2025/12/5

 

今回のメモは、エミン・ユルマズ氏が最近いくつかのyoutube動画で発言された、個人投資家の気分を挙げてくれる情報の抜粋です。

様々な優良情報を発信してくれてますが、ここでは私の記録しておきたかった局所的な情報しか載せていませんので、気になる方はぜひ該当動画をご覧ください。

 

◎日経が30万円になるスーパーサイクル論

2013年から40年間の超長期スーパーサイクルにはいった

2052年までは強気相場が続くと予想

過去の強気相場を計算して、頭としっぽを切ってその真ん中20年間でどの位上がったかを平均すると大体20倍だった→ 日経1.5万円×20倍=30万円が見込める

 

▲日本のスーパーサイクル

・1878年スタート    1920年まで約40年間上昇

          1943年まで23年間調整

・戦後、

 1949年スタート  1989年まで40年間上昇

 バブル崩壊で    2012年まで23年間調整

 

2013年スタート  2052年まで上昇する

 

◎四季報の読み方

テンバガーになる銘柄の傾向として、4期で売上が倍増している

 

 

 

 

 

 

エミンさんの四季報活用術は多くの動画で紹介されていると思いますので、どうぞ勉強に役立てて下さい。

以下は私の注目点

  • 4期連続増収 毎年1.25倍なら4年でほぼ倍増
  • キャッシュ>時価総額
  • PSR 1倍未満

Happy Trading !!

2025/12/3

 

本稿は松井証券のYouTubeチャンネルの抜粋と関連データです。ご興味が湧きましたら、どうぞご視聴へ!-

【メタトレンド投資】KUKA・ソフトバンクGなどロボット分野が次のメタトレンド?/中島聡×ものづくり太郎が対談/中島聡実践!投資の3条件【MATSUI DIALOG】

 

 

 

◎産業ロボット企業4強のうち、3強が日本

 

🔧 主な産業ロボットの種類と特徴

  • 直交ロボット(直角座標型)

    • X・Y・Zの直線軸で動作。
    • シンプル構造で精度が高く、搬送や位置決めに強い。
    • ガントリ形(上から吊り下げ)やスタンド形(床置き)がある。
  • 垂直多関節ロボット(ロボットアーム型)

    • 人間の腕に似た形状。6軸が主流。
    • 汎用性が高く、溶接・塗装・組立など幅広い用途に対応。
    • 可搬質量は数百グラムから900kgまで多彩。
  • 水平多関節ロボット(スカラロボット)

    • 水平方向に動作する4軸構成。
    • 高速・高精度で部品の押し込みや組立に適する。
  • パラレルリンクロボット

    • 複数のアームを並列配置。
    • 高精度・高出力で食品の仕分けや高速ピッキングに強い。
  • 双腕型ロボット

    • 両腕を持ち、人間に近い複雑な作業が可能。
    • 電子部品組立や研究用途で活躍。
  • 人協働ロボット(協働ロボット)

    • 安全機能を備え、人間と同じ作業空間で稼働可能。
    • 中小工場や省スペース環境で導入が進む。

📊 産業ロボットの利用分野

  • 自動車産業:溶接・塗装・組立ラインで大量導入。
  • 電子・電気産業:精密部品の組立や検査。
  • 食品産業:仕分け・包装・搬送。
  • 物流:パレタイジングや搬送作業。

 

日本の物流センター10万か所、それぞれに労働者が7人いるとすると、その代替として70万台のロボット需要が生まれる

世界で考えれば、100万か所、700万台のニーズが見込める

 

ミニマルファブ

㈱ハンドレッド・セミコンダクターズ 産業技術総合研究所を中心に構築した、極小規模の半導体製造システムを活用するベンチャー

 

タービン

三菱重工は15年分受注残がある

核融合でも、必ずタービンは必要

 

AIの技術は全てトランスフォーマーから生まれている

ディープラーニングの基礎となる技術であるニューラルネットワークの一種で、従来型の深層学習モデルよりも高速かつ高精度な自然言語処理を実現している

 

ソニー製CMOS 

世界のカメラの半数に使われている

世界の最先端技術ビジョンの半数をSONYは持っている

AI・ヒューマノイドにカメラは必須。指先一本一本にレンズの柔らかいカメラを装着する研究も進んでいる

 

 

 

どこもすでに高認知・高評価されている企業ばかりではありますが、この動画では未来に通じる視点や技術を紹介しており、これまでとは違った角度で企業を考察できるきっかけにもなると思います。

どうぞご視聴ください。 Happy Trading !!

2025/12/3

造船業が熱い!

トランプ政権のMAGA政策に日本が協力する一環として、さらには日本国自身の国力増強の一つとして、造船業復活への期待が高まっています。

それに呼応する形で、造船大手や重工、海運業界などでも連携の強化を始めました。

 

日本の造船業界で現在進行している「企業間連携による国際競争力強化」と「政府主導による基盤強化・環境対応」の2つの軸について学んでゆきます。

 


日本の造船共同体・再編の2つの軸

目的 主な主体 成果の例
I. 企業間連携による競争力強化 コスト削減と規模の追求。中韓勢に対抗し、世界の造船市場でのシェアを確保する 主要な民間造船企業グループ (今治造船、JMU、名村造船所など) 日本シップヤード
MILES共同体
II. 官民連携による国家課題対応 安全保障脱炭素。国の基盤を支える生産能力の維持と、次世代技術の開発 政府・省庁(国土交通省、経産省)+ 産業界全体

造船業再生基金

 

軸 I:企業間連携による競争力強化

これは、個別の企業がグループ化・提携することで、コスト競争力を高め、設計・生産を効率化する動きです。

1.今治造船とJMUの資本業務提携(合弁会社:日本シップヤード/NSY)

目的 両社の商船事業における国際競争力を強化し、中国・韓国の巨大造船グループ
   に対抗する ※今治造船(51%出資)、JMU(49%出資)
 
計画 ・NSYLNG船を除く一般商船バラ積み船、タンカー、コンテナ船など)の
    営業と設計を一元化
   ・仕様を統一し、マスプロダクト(量産効果)を追求
   ・設計に基づき、それぞれの工場で建造を分担
 
利点 国内最大の造船連合となり、汎用船の量産体制獲得と、JMUが持つ大型・高付
   加価値船の技術を融合させたオールジャパン体制の核

 

2.MILESの設立

「MILES」はMarine-design Initiative for Leading Edge Solution(最先端ソリューションのための海事設計創造企業)の略で、元々は三菱重工今治造船の合弁会社
(MI LNG)が社名変更した企業です。

 

 

3. MILESに連合する共同体(グリーン化・次世代技術の開発)

 
目的 カーボンニュートラルの2050年目標達成に向けたゼロエミッション船の設計・
   技術開発
を加速
   「技術開発」「設計標準化」、環境規制対応という国際的な課題解決に焦点を
   当て、日本の造船業界が直面する二大課題(国際競争と環境・安全保障)を
   克服するための戦略的な動きとなる
 
計画 ・グリーンイノベーション基金(GI基金)などの資金提供を活用し、企業が単
    独では困難なリスクの高い技術開発を一斉に進める
    液化CO2輸送船やアンモニア燃料船標準設計スキームを構築し、
    開発コストを低減
   ・MILESが設計と技術標準化を担い、舶用メーカーが新燃料対応エンジンを、
    海運会社が運航ノウハウを提供し、次世代船の実用化を目指
   ・エナジートランジション、スマート化、サイバーセキュリティなどの最先端
    技術の取り込み
 
参画企業 MILES(三菱重工と今治造船)、JMU、日本シップヤード(今治造船、JMU)
     +海運大手(日本郵船、商船三井、川崎汽船)
国(官)   NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)などを通じて、研究開発
     資金
を投入し、リスクを取ったイノベーションを促進します
 

 


 

軸 II:官民連携による国家課題対応

この枠組みの最大の目的は、地政学的リスクや国際競争の激化によって、日本の海運・防衛を支える造船・船舶部品の国内供給が途絶するリスクを防ぐことです。

 

特に、船の骨格である「船体」そのものを経済安全保障推進法の特定重要物資に指定し、国が国内の生産体制維持を支援することで、海上輸送に不可欠な基盤を守ろうとしています。政府の総合経済対策でも、造船業再生を後押しする基金の創設などが検討されています。

 

1. 造船業再生基金(安全保障・国内基盤強化)

目的 経済安全保障の観点から、有事にも耐えうる国内での船舶・部品の安定供給
   体制を確立
し、国内造船能力の維持・回復
   国際的なサプライチェーン途絶リスクへの対応、および海上輸送に不可欠な
   船体の国内供給体制を強靭化すること

官民投資総額:1兆円 (政府と造船業界が各約3,500億円 政府系金融機関が財政投融資を通じて3,000億円出資)

 

計画 基金による巨額の財政支援(設備投資への補助・融資)
   「船体」や「舶用エンジン」などの特定重要物資の安定供給を確保
   2035年までに建造量を2倍に引き上げるなど、生産能力の拡大を目標とする

 

対象 ・国内の造船所(JMU、内海造船、名村造船所など)

   船舶エンジンメーカー(ジャパンエンジン、ダイハツインフィニなど)

   ・船用機器メーカー(古野電気、寺崎電気産業など)

 

利点 企業は支援を受け、老朽設備の改築やデジタル化を進め、国内生産能力
   維持・拡大できる

 
 

おまけ 大手造船業の撤退

現在最大手の今治造船やJMUは上場しておらず、投資対象に悩む方もいるかもしれません。実は過去に大手造船の事業撤退が続いていたのです。
  • 日立造船(現 カナデビア):2002年に撤退
  • 佐世保重工:2014年に上場廃止
  • 三菱重工:2010〜2022年に段階的撤退
  • 三井造船(現 三井E&S):2021〜2025年にかけて撤退
なんだか、切ないですね。島国日本で造船が世界ナンバーワンでないのは。
 
 
政府が過去に支援を怠ったために中韓にお株を奪われてしまった「半導体」「造船」の復活が実現できるでしょうか?
正直なところ、アメリカの協力は限定的とみるべきでしょうし(搾取の方が上回る)、世界的潮流に乗って日本独自に強靭な道を歩みだす機会だと思います。
 
投資家の皆さんもそんな日本にこそ投資しましょう!Happy Trading !!

2025/12/2

 

アメリカや中国を筆頭にヒト型ロボット『ヒューマノイド』の開発が著しいですが、ホンダのアシモやソフトバンクのペッパーなどがある日本ものんびり傍観しているわけではありません。

さあ、日本の底力を世界に見せつけてやりましょう!

 

🤖 KyoHAの概要と活動目的--

京都ヒューマノイドアソシエーション KyoHA(キョーハ)は、日本のヒューマノイドロボット産業の再興を目指して設立された団体です。
  • 設立:2025年6月に設立が発表され、同年9月に一般社団法人となりました。

  • 設立メンバー早稲田大学、テムザック、村田製作所、SREホールディングスが中核となって設立されました。
    その後、沖縄科学技術大学院大学、マブチモーター、カヤバ、NOK、ヒーハイストなどが加わっています。

  • 目的:日本が誇る高度なハードウェア技術を結集し、純国産のヒューマノイド(人型)ロボットの開発・社会実装を推進することで、日本のロボット開発競争力を高めることを目指しています。

  • 活動の柱:

    • ハードウェア開発の国産連携体制構築:精密部品、アクチュエーター、センサーなどの技術を連携させた産学連携ネットワークを構築。

    • 京都を中核としたサプライチェーン構築:製造から導入までを見据えた国産サプライチェーンの再設計。

    • 経済的波及効果と産業競争力の強化など。


🛠️ 開発の特色

KyoHAが開発を目指すヒューマノイドロボットは、「人型の形・サイズならば、人間用の設備や道具をそのまま使える」という利点から、「現場フレンドリー」なロボットとなることが重視されています。

  • 汎用性:階段やエレベーター、電動工具など、人間用の設備や道具を人間のように扱えるため、ロボットフレンドリー化が難しい現場(建設現場、医療機関、研究機関など)での活躍が期待されています。

  • 開発モデル:用途や動作が頻繁に変わる現場向けに、建設現場向けモデルと、医療機関や研究機関向けの俊敏性/機能性重視モデルなどが並行して製作される予定です。

 

 

2025年12月2日の報道によりますと、KyoHAにルネサスエレクトロニクス住友重機械工業などが新たに参画し、全13者体制で国産ヒューマノイドロボットの開発を加速させ、日本のロボット産業の競争力を高め、2027年中の量産開始を目指すということです。

🚀 新たな参画企業

KyoHAが中心メンバー(早稲田大学、テムザック、村田製作所、SREホールディングス)と初期メンバー(OIST、マブチモーター、カヤバ、NOK、ヒーハイストなど)に加え、新たに迎え入れた主な企業は以下の通りです。

  • ルネサスエレクトロニクス株式会社:

    • 役割:ロボットの頭脳となる半導体(マイコン、SoCなど)や、各種電子制御技術の提供が期待されます。ヒューマノイドの複雑な動作をリアルタイムで制御するための核となる部分を担います。

  • 住友重機械工業株式会社:

    • 役割:ロボットの関節部分に不可欠な精密減速機や、高精度・高耐久の機構部品などの提供が期待されます。日本の高いハードウェア技術を代表する企業の参画により、ロボットの耐久性と動作精度が向上します。

 


🎯 開発の具体的な目標時期

項目   目標時期
初期プロトタイプ製作   2026年3月頃
第2弾プロトタイプ製作   2026年末頃
量産開始   2027年

KyoHAは、2027年を目標に、レスキューや建設現場での活用を見据えた「現場フレンドリー」な純国産ヒューマノイドロボットの量産化を目指しています。


💡 KyoHAの強み

今回の参画企業拡大により、KyoHAはヒューマノイドロボット開発に必要な主要な技術領域を国内でほぼカバーできる体制を築きました。

  1. 制御系(電子部品・半導体):ルネサスエレクトロニクス、村田製作所など

  2. 駆動系(モーター・機構):マブチモーター、住友重機械工業、カヤバ、NOK、ヒーハイストなど

  3. システムインテグレーション・運用:テムザック、SREホールディングスなど

  4. 学術研究: 早稲田大学、沖縄科学技術大学院大学(OIST)

この強力な産学連携体制により、設計から製造、制御に至るまで、全て国産技術で完結する高信頼性のヒューマノイドロボットの開発が進められます。

 

 

どんなヒューマノイドを作り出すんでしょうね?

テスラのオプティマスほどの高性能なものが作り上げられるのか、プロトタイプの発表が楽しみです。

 

Happy Trading !!

2025/12/2

 

日銀の利上げが世界不況の一端となりうる可能性に関するレポート

長らくデフレと闘い、世界の中央銀行の中で唯一大規模な金融緩和を維持してき日銀が、賃金上昇と物価安定の好循環を見極め、利上げに踏み切る可能性が高まっています。

この政策転換は、単なる国内経済の正常化プロセスに留まらず、世界の金融市場が抱える構造的なリスクを顕在化させ、世界的な景気後退(不況)を増幅させる一端となりうるという懸念が指摘されています。


💹 核心的な懸念:円キャリー・トレードの巻き戻し

日銀の利上げが世界不況のリスクを高める最大の理由は、長年の超低金利政策の下で積み上げられた「円キャリー・トレード」の巨額なポジションが一斉に解消(巻き戻し)される可能性です。

1. 巨大なポジションの存在

世界中のヘッジファンドや機関投資家は、調達コストがほぼゼロの円を借り入れ、より高い利回りが得られる米国債や欧州株、新興国資産などに投資してきました。このポジションは極めて大規模であり、市場は低金利の円資金に依存する形で運用されてきました。

2. 利上げによるリスクの顕在化

日銀が利上げを行い、円の借入コストが上昇すると、キャリー・トレードの魅力である金利差(キャリー)が縮小します。さらに、利上げは将来的な円高リスクを高めます。

投資家にとって、借りた円の価値が上がってしまう(円高)と、運用益を上回る為替差損が発生するリスクが高まるため、損失を確定する前にポジションを解消しようとする動きが強まります

 


🌍 世界市場への具体的な波及効果

このキャリー・トレードの巻き戻しは、以下のプロセスで世界の金融市場を揺るがします。

1. グローバルな資金の引き揚げ

巻き戻しのために、投資家は海外に投資していた米ドル建て、ユーロ建てなどの資産を大量に売却し、円を買い戻して借入を返済します。

これにより、世界の株式や債券市場から資金が急速に流出し、世界的な株価・債券価格の下落圧力が発生します。特に流動性が低く、高利回りの新興国市場は大きな打撃を受ける可能性があります。

2. 世界的な金融引き締め効果の増幅

海外資産の売却は、米国債などの価格を下落させ、世界の長期金利を押し上げる効果を持ちます。世界の中央銀行が既にインフレ抑制のために高金利政策を維持する中で、日銀の政策転換が間接的に世界の金利をさらに押し上げれば、グローバルな金融引き締め圧力が一段と強まり世界景気の減速を加速させる要因となります

 


📉 結論:不況の引き金ではなく悪化要因

日銀の利上げが直ちに世界不況の「引き金」となるというよりは、すでにインフレと高金利に苦しむ世界経済の減速局面において、その混乱と深刻度を悪化させる要因として作用するリスクがあります。

円キャリー・トレードの解消に伴う資産価格の急落と資金流出が、投資家のリスク回避姿勢を強め、世界的な景気後退懸念を現実のものとする可能性は十分に考慮されるべきです。

 

 

【おまけ】

💰 円キャリー・トレードを分かり易く説明します

ここでは、ある国際的なヘッジファンドが、金利差を利用して利益を上げようとするシナリオを想定します。

📊 前提条件(金利環境)

項目 日本円 (JPY) 米ドル (USD) 備考
短期金利 0.5% 5.0% 年間の借入・運用コスト
為替レート ¥150 / $1   取引開始時のレート

ステップ 1:円を借りる (調達)

ヘッジファンドは、調達コストの安いを選びます。

  • 行動: 日本の金融機関から150億円を年利0.5%で借り入れます。

  • 年間借入コスト: 150億円✕0.5% = 7,500万円

ステップ 2:ドルに交換し、高金利資産に投資する (運用)

借り入れた円をドルに交換し、高金利の米ドル建て資産に投資します。

  • 両替: 150億円を、為替レート(¥150/$1)で1億ドルに交換します。

  • 投資: 1億ドルを年利5.0%の米国債に投資します。

  • 年間運用益: 1億ドル✕5.0\% = 500万ドル

ステップ 3:利益(キャリー)を確定する

1年後、投資家は「円の借入コスト」と「ドルの運用益」の差額を計算します。

1. 金利差による利益の確定

  • ドルの運用益: 500万ドル

  • 円の借入コスト: 7,500万円

ここで為替レートを考慮せずに、金利差(キャリー)を計算します。

 

年間純利益(為替変動なしの場合):500万ドル― (7,500万円/為替レート) =利益

 

もし、1年後の為替レートが変わらず ¥150/$1 のままだったと仮定すると:

項目  円換算   ドル換算
ドルの運用益 (A)  500万ドル✕150 = 7.5億円   500万ドル
円の借入コスト (B)  7,500万円   50万ドル
年間純利益 (A - B)  6.75億円   450万ドル

 

この金利差による純利益(450万ドルまたは6.75億円)が、キャリー・トレードの基本的な目的である「キャリー(持ち運び)」の利益となります。


⚠️ キャリー・トレードのリスク:為替変動

キャリー・トレードの最大の落とし穴は、為替レートの変動です。金利差による利益は確定しても、取引終了時(円を返済するとき)に円高になっていると、利益が吹き飛ぶどころか、損失が出る可能性があります。

📉 失敗例:円高になった場合

1年後、日銀の利上げ観測などにより円高が進み、為替レートが ¥140 / $1 になったと仮定します。

  1. 投資元本は、1億ドル(¥150億)から1億ドル(¥140億)に目減りします。

    • 円高による元本評価損:150億円-140億円 = 10億円

  2. 最終損益の計算:

    • 金利差による純利益: +6.75億円

    • 為替変動による損失: -10.00億円

    • 総合損益:       -3.25億円の損失

このように、金利差による利益があっても、それを上回る円高(借りた通貨の価値の上昇)が発生すると、キャリー・トレードは大きな損失を生むことになります。

日銀の利上げ観測が高まると、この「円高による損失リスク」が高まるため、投資家は急いでポジションを解消(巻き戻し)しようとするのです。

 

いかがでしたか?

幸か不幸か、日銀が日本経済を守ろうとするがゆえの低金利政策は、世界中のファンドや企業に低リスクの投資機会を与え恩恵をもたらしてきました。

しかし、日本が財政正常化に舵を取ることで、世界中の金融業界は楽に稼げる手段を失い、結果として収益悪化から不況への歩みを進めてしまうという、なんとも滑稽な転落劇を演じてしまうのです。

そして、この誰も望まない状況が起きつつあるのが現在ということです。

『利上げ』『円高』この2つのキーワードには注意を払って投資に取り組んでゆきましょう!Happy Trading !!

 

2025/12/1

高市政権の総合経済対策を活かす

 

高市総理が掲げた総合経済対策は、大きく三つの柱と予備費で構成されており、「生活の安全保障・物価高への対応」と「危機管理投資・成長投資」を主軸としています

 

1. 第1の柱:生活の安全保障・物価高への対応

  一般会計 8.9兆円 減税 2.7兆円

 

国民の暮らしと生活基盤を守り、足元の物価高騰に対応するための対策です。

《具体策と目的≫

  • 燃料価格 ※1兆円
    ・ガソリン暫定税率の速やかな廃止、軽油引取税の暫定税率も廃止
    →燃料コストを抑制し、国民生活や物流機能への影響を軽減する
  • 電気・ガス料金 ※0.5兆円
    ・冬場に向けた電気ガス料金の支援(電力使用量の増える時期に手厚い支援)
    →エネルギーコストの上昇から家計を保護する
  • 家計・所得支援 ※1.2兆円
    ・「103万円の壁」の引き上げ(所得税の基礎控除等の見直し)
     給付付き税額控除を早期に制度設計し実現を図る
    →中・低所得者層の負担軽減、働き控えの解消を目指す
  • 地域・事業者支援 ※2兆円
    重点支援地方交付金の拡充 ※地域振興の支援(商品券、現金給付など)
    ・赤字の病院、介護施設に対し、報酬改定を待たず補助金を前倒しで措置する
    →地方自治体の創意工夫を生かし、地域のニーズに合った物価高対策を機動的
     に実施。医療・介護現場の経営改善と処遇改善を支援
  • 賃上げ環境整備
    ・価格転嫁対策の徹底、中小企業等の稼ぐ力の強化や省力化投資の支援を行う
    →中小企業・小規模事業者などの賃上げを実現するための環境を整える

 

第1の柱政策は、インフレ対策と国民の生活支援に充てている点で非常に評価できる内容です。
ただ、ガソリンにしろ、光熱費にしろ、補助金が出たからと言って急に使用量が増えるものではないので、投資機会としては限定的かなとは思います。

残る地方支援と子育て支援における10,000~30,000円の給付については、食料品の購入や外食において、僅かとはいえ財布のひもが緩むと考えられますので、生活必需品関連の小売業態や外食産業には恩恵がありそうです。

 

2. 第2の柱:危機管理投資・成長投資による強い経済の実現

  一般会計 6.4兆円 特別会計 0.8兆円

 

日本の供給力強化と将来の成長を見据えた投資を促進する対策です。
《具体策と目的≫

  • AI・半導体
    ・研究開発と社会実装を促進する規制改革
    ・AIロボティクス実装拡大に向けた戦略の策定
    ・半導体・データセンター関連インフラ(道路・工業用水・電力・通信など)
     整備の推進
    →国際競争力を高めるため、最先端技術分野への投資を加速する
  • 危機管理投資
    ・サプライチェーンの強靭化(重要物資の国内生産促進など)
    ・防災・減災対策の推進
    →地政学的リスクや自然災害に強い経済構造を構築する
  • 人材育成
    ・高校無償化、給食費の無償化の制度設計の議論を進める
    ・人材育成の強化、教育への投資
    →将来の成長を支える質の高い人材を育成する

第2の柱政策は、投資案件ドンピシャな内容ですね。

あえて言及するには及ばない、みなさんよくご存じの銘柄群が目白押しですので、どの企業に補助金がおりそうか検討して、今年中に前乗りしておくといいかもですね。

 

3. 第3の柱:防衛力と外交力の強化 一般会計 1.7兆円

厳しさを増す国際情勢に対応するための基盤強化で、防衛費の増額と関連施策の実施、外交力の強化に向けた予算の確保と戦略的な活動の推進に使われます。

 

1. 恒久的な防衛費の強化(防衛費プラスアルファ)

  • 防衛力の抜本的強化の加速:

    • 防衛装備品の取得・開発の加速(例:スタンド・オフ防衛能力、無人アセットなど)

    • サイバー防衛能力宇宙領域における能力向上。

  • 防衛産業の基盤強化:

    • 防衛装備品のサプライチェーンを国内で強靭化するための投資。

    • 防衛分野における研究開発を担う企業への支援。

2. 外交力の戦略的強化

  • 外交予算の増額: 国際協力やODA(政府開発援助)など、日本の国際的な影響力を高めるための予算を強化します。

  • 戦略的な情報発信: G7、ASEAN諸国などとの連携を強化し、自由で開かれた国際秩序維持のための外交活動を活発化させます。

3. 経済安全保障との連携

  • 先端技術の保全・育成: 半導体AIなどの重要技術の流出防止と、研究開発への投資。

  • サプライチェーンの強靭化: 重要物資の特定国への過度な依存を減らし、国内生産や多様な調達先の確保を支援します。

 

第3の柱政策も、高市トレードど真ん中の施策ですね。

ここで予算が低めに設定されているのは、あくまで防衛費約8.5兆円に追加という意味合いでしょうから、やはり国策と言える投資案件だと確信します。

 

今回の総合経済対策はトータル21.3兆円規模です。よく吟味して、この恩恵を得られるような投資にしたいですね。Happy Trading !!

今記事は日経新聞のものです。原文へはリンクから辿って下さい

アドバンテスト株、根拠あるPER50倍 「生産2.5倍」は通過点

 

PER(株価収益率)で50倍を超えるアドバンテストの株価水準は維持可能か、株式市場の関心が集まっている。

強気派が着目するのが同社の半導体検査装置の増産を可能にする強固な供給網だ。数年後に見据える生産規模は現状の2.5倍。業界トップのシェアはさらに拡大し、いずれ割高感は薄れるとの見方が浮上している。

 

17日にアドバンテストが開催した投資家向けイベントで印象的な場面があった。グループ最高経営責任者(CEO)のダグラス・ラフィーバ氏など経営陣3人が登壇し、技術面での取り組みを紹介する内容だ。

イベントも終盤に差し掛かるころ、ラフィーバ氏は生産能力の拡張計画を語り始めた。半導体の複数機能を1つのチップに集約したシステム・オン・チップ(SoC)向けの検査装置の生産能力を2027年3月末までに現状の最大6割増の年5000台規模にするという。その後数年で7500台、長期で1万台を見据えると、初めて具体的な数字を打ち出した。

株式市場ではかねて同社に対し、AI(人工知能)半導体向けの検査装置の需要増に生産が追いつかず、市場シェアを落とすのではとの懸念があったためだ。

 

半導体検査装置は部品数が100万点に上り、1つでも欠ければ完成しない。

アドバンテストは24年にサプライチェーン(供給網)を統括する責任者を置き、データを用いた需要予測をもとに製造の外部委託先や部品会社と増産の交渉を進めてきた。検査装置に使う半導体も生産委託先と長期契約を結び、安定調達を図った。

ニッセイアセットマネジメントのアナリストは「サプライヤーとの関係づくりなど注力してきた供給網整備が増産を可能にした」と指摘する。アナリストの多くが投資家向け広報イベントの内容を評価する。

 

25年の日経平均株価を最高値に押し上げたAI関連株の中でもアドバンテストの上昇寄与度は約2700円と最も大きい。米半導体大手エヌビディアの画像処理半導体(GPU)向けに検査装置を独占供給しているとされ、成長ストーリーの描きやすさから買いが集まった。株価は昨年末比2.1倍で、予想PERは51倍台まで上昇した。

 

 

市場では「将来の利益成長を織り込むと株価は決して割高ではない」との声は多い。GPU向けの高いシェアを武器に装置の販売価格で主導権を握り、増産がそのまま増収、増益につながってきた。

生産能力の増強に応じて利益も拡大すると仮定すれば、年7500台達成で1株当たり利益(EPS)は2.5倍に伸び、PERは35倍台まで下がる。年1万台ならPERはさらに26倍台になる。アドバンテストは生産能力は急な需要に対応するバッファーを含む数字で、業績予想を示すものではないとするが、需要拡大が続けば生産能力は販売台数に近くなる。

 

足元では競合の米テラダインもGPU向けの検査装置でシェア拡大を狙うが、アドバンテストは増産に加えて他社の参入を防ぐ「堀」を深くする戦略で迎え撃つ。

目玉の一つが2月に発表したSoCの検査を効率化するツール「SiConic(サイコニック)」だ。

SoCの製造は仕様通りに設計されているかを調べる検証工程と、SoC上の全回路が動作するかを確かめる検査工程がある。従来は工程ごとに違うデータを使っていたため作業効率が悪かった。アドバンテストは半導体設計に不可欠な自動設計ツール(EDA)企業と連携し、両工程を橋渡しするソフトを作った。

 

積極策を評価し、足元でアナリストの利益見通しも上がりつつある。アドバンテストの株価騰落率の要因を12カ月先予想ベースのPERとEPSに分解すると、4〜6月はPERが60%と主導していた。10月以降はEPSが20%とPER(11%)を上回っている。

 

 

足元では米グーグルのカスタム半導体の性能向上でAI半導体におけるエヌビディア1強が崩れるとの見方が浮上する。それでも、グーグル製半導体の設計を担う米ブロードコム向けにも装置の需要拡大が見込めるアドバンテストの成長への期待は強い。AI相場の真価を見極める物差しになりそうだ。

2025/11/26

 

直近のセクター動向を確認しておきましょう①

 

  • 製造業は低迷  2%下落
  • 非製造業は好調 16%高
  • 建設業は絶好調 50%高
  • インフラ絶好調 41%高
  • 鉱業・不動産、金融好調 17~25%高
  • 電気ガスは絶不調 60%下落

 

 

対して、本決算時における会社予想を見てみましょう①

  • 製造業はさらに7%下落
  • 非製造業は控えめに9%高
  • 金融は絶好調 40%高
  • 建設・不動産業は控えめに5~12%高
  • インフラは下落反転 10%下落
  • 鉱業は絶不調の下落 50%下落

予想に関しては控えめに提示する会社も多いので、あくまで参考程度にしましょう
インフラ関連(運輸業と情報通信業、建設・不動産業)はかなり有望な気がしますが

 

 

直近のセクター動向を確認しておきましょう②

  • 金属製品は絶好調 28%高
  • 非鉄金属・その他製品・電気機器は好調 17~21%高
  • 自動車は不調 17%下落
  • 石油石炭・繊維製品は不調 37~44%下落
  • 鉄鋼は最悪の絶不調 86%下落

 

 

対して、本決算時における会社予想を見てみましょう②

  • 医薬品はさらに好調で 26%高
  • 非鉄金属はほぼ維持で 19%高
  • 食料品はさらに好調で 16%高
  • ガラス土石・パルプは反転好調 10~15%高
  • 繊維は少し改善でも 16%下落
  • 自動車はさらに悪化で 32%下落
  • 石油石炭はほぼ維持で 34%下落
  • 鉄鋼は少し改善でも 63%下落

 

 

さて、これらのデータから年末~年明けに有望なセクターを予想しましょう

「好調な実績(2Q)でモメンタムがあり、かつ通期予想がポジティブまたは保守的すぎて上方修正余地がある」セクターが有望と判断できます。

 

🥇 最有力候補:実績・予想ともに絶好調

  1. 建設業 実績が予想を大きく上回るモメンタム。通期の上方修正期待大
  2. 非鉄金属 製造業の中で実績・予想ともにトップクラス。需要継続の期待

🥈 次点候補:実績好調で上方修正余地あり

  1. インフラ 実績は非常に好調だが、通期予想が極めて保守的
         今後の上方修正は確実視される
  2. 電気機器 2Q実績が通期予想を上回るペース。世界的な需要を背景に力強い
  3. 不動産業 2Q実績が通期予想を大きく超えており、モメンタムが強い

🥉 注目候補:予想は強気だが実績はこれから

  • 医薬品 通期予想の伸び率が製造業で最大
        新薬などの寄与が下期に集中する可能性

⚠️ 注意セクター:回復待ち・予想が楽観的すぎる可能性

  1. 自動車 2Qは好調だが通期予想が極端なマイナス。
        部品不足解消などで下期に減益幅が縮小するか注目
  2. 鉄鋼  構造的に厳しく、回復には時間がかかりそう

 

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ちなみに、以下はGemini自身がレポートした期待セクターです

 

🚀 今後の期待値大セクター

1. 🤖 テクノロジー・ハードウェア/AI関連

  • 期待理由:

    • AI革命の本格化: ChatGPTなどの生成AIの進化により、企業や個人レベルでのAI導入が加速しています。これに伴い、AI処理に必要なデータセンター投資や、高度な演算を担う半導体(特にGPU)の需要が爆発的に増加します。

    • 国内サプライチェーンの強化: 日本の強みである高機能素材、製造装置、特定の電子部品(例:積層セラミックコンデンサ、センサー)などは、AIや次世代通信(6G)の基盤を支えるため、引き続き世界的な競争優位性を持ちます。

2. 🛡️ 防衛・宇宙・セキュリティ産業

  • 期待理由:

    • 地政学リスクの高まり: 世界的な緊張の高まりに伴い、日本国内でも防衛費の増額や装備品の近代化が進行しています。防衛関連企業や、それに付随するサイバーセキュリティ企業への投資が活発化する見込みです。

    • 宇宙産業の民間解放: 衛星データ利用や小型ロケット開発など、宇宙関連のスタートアップや関連技術を持つ企業への関心が高まっています。

3. 🏭 構造改革/デジタル変革(DX)支援サービス

  • 期待理由:

    • 人手不足の深刻化: 少子高齢化による労働人口の減少は、日本の全産業で最も深刻な構造問題です。この問題を解決するための業務自動化(RPA、AI)クラウド導入基幹システム刷新などのDXサービスを提供する企業は、業種を問わず需要が拡大し続けます。

    • 内需の底上げ: 効率化投資は景気変動に左右されにくく、安定的な収益源となります。

4. 🔋 環境・エネルギー変革(GX)関連

  • 期待理由:

    • 脱炭素化の加速: 世界的な流れとして、カーボンニュートラル実現に向けた投資は不可避です。再生可能エネルギー(太陽光、風力)蓄電池省エネ技術、電力網のデジタル化(スマートグリッド)に関わる技術や素材を持つ企業は、中長期で大きな成長ドライバーとなります。

    • 日本の国際競争力: 日本の自動車メーカーや素材メーカーは、次世代バッテリーや水素技術において世界トップクラスの技術を有しており、グローバルな需要を取り込むことができます。

 

ははは。現在までに多くの投資家・企業が注目してやまないテーマが今後も継続するとGeminiはみているようですね

そりゃ、急にセクターチェンジは起こらないでしょうけどね。参考にどうぞ

Happy Trading !!

2025/11/26

ある強力なシグナルが点灯した模様です!

その上昇確率は100%!植田ショック、関税ショックを取りこぼした(私のような)投資家はこのチャンスを絶対に見逃すな!!

★Zweig Breadth Thrust(ツワイグ・ブレドス・スラスト)とは?

Zweig Breadth Thrust(以下、ZBT)は、株式市場のテクニカル指標の一つで、市場の勢い(モメンタム)を測定し、特に新しいブルマーケット(上昇相場)の開始をシグナルするものです。

この指標は、ウォール街の伝説的な投資家であり、著名なニュースレター発行者であったマーティン・ツワイグ博士(Dr. Martin Zweig)が開発した、非常に強力な「市場の底打ち・トレンド転換シグナル」です。

ZBTは、市場全体の「ブレドス」(breadth:上昇株と下落株の広がり)を基に計算され、資金の急激な流入による株式の上昇を検知します。

一言で言うと、「短期間にものすごい勢いで市場全体の雰囲気が『悲観』から『熱狂』へ変わった瞬間」を捉える指標です。

ツワイグによると、1945年以降、このシグナルが発生したのはわずか14回のみで、各シグナル後の11ヶ月程度で平均上昇率は24.6%でした。多くのブルマーケットがこのシグナルから始まる点が特徴です。

1. ZBTの基本概念と仕組み

ZBTは、株価そのものではなく、「マーケット・ブレドス(Market Breadth:市場の広がり)」を分析します。つまり、一部の大型株だけでなく、市場全体(多くの銘柄)が上昇しているかどうかを見ます。

 

【判定条件(シグナル点灯のルール)】

以下の動きが10営業日以内に起こった場合に「ZBTシグナル点灯」となります。

  1. どん底: 10日間の移動平均(EMA)で計算した「上昇銘柄数の割合」が、0.40(40%)以下に落ち込む。(=市場が売られすぎている状態)

  2. 急騰: その状態から一気に上昇し、10営業日以内に0.615(61.5%)以上へ跳ね上がる。(=市場が極端に買われすぎている状態)

この「スラスト(thrust)」は、市場センチメントの急変を捉え、短期的な勢いの転換を強調します。Nasdaqなどの他の市場データでも応用可能ですが、元来はNYSE向けです。

 

2. なぜこの指標が重要なのか?(市場心理)

通常、売られすぎ(0.40以下)から買われすぎ(0.615以上)へこれほど短期間で移行するのは異常事態です。市場の心理が「悲観(パニック)」から「熱狂(パニック買い)」へ一気に反転したことを示します。しかし、ツワイグ博士はこれこそが「新しい強気相場の始まり(キックオフ)」であると定義しました。

  • 資金の逆流: 投資家が現金を抱えて様子見をしていた状態から、一斉に株式市場に資金を戻し始めたことを意味します。

  • ショートカバー: 空売り(ショート)をしていた投資家(先ほどの風刺画のような人々)が、あまりの急騰に耐えられず、損失覚悟で買い戻しを迫られ、それがさらなる上昇を生む「踏み上げ」が発生しています。
    ZBTは、空売り勢が最も苦しむ相場転換点を予言する指標とも言えます。

  • ロックアウト・ラリー: 買いたい人が置いてけぼりにされるほど上昇が速いため、「押し目待ち」を許さない相場になります。

【歴史的パフォーマンス】

  • ZBTは非常にレアな現象です。数年に一度しか発生しませんが、発生した後のパフォーマンスは歴史的に極めて高いことで知られています。
    1945年以降、約14〜19回(ソースにより若干異なる)。
  • リターン:シグナル後6ヶ月は確率100%で上昇、12ヶ月で平均20〜25%のリターンが歴史的に観測されています。ただし、市場のトレンドによって効果が変わり、下降相場では信頼性が低下する可能性があります
  • 最近の例:
    2019年初頭: 2018年末の暴落後に点灯し、その後の回復相場を捉えました
    2020年コロナショック後: 3月の底打ち後に点灯し、強力な金融相場の開始を告げました
    2023年3月: シグナル点灯後、米国株は年末にかけて大きく上昇
    2025年4月25日には戦後20回目のシグナルが発生し、S&P 500の強気シグナルとなりました
シグナル点灯  点灯時の市場状況
 (主な要因)
 6ヶ月後の
リターン
(S&P)
 12ヶ月後の
リターン
(S&P)
1994年12月 FRBの利上げショック
後の反発
+10.0% 程度 +15.0% 程度
2000年10月 ITバブル崩壊中の一時
的な反発
+5.0% 程度 +10.0% 程度
2003年4月 ITバブル崩壊後の弱気
相場からの脱却
+15.0% 程度 +20.0% 程度
2009年3月 リーマンショック後の
金融危機の底打ち
+35.0% 以上 +50.0% 以上
2011年10月 欧州債務危機によるボラ
ティリティ上昇後の反発
+14.0% 程度 +20.0% 程度
2016年2月 中国経済懸念と
原油価格暴落後の底打ち
+7.0% 程度 +17.0% 程度
2019年1月 2018年Q4の調整後
の急反発
+13.0% 程度 +20.0% 程度
2020年4月 コロナショックによる
急落後のV字回復
+20.0% 以上 +40.0% 以上
2023年3月 地域銀行危機、インフレ高進による弱気相場からの反転 +15.0% 以上 +25.0% 以上

 

【使い方と注意点】

  • 主な用途:
    • ブル(買い)シグナル:ZBT発生時は、市場の底入れと上昇トレンドの開始を示唆。多少の高値掴みになっても、トレンドフォローで買いに乗るべきタイミングとされます
    • ベア(弱気)派への警告: 「まだ下がるはずだ(二番底がある)」と考えて売り向かうと、焼かれる(大損する)可能性が高い局面です
    • セットアップ期:40%未満の期間は売られ過ぎを検知し、逆張り戦略に有用
  • 利点:稀少性が高く、偽シグナルが少ない
       メディアでも頻繁に引用され、市場心理の急変を視覚化
  • 欠点:過去25年間のようにシグナルが長期間発生しない「ドロート」(枯渇期) 
       があり、常に有効とは限りません。また、統計的成功率は高いものの、
       チャート分析と組み合わせるのが推奨されます。

 

80年間で20回未満しか点灯していないという希少なシグナルは、絶対に聞き逃すべきではないです。

じっくりチャートと向き合って、最高のタイミングで参戦しましょう!

Happy Trading !!

2025/11/26

 

ある銘柄(KLab:3656)を見ていたら貸借倍率0.08倍になっていて、「これはショートカバーの踏み上げ相場だ!」と叫んでいる投資家がいました。

たしかに!

貸し株残高が354万株、対して融資残が30万株弱なので、差し引き320万株の買い圧力が存在すると言えます。そして、その言葉を体現するかのように、株価も前場引けで10%上昇しています。

ですが、これは日証金のデータのみ。

東証のデータ(楽天証券が集計したもの)では、売り残640万株、買い残1581万株なので2.47倍という好取組み中です

これはどっちが正しいの?

というわけで、空売りネットの登場です!

 

 

このシンプル過ぎるエントランスが空売りネットです。

KLab:3656を検索して結果を見てみましょう。

 

「日証金」「東証」「日々公表信用残」

「日証協」「逆日歩」の棒グラフ

下段に証券会社個々の残高情報が詳細に記録されています

 

残念ながら掲載までのタイムラグがあり、日証金のデータでも11/21のものなので始めに挙げたデータとはだいぶ違っています。

それでも、おおまかな貸借倍率は確認できるはず

なのですが、それぞれの日付がマチマチで、単純に足し引きしただけでは正しく集計できなさそう。

そうなんです、株式の売買を取り扱う機関は、それぞれ公表するタイミングが違うんです。

 

  • 日証金残高日本証券金融が証券会社に貸し付けた「融資(信用買い残)」と「貸株(信用売り残)」の残高。毎日公表
  • 日証協残高日本証券業協会が集計する、証券会社同士の株券貸借取引の残高。週次で公表。制度信用取引は含まれない。
  • 東証残高(信用残)東京証券取引所が集計する市場全体の信用取引残高(買い残・売り残)。週次(火)公表
  • 日々公表信用残東京証券取引所が集計する市場全体の信用取引残高(買い残・売り残)。毎日公表

📊 詳細解説

1. 日証金(日本証券金融)の残高

  • 意味:証券会社が自社で調達できなかった株や資金を、日証金から借りた残高
  • 内訳
    • 融資残高=信用買い残に相当
    • 貸株残高=信用売り残に相当
  • 特徴毎日公表されるため速報性が高い。ただし証券会社が自社で処理した分は含まれないため、市場全体の信用取引を完全には反映しない

2. 日証協(日本証券業協会)の残高

  • 意味:証券会社同士が株券を貸し借りする「株券等貸借取引」の残高
  • 公表内容:週間新規成約高と週末残高を銘柄別に公表。制度信用取引は対象外
  • 特徴機関投資家や証券会社の貸借動向を把握できるため、空売りの買い戻し余力(将来の買い圧力)を読む参考になる ※データは翌週の木~金に公表

3. 東証(東京証券取引所)の残高

  • 意味市場全体の信用取引残高(制度信用+一般信用)を集計したもの
  • 公表頻度週1回(火曜引け後)。「銘柄別信用取引週末残高」として発表
  • 特徴:市場全体の需給バランスを把握できる。速報性は日証金より劣るが、網羅性が高い

⚖️ 位置づけの違い

指標 公表主体 内容 公表頻度 特徴
日証金残高 日本証券金融 融資残高(買い)+貸株残高(売り) 毎日 速報性あり、ただし一部のみ反映
日証協残高 日本証券業協会 証券会社間の株券貸借残高 週次 機関投資家の貸借動向を把握可能
東証残高(信用残) 東京証券取引所 市場全体の信用取引残高 週次 網羅性あり、需給バランス把握に有効

 

うん、めんどい。

結局、現状の需給を正確に測る術はなさそうですが、

  • 日証金=短期需給の変化を読む指標
  • 東証残高=市場全体の信用ポジションを把握する指標
  • 日証協=機関投資家の空売り余力を読む指標

この3つを重ねて見ることで、個人投資家と機関投資家の需給構造を分解し、シナリオ分析に活かせそうです。

例えば「日証金残の急増→短期的な需給悪化」「日証協貸付残高の減少→機関の買い戻し余力減少」「東証信用残の増加→市場全体の買い圧力増加」といった多層的な解釈が可能になりそうです。

 

ところで、冒頭のKLABですが、先週末までのデータで確認すると、

  • 貸借倍率約2.7倍ですが
  • 機関投資家に限ると2067万株の売り越しというわけで
  • 差し引き貸借倍率0.62倍に悪化

とみなすと、0.08倍というほどの大差ではなくとも、確かに踏み上げ相場になりうる取り組み具合ではあるようです。

 

今回のデイトレには不向きのデータのようですので、みなさんのトレード手法に合わせてご活用ください。Happy Trading !!