最新の下水道管に使用されている素材は、用途や環境に応じて多様化していますが、特に日本国内で主流となっているものは……
1. ダクタイル鋳鉄管
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特徴: 従来の鋳鉄管を改良したもので、強度と柔軟性を高めるためにマグネシウムなどが添加されています。耐久性と耐食性があり、特に耐震性が求められる地域で使用されます。
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用途: 水道管だけでなく、下水道管としても採用されており、特に基幹管路や重要なインフラ部分で重宝されています。最近では、耐震適合性が強化された「GX形」や「K形」などが使われるケースも増えています。
2. 高密度ポリエチレン管 (HDPE管)
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特徴: 軽量で柔軟性があり、耐食性に優れています。錆びることがなく、化学物質にも強いため、下水道の過酷な環境に適しています。また、耐震性も高いため、地震が多い日本で注目されています。
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用途: 積水化学工業の「エスロハイパー」など、耐震型高性能ポリエチレン管として下水道や水道に採用されています。老朽管の更新需要に対応する素材として普及が進んでいます。
3. 塩化ビニル管 (PVC管)
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特徴: コストが安価で加工が容易、軽量で取り扱いやすい素材です。耐食性もある程度あり、小口径の下水道管に広く使われてきました。
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用途: 主に住宅地や小規模な下水道システムで使用されます。ただし、耐久性や耐震性ではHDPE管やダクタイル鋳鉄管に劣るため、大規模な基幹管路では減少傾向にあります。
4. 強化プラスチック複合管 (FRP管)
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特徴: ガラス繊維や樹脂を組み合わせた複合材料で、高い強度と耐食性を持ちます。軽量かつ長寿命である点が魅力です。
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用途: 特に腐食性が高い下水処理場や工業排水用の管路で使用されることが多いです。
最近のトレンド
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耐震性と長寿命化: 日本では老朽化した下水道管の更新が急務となっており、耐震性と長寿命を重視した素材が優先されています。ダクタイル鋳鉄管やHDPE管がその代表例です。
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管更生技術との併用: 新規素材だけでなく、既存の老朽管を補修する「SPR工法」(積水化学工業)などの技術も進化しており、素材単体ではなく補強技術との組み合わせも増えています。
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環境配慮: リサイクル可能な素材や環境負荷の少ない製造プロセスが注目されつつあり、HDPE管などがエコ素材として評価されています。
結論
最新の下水道管では、ダクタイル鋳鉄管と高密度ポリエチレン管 (HDPE)が特に主流で、耐震性・耐久性・施工の容易さを兼ね備えていることから採用が進んでいます。
ダクタイル鋳鉄管と高密度ポリエチレン管(HDPE)の主要製造企業とは……
<ダクタイル鋳鉄管>
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クボタ(株式会社クボタ)6326
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日本を代表するダクタイル鋳鉄管メーカーで、水道管や下水道管の分野で長い歴史と実績があります。特に耐震性の高い「GENEX」や「GX形」などの製品で知られています。上下水道インフラの基幹管路で圧倒的なシェアを持ち、海外展開も積極的です。
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日本鋳鉄管株式会社 5612
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ダクタイル鋳鉄管の専門メーカーで、国内の水道事業体向けに高品質な管材を提供しています。耐久性と耐食性を重視した製品ラインナップが特徴で、インフラ整備で信頼されています。
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JFEスチール株式会社
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鉄鋼大手として、ダクタイル鋳鉄管を含む各種鋼管を製造。上下水道だけでなく、産業用途にも対応した製品を展開しています。
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<高密度ポリエチレン管(HDPE)>
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積水化学工業株式会社 4204
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HDPE管の分野で国内トップクラスのシェアを持つ企業です。「エスロハイパー」などの耐震型ポリエチレン管を開発し、下水道や水道の老朽管更新で広く採用されています。環境配慮型の製品も強みです。
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クボタケミックス株式会社
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クボタの子会社で、「スーパータフポリ」などの圧力用HDPE管を製造。耐震性と施工性を重視した製品で、上下水道分野で高い評価を受けています。
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鳥居化成株式会社
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ポリエチレン管製造に特化した企業で、60年以上の実績があります。特にHDPEを使用した水道・下水道用のパイプで知られ、カスタム製品にも対応しています。
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補足
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ダクタイル鋳鉄管は、金属素材の特性を活かし、大口径や高圧に耐える用途で使われます。
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HDPE管は、プラスチック樹脂を扱う化学企業が得意とする分野で、軽量性や耐食性を活かした中小口径の管路で採用が進んでいます。
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海外では、Saint-Gobain(フランス)やMcWane(米国)がダクタイル鋳鉄管で、UponorやAliaxisがHDPE管で有名ですが、日本では上記の国内企業が市場を主導しています。
1. 日水コン(日本水工設計株式会社)261A
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実績: 上下水道分野での総合コンサルタントとして、自治体向けに下水道管の計画・設計・維持管理支援で豊富な経験があります。国土交通省や地方自治体からの受託実績が多く、下水道管路のストックマネジメントや老朽化対策に強みを持っています。
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特徴: 下水道管の点検・診断から改修計画の策定まで一貫したサービスを提供。特に耐震設計や管路メンテナンスに関する技術力が高い評価を受けています。
2. NJS(株式会社エヌ・ジェイ・エス)2325
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実績: 下水道管の調査・診断・コンサルティングで全国の自治体と取引実績があります。特に管路施設の老朽化対策やアセットマネジメント支援に注力しており、東京都や大阪市などの大規模自治体でも採用されています。
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特徴: 下水道管の劣化診断技術やデータ解析に優れ、効率的な維持管理計画を提案。環境省や国土交通省のプロジェクトにも参画しています。
3. パシフィックコンサルタンツ株式会社
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実績: インフラ全般のコンサルティングで知られ、下水道管の計画立案や老朽化対応で多くの自治体と協働。特に都市計画と連動した下水道整備や、災害対策を考慮したコンサルティングに定評があります。
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特徴: 総合的な視点で下水道システムを最適化する提案力が強み。官民連携(PPP/PFI)の導入支援も行っています。
4. 日本ヒューム株式会社 5262
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実績: コンクリート製品メーカーとしての基盤を持ちつつ、下水道管の設計・施工管理に関するコンサルティングでも実績を積んでいます。自治体の下水道管更新プロジェクトで技術支援を提供。
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特徴: ダクタイル鋳鉄管やコンクリート管の製造ノウハウを活かし、素材選定から施工までカバー。耐久性向上の提案に強い。
5. 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
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実績: 自治体経営改革やインフラマネジメントのコンサルティングで知られ、下水道事業の財政分析や運営効率化の支援実績があります。全国の自治体向けに下水道管の更新計画やコスト削減策を提案。
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特徴: 技術的支援に加え、財政や政策面でのコンサルティングも得意。総合的な視点でのソリューション提供が強み