昨日、インドのCountercurrents org.に掲載された、「The US-Israeli axis wants simultaneous destruction of Iran and the Arab countries(米・イスラエル枢軸は、イランとアラブ諸国を同時に破壊しようとしている)」。執筆は、スウェーデンのストックホルム在住のベテラン・バングラデシュ人ジャーナリストであるアニスル・ラフマンAnisur Rahman。
ドナルド・トランプ大統領は、イランが米国の要求に従わない場合、米軍がイラン国内のすべての橋を破壊すると公に脅した。この脅威に対し、イランは、その場合は、ワシントンの傀儡となっている中東諸国の重要なインフラをすべて破壊すると表明した。もし両者がその脅しを実行に移せば、イランと親米アラブ諸国は同時に甚大な破壊に見舞われることになる。それはまさに、イスラエルや親シオニストの米国人が望んでいることである。それが彼らのシナリオなのだ。幸いなことに、願望に基づいて書かれたシナリオの多くは、実際にはその悪意ある意図を実現することはない。
その意図は極めて明確だ。イランと対立するアラブ諸国が同時に破壊されれば、両者を服従させることが出来、米国とイスラエルによる抑圧や経済的搾取に対して、もはやいかなる脅威も生じなくなる。さらに、復興には米国の建設業者や企業への依存を余儀なくされるだろう。数兆ドルが米国とそのイスラエル・ユダヤ系の提携先へと流れ込むことになる。イスラエルは、ワシントンから――間接的にはアラブ諸国から――さらなる軍事・経済援助を得ることになるだろう。
何よりも、こうした破壊は、テルアビブが執拗に追求する「大イスラエル」の樹立を後押しすることになる。
しかし、現在進行中の米国とイスラエルによるイランへの戦争の様子は、それが単なる空想に過ぎず、完全に失敗に終わる運命にあることをはっきりと示している。ベネズエラ国内および同国発の海賊行為や航空機ハイジャック事件は、彼らに歴史の教訓を見えなくさせてしまった。彼らはベトナム、朝鮮、アフガニスタンのことを忘れてしまったのだ。イランはこれらの国々よりもはるかに強力である。戦略的にも、イランははるかに有利な立場にある。歴史と文明が、イラン人を不屈の民族に育て上げて来たのだ。
このイランに対する戦争は、むしろ「大イスラエル計画」を危うくすることになるだろう。アブダビを除き、湾岸諸国は誰も「レッドライン」を越える気はない。エジプトは、この戦争の最中、独立した存続可能なパレスチナ国家が樹立されるまでは、いわゆる「アブラハム合意」には参加しないと、改めて断固として表明した。
覚書(MOU)の違反は、協定に署名した後であっても米国は信頼出来ないことを証明している。イランは以前から、トランプ大統領の署名には何の価値もないと指摘していた。米国は、ホルムズ海峡を通過する船舶を攻撃したことでイランが協定に違反したと主張した。しかし、ジョン・ミアシャイマー教授のような専門家は、覚書によれば、すべての船舶はイランの監督下で海峡を通過しなければならないと明言した。もし石油タンカーや商船がこれに順守しない場合、イランには順守を強制する権利がある。イランと米国の14項目の覚書において、イランの事実上の勝利が確立されたことは誰もが認めている。今、米国は合意から逸脱しようとしている。
トランプは今、ジレンマに陥っている。戦争を継続することも、湾岸地域から撤退することも出来ない。明確な戦略を持っていなかったため、この窮地に追い込まれているのだ。当初からの判断は完全に誤っていた。
迫りくる中間選挙により、彼の立場はさらに危うくなっている。あらゆる予測や世論調査が、共和党が上下両院の過半数を失う可能性を明確に示している。そうなれば、彼は「レームダック大統領」となるだろう。戦争の行方も変わるだろう。ワシントンは、イランの核開発問題に関してオバマ政権時代の政策に戻るかもしれない。しかし、一部の批評家は、米国の中東政策に関して共和党と民主党の間に根本的な違いはないと、理にかなった主張を展開している。両党ともAIPACに依存している。AIPACの後援と支持がなければ、下院議員にも上院議員にもなるのは極めて困難だ。したがって、変化は実質的なものというよりは、表面的なものに留まるだろう。
しかし、世界は若い米国人の意識に前例のない変化が起きているのを目の当たりにしてきた。情報技術やソーシャルメディアにより、彼らは世界の現実をより広く知ることが出来るようになった。米国とイスラエルのプロパガンダやAIPACによる歪曲も、もはや彼らが犯した残虐行為、殺戮、そしてジェノサイドを隠蔽することは出来なくなっている。彼らは毎日、違法なイスラエルの入植地が拡大する一方で、パレスチナ人が何世代にもわたって住み続けて来た家から追い出される様子を目の当たりにしている。また、ガザが廃墟と化し、何千人もの女性や子供たちが残忍に殺害される光景も見て来た。イスラエルの主張や、こうした出来事を覆い隠そうとするAIPACの努力は、証拠が彼らの目の前で明らかになっているため、失敗に終わっている。大学キャンパスでの弾圧は、大多数の若者の怒りをさらに深める結果となった。彼らが次期選挙で親イスラエル派の候補者に投票する可能性は低い。その数は全有権者の少なくとも4分の1を占めるほど膨大だ。親イスラエル派の候補者の多くは、予備選挙で脱落する可能性がある。
さらに、イラン戦争の莫大な費用、米国経済への悪影響、そして戦争そのものの正当性の欠如についても、選挙戦で疑問が投げかけられ、議論されるだろう。親戦争派の候補者たちが、この不当な戦争を擁護するのは困難になるだろう。
調査や世論によると、大多数の米国人は、米国がイランを打ち負かすことに失敗したと見なしている。そして、それは選挙において共和党や好戦派にとって有利には働かないだろう。
しかし、ここに危険が潜んでいる。トランプ大統領は、絶望のあまり全面戦争を仕掛けるかもしれない。米国は初期段階では一定の優位性を得られる可能性があり、トランプ政権はそれが選挙戦に有利に働くと考えている。しかし、アナリストの大半は、米国にとって長期的な勝利は見込めないと見ている。その敗北は、ベトナム戦争の惨事よりもさらに悲惨なものになる恐れがある。
ヒグラシ
