ドル
欧州市場序盤はGLOBEXのNYダウ先物や欧州株が前日比プラス圏で推移しリスク選好の円売りが優勢となったことから、ドル/円はショートカバーにより一時93.60円付近へと上昇。しかし、抵抗線の93.60円付近を上抜けできなかったことが嫌気されたほか、ドバイ政府系持ち株会社ドバイ・ワールド傘下の不動産開発会社ナヒールの債務支払いを巡る懸念やデフォルトの噂が流れたこともあり、株価が軟化すると共にリスク回避の円買いが強まると、ドル/円は 93円台を割り込む展開となった。また、NYタイムズ紙が「クオモNY州司法長官がゴールドマン・サックスなど欧米大手金融機関8社の調査を開始」と報じたこともリスク回避要因として材料視された。さらに、その後は国際投信投資顧問の旗艦ファンドである「グローバル・ソブリン・オープンがユーロやポンドの比率を引き下げた」との報道がユーロやポンドなどに対して円買いを誘ったことも影響し、ドル/円は一時92.65円付近まで続落。NY市場序盤には米新規失業保険申請件数が44.4万件と予想の44.0万件より弱い結果となったことを受けて、米長期金利が低下すると共にドル/円は弱含みとなる場面があったものの、概ね予想通りとあって反応は限定的となると、その後はNYダウが前日終値を挟んで冴えない展開となる中、ドル/円はしばらく92.80円前後での小動きが継続。NY市場中盤には米30年債入札が低調な結果となり米長期金利が一時上昇に転じたことを背景に、ドル/円は92.95円付近まで持ち直したものの、好材料出尽くしにより売られた米通信機器大手シスコ・システムズなどのハイテク株や金融株主導でNYダウが終盤に下げ幅を拡大したことから、ドル /円は92.60円付近まで下押しした。NYダウは前日比113ドル安で終了。シカゴ日経平均先物も大証終値比160円安となっており、本日もリスク回避型の円買いが優勢となりそうだ。モーゲージ証券の格付けを巡って刑事事件に発展する可能性があり、金融セクターの株価動向にも注目が集まるだろう。また、ユーロが下げ止まらずクロス円が全体に円高に振れていることから、ドル/円も引きずられて下げる可能性があるとみる。
【予想レンジ】 ドル/円 91.90-93.30
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ユーロ
アジア市場でのショートカバーが一巡すると、再び欧州PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)諸国のソブリン・リスクを材料としたユーロ売りが活発化。また、ドバイ・ワールド傘下の不動産開発会社ナヒールの債務返済を巡る噂などもあり、欧州株やGLOBEXのNYダウ先物が上げ幅を縮小すると共にリスク回避の動きが強まったことから、欧州市場で対ドルは1.2600付近の買いオーダーを消化し1.25台中盤へと下落し、対円も116円台前半へと下落。また、「グローバル・ソブリン・オープンがユーロやポンドの比率を引き下げた」との報道も売りを誘った。一方、「ポルトガルが財政赤字を約20億ユーロ削減するための追加措置に合意」との報道はサポート材料とならなかった。NY市場ではNYダウが前日終値付近での推移となったこともあり、対ドル、対円ともにしばらく小動きとなったものの、NY市場終盤には金融セクター主導でNYダウが前日比100ドル超の下落となるなど、リスク回避のドル買い・円買いが再び強まり、対ドルは1.2520付近、対円も115.95円付近まで続落した。欧州PIIGS諸国の財政再建に懐疑的な見方が広がっている上、緊縮財政により景気回復が遅れるとの見方や、欧州中銀による債券買い入れでユーロの信認が低下するとの見方も多く、ユーロは再び底がみえない状態となっている。今後各国で歳出カットや公務員削減に反対するデモやストが頻発し、社会不安が高まる可能性も出てきた。金融機関に対する米検察当局の調査が広がったことで株式市場の警戒感が高まり、週末を前にリスク回避ムードが広がる可能性もあるだろう。対ドルは1.2500付近にはダブル・ノータッチ・オプションのトリガーがあることから、強引につけに行く動きも予想されよう。本日はさらなる下落に備えるべきだろう。
【予想レンジ】 ユーロ/ドル 1.2410-1.2630 ユーロ/円 114.10-117.90 ユーロ/ポンド 0.8520-0.8650
ポンド
欧州市場序盤に発表された英商品貿易収支が-75.22億ポンドと予想より弱い結果となったことを受けてポンド売りが活発化したほか、「グローバル・ソブリン・オープンがユーロやポンドの比率を引き下げた」との報道も圧迫要因となり、NY市場序盤にかけて対ドルは1.4635付近、対円も135.65円付近へと下落。また、欧州の信用不安が払拭されず、ユーロが先週の安値に迫る動きとなったことに加えて、米検察当局による欧米大手金融機関への調査に関する報道が嫌気され、NYダウが金融セクターを中心に終盤にかけて下げ幅を拡大するなどリスク回避の動きもあり、対ドルは一時1.4575付近、対円も 135.05円付近まで大幅安となった。株安・商品安を背景にリスク選好が低下していることや、金融機関に対する米検察当局の調査が拡大していることから、本日も安全通貨のドルと円を買う動きが優勢となりそうだ。英新政権発足を受けたご祝儀買いが盛り上がらず、むしろ戦後初の連立政権の先行きに不安も出ており、ユーロやスイスフランに対しても目先は軟調な動きが予想されよう。
【予想レンジ】 ポンド/ドル 1.4350-1.4820 ポンド/円 132.00-138.20 ポンド/スイス 1.6140-1.6480
豪ドル
東京市場序盤に発表された豪雇用統計で失業率は悪化したものの、新規雇用者数が予想より強い結果だったほか、株高連鎖を背景としたリスク選好の動きも追い風となり、欧州市場序盤にかけて対ドルは一時0.9025付近、対円も84.45円付近まで上昇。しかし、ユーロやポンドの反落につられて豪ドルも上値を抑えられると、NYダウが下落して始まったことも圧迫要因となり、NY市場序盤に対ドルは0.8960付近、対円も83.05円付近へと反落。その後、 NYダウが一時前日比プラス圏へと切り返す展開となるなか下値は限定的となり、NY市場中盤に対ドルは0.9020付近、対円も83.75円付近へと反発したものの、NYダウが引けにかけて下げ幅を拡大し、NY原油先物も軟調推移となったことからリスク回避姿勢が強まると、NY市場終盤にかけて対ドルは 0.8935付近、対円も82.80円付近へと反落した。欧州PIIGS諸国の信用不安や金融機関に対する検察の調査など不透明要因が多く、積極的にリスクを取りづらい局面といえよう。本日も株価動向を睨んで下値を探る展開も考えられる。しかし、豪州経済・財政は健全であり、信用不安が波及する可能性も小さいとみられることから、下落余地は限定的となりそうだ。ユーロを売って豪ドルを買う戦略も人気を集めるだろう。
【予想レンジ】 豪ドル/ドル 0.8880-0.9010 豪ドル/円 81.70-84.10 豪ドル/NZドル 1.2490-1.2610
NZドル
欧州PIIGS諸国の根強い信用不安を背景としたユーロやポンドなど欧州通貨の下落に圧迫されたほか、株安・商品安を受けて売りが優勢となり、NY市場終盤にかけて対ドルは0.7135付近、対円も66.10円付近へと下落。また、東京市場朝方に発表されたNZ小売売上高指数が前月比+0.5%と予想の同+1.1%を下回ったことから、対ドルは0.7120付近、対円も66.05円付近へと売り込まれた。ユーロの底値がみえなくなってきたことで、ドルと円に資金が集中する可能性があり高リスク通貨も下値警戒が必要となるだろう。しかし、来月にはNZ準備銀行が利上げを開始する可能性もあることから、中期的にみて下落局面での買いには妙味がありそうだ。慎重な押し目買いスタンスで臨みたい。
【予想レンジ】 NZドル/ドル 0.7090-0.7180 NZドル/円 65.20-67.00
カナダドル
NY市場ではNYダウが前日比100ドル超の下落となったほか、NY原油先物も一時3ヶ月ぶりの安値となるなどリスク回避姿勢が強まったことから、NY市場終盤にかけてドル/カナダドルは1.0225付近へと上昇し、対円は90.65円付近へと下落した。株安連鎖懸念が強いことや、週末を控えていることもあり、本日も高リスク通貨・資源国通貨は上値が重い展開となりそうだ。ただし、カナダ経済は概ね堅調であり来月1日のカナダ中銀理事会で利上げ開始の可能性があることから、中期的にみて上昇余地は大きいとみる。リスク回避による下落局面では慎重に買い場を探したい。
【予想レンジ】 ドル/カナダドル 1.0140-1.0300 カナダドル/円 89.30-92.00
スイスフラン
キリスト教昇天祭でスイス市場が休日となり薄商いとなる中、ユーロ主導で欧州通貨売りが広がったことから、NY市場終盤にかけてドル/スイスは 1.1190付近へと上昇し、対円は82.80円付近へと下落した。一方、対ユーロでは欧州市場序盤に一時1.4000付近の過去最高値に顔合わせした。欧州の信用不安が払拭されず、株式市場も先行き不透明感が漂っていることから、対ドル、対円は引き続き軟調な動きが予想されよう。一方、対ユーロでは 1.4000付近でのスイス国立銀行の介入姿勢を試す展開となりそうだ。
【予想レンジ】 ドル/スイス 1.1100-1.1270 スイス/円 82.40-85.00
米3月貿易赤字、大幅拡大=世界景気回復を裏付け
-輸出入、ともに17カ月ぶり高水準-
前日(12日)、米商務省が発表した3月の米貿易・サービス収支統計は、輸出と輸入がいずれも2008年10月以来17カ月ぶりの高水準となった結果、赤字幅も大幅に拡大し、世界経済の回復の勢いが増していることを裏付けた。
3月の貿易・サービス収支の赤字幅(季節調整済み)は、前月の394億ドル(改定前は397億ドル)から404億ドルへと、2.5%拡大し、2008年12月以来15カ月ぶりの高水準となっている。
最近の赤字幅の推移を見ると、1月は370億ドルと、3カ月ぶりに縮小に転じたが、2月に再び拡大し、これで2カ月連続の拡大となった。また、市場予想の405億ドルとほぼ一致した。
赤字が急拡大したのは、国内の消費需要が旺盛なため、輸入が前月比3.1%増の1883億ドルと伸びたためだ。個人消費はここ数カ月、拡大しており、米国内の製造業者が工業用サプライ品・原材料、資本財の輸入を増やしている。
実際、商務省が3日発表した3月の個人所得・支出統計(季節調整済み、年率換算)でも、個人消費支出(名目ベース)は前月比0.6%増と、5カ月ぶりの大幅増となった。2月の同0.5%増に続いて4カ月連続の増加(実質ベースでは同0.5%増の6カ月連続増加)で、消費の回復が続いている。
実数値でも実質ベースの個人消費額は9兆4190億ドル(名目は10兆4250億ドル)に達し、リセッション(景気失速)が本格化する前の2007年11月に記録したピーク時を超えるまでに回復している。
一方、輸出もドル安に助けられて前月比3.2%増の1479億ドルとなり、工業用サプライ品・原材料や消費財を中心に、外国からの強い需要が輸出を牽引している。
エコノミストは、3月の貿易赤字の拡大は物価上昇による要因よりも貿易量それ自体が膨らんでいるためだ、としており、世界的な景気回復が貿易量の拡大につながっていると判断している。
今年1‐3月期の3カ月のトレンドで見ると、輸入は前年比18.6%増、輸出は同19%増となっており、貿易赤字は月平均で389億ドルと、前四半期(2009年10‐12月)の363億ドルから7.2%拡大している。
■財務長官、今月下旬に訪中=人民元切り上げ議論へ
米国経済の回復のカギを握るのは輸出の増加だ。そして、この輸出が増加するために必要なのが貿易相手国の景気回復とドル安である。
3月の輸出の増加はドル安に助けられた面があるが、ギリシャの財政危機が欧州に拡大する懸念からドルは対ユーロで急上昇してきている。昨年12月に比べると、現時点のドルは対ユーロで約15%も上昇しており、今後、欧州向けの自動車などの製品輸出に打撃となる可能性が懸念されている。
これは米国の対中輸出は同46%増の74億ドルと急増したものの、中国からの輸入が同12.4%増の243億ドルと、圧倒的に輸入額が大きく高水準となっているためだ。
オバマ政権は、世界的な景気低迷の時期に、中国は輸出を支援するため、人民元の対ドルレートを安定的に推移させてきていることから、中国の人民元に対するドル高の是正、つまり、人民元の切り上げを求めている。
ティモシー・ガイトナー財務長官は、4月初めに中国を電撃訪問し、中国の王岐山(Wang Qishan)副首相(経済問題担当)と会談、中国の為替政策について協議。オバマ大統領も4月12日に同主席が第1回核安全保障サミットに出席するためワシントンを訪問した際にも首脳会談を行っている。
しかし、この会談では、胡主席は人民元の為替レートは、米国からの圧力によって変えることはなく、中国国内の経済・社会の発展のニーズに基づいて中国の自らの判断で行うと主張、米国の人民元の切り上げ要求には応じない考えを強調している。
米国内では対中圧力をかけ続ける動きは依然くすぶっている。ガイトナー長官は4月初めに、中国政府が人民元の為替レートを操縦していると認定するための為替報告書の議会提出を4月15日から夏まで延期したが、当面は話し合いによる両国関係の改善に全力を挙げる方針だ。
また、ガイトナー長官は5月下旬にヒラリー・クリントン国務長官と訪中する際、再度、中国人民元の切り上げ問題を取り上げる予定。
中国側の人民元切り上げへの反発にもかかわらず、多くのアナリストは今年第2四半期(4-6月)か第3四半期(7-9月)には、中国政府は人民元の切り上げに踏み切らざるを得ないと見ている。しかし、人民元の切り上げペースは年間で3-5%の緩やかなものになるとの見方が大方だ。
人民元は2005年7月から2008年までは徐々に切り上げられ、対ドルで計21%も上昇したが、2007年からの世界的な金融危機に直面し、2008年半ば以降は1ドル=6.83元前後に固定したままで、依然、人民元は対ドルで40%も低すぎるとして、米国と貿易摩擦を引き起こして批判されている。
■消費財輸入が急増
輸入増に大きく寄与したのは、季節調整後のデータで見ると、工業用サプライ品・原材料が前月比7.5%増となったことが大きい。このうち、原油は同13.2%増となっている。
また、自動車・自動車部品も同7.7%増と急増したほか、テレビや家庭用品などの消費財も同1.4%増、自動車以外のコンピューターや通信機器、産業機械などの資本財は同0.8%増となっている。
輸入動向は、米国内の小売売上高の動向を反映する。米商務省が14日発表した3月の小売売上高(季節・営業日調整後)は、前月比1.6%増(前年比 7.6%増)の3632億ドルとなり、米東部を襲った大寒波の影響で売り上げが前月比0.5%増にとどまった2月の3倍超の大幅増となっている。
自動車・自動車部品の販売が3カ月ぶりに増加に転じたことや寒波の影響が去ったあとの天候回復で建築材料の販売が好調となったためだ。
自動車・自動車部品は、2月はトヨタのリコール(無償回収・修理)問題の影響もあり、前月比1.9%減と、2カ月連続の減少となったが、3月は同6.7%増の627億ドルと、昨年10月以来5カ月ぶりの高い伸びとなった。また、前年比は14.1%増の大幅増となっている。