然大金をゲット (8:27)
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