昨日、インドのCounterCurrentsに掲載された、「The United States of America: A Threat to Humanity(アメリカ合衆国:人類に対する脅威)」。執筆は、ベネズエラ出身で、オックスフォード大学で理学博士号を取得し、ベネズエラのシモン・ボリバル大学の名誉教授であるギレルモ・R・バレットGuillermo R. Barreto。科学技術副大臣、国立科学技術基金総裁、エコ社会主義・水資源大臣(ベネズエラ・ボリバル共和国)を歴任し、現在は、三大陸社会研究所の研究員、および社会変革研究センター(IVIC)の客員研究員を務めている。

 

私たちは歴史の転換点を目の当たりにしている。私たちが直面しているのは、単なる経済危機を超えた危機である。私たちは、真の文明の危機に直面しているのだ。帝国主義大国としての米国は、その衰退をますます露呈しており、その衰退の中で、米国は非合理的な行動を取り、全人類を危険にさらしている。単に「支離滅裂」で暴力的な大統領、人種差別主義者であり女性蔑視の性犯罪者がいるという事実だけではない。トランプは異常な存在ではない。彼は、建国以来の米国が抱えて来た本質が、極端かつ奇妙な形で現れたに過ぎないのだ。

米国は、自らの人種的優越性と例外主義を確信し、さらに世界を支配する運命にあるという根深い信念(マニフェスト・デスティニー)を抱いた、白人の奴隷所有者たちによって建国された。2025年11月に公表された最新の国家安全保障戦略を見れば、この優越性の主張が如実に表れており、トランプの場合、それは病的な様相を呈している。

独立を果たした1776年から2019年までの間に、米国は392回の軍事介入を行っており、その半数は1950年以降、25%は冷戦終結後に実施された。独立後の250年間において、米国が戦争に関与しなかったのはわずか17年間に過ぎないというのが事実である。建国以来、米国は帝国主義的野心を抱く国家であり、反ファシズム世界大戦(欧州中心の歴史観によればいわゆる第二次世界大戦)以降、真の超大国としての地位を確立して来た。その帝国主義的な軌跡は時とともに変化し、今日、米国の権力と社会には衰退の兆しがはっきりと現れ、その権力に挑むことの出来る新たな勢力が世界中で台頭している。それにもかかわらず(あるいはそれゆえか)、その行動はより危険で脅威的なものとなっている。

そうした勢力の一つは、間違いなく中華人民共和国である。同国は、2022年にマドリードで開催されたNATO首脳会議において、NATOが代表する「利益、安全保障、価値観」に対する脅威として特定された。

この宣言は、中国が「ルールに基づく国際秩序」を損なおうとしていると、図々しくも主張している。これは、中国がNATOのルールに基づく国際秩序に異議を唱えている、という意味合いだ。

中国は紀元前221年、秦の始皇帝の治世下で国家として統一された。始皇帝は、いわゆる「戦国時代」と呼ばれる2世紀にわたる混乱の末、国家の中央集権化に成功した。その治世において、秦は職業軍隊を整備し、税の徴収体制を整え、法典を制定し、長距離貿易のための手段を考案し、官僚機構を安定させた。この時代、すなわちラテン・ゲルマン系ヨーロッパより1500年以上も前に、中国はすでに封建制を脱していたと言えるだろう。その時点で、中国はすでに政治思想や哲学(「諸子百家」)を発展させており、それらはその後30世紀にわたり、様々な変遷を遂げつつも、中国における規範的・倫理的行動の基盤となるものとなった。

中国の古典哲学において、政治的知恵は「待つ」ことを知ることにある。そうすることで、「状況」が「好機」へと転じ得るのだ。しかし、この「待つ」ことは受動的なものではない。そこには、「状況が秘める可能性」を観察し、好機へと向かう変容(道、タオ)に備え、それに寄り添うことが含まれている。ヨーロッパの視点から見れば、20世紀後にマキャヴェッリは、機会は「運(偶然)」から生じるものであり、それらの機会をいかに活用するかを心得ていることが統治者の技量であると述べた。中国哲学において、運から生じる機会は永続的なものではない。それはつかの間のものである。人はその機会に備えなければならない。したがって、統治者は対立する勢力と戦うのではなく、それらを否定することなく、いかにして自らの利益に活用するかを心得ていなければならない。

ここで、中国共産党創立100周年記念式典における習近平国家主席の演説に話を戻そう。主席は演説の中で、党の創立、解放闘争、長征、国民党の敗北、革命の勝利、文化大革命、1978年の改革、そして現代に至るまでの道のりをたどっている。これは一つの道(道)を明らかにする歴史的旅路であり、その旅路の中で、「状況」を「機会」へと転換するための準備がなされて来たのである。

具体的には、この機会は、2021年に公式に宣言された「深刻な貧困および極度の貧困の撲滅」を意味している。中国は8億5000万人を極度の貧困から脱却させた。この成果により、世界全体の極度の貧困率は70%減少した。中国は、人類史上類を見ない経済発展を成し遂げた。GDP、平均寿命、総消費、1世帯あたりの消費など、さまざまな指標の伸び率は、他に類を見ない規模のものとなっている。1978年には、世界人口のわずか1%しか、中国のGDPを下回る国々に住んでいなかった。2012年までに、その割合は51%に達した。これらの指標については、1804 Booksから出版されたジョン・ロスの洞察に満ちた著書『China’s Great Road(中国の偉大な道)』で確認することが出来る。これらすべては、中国国民にとってプラスの影響をもたらすだけでなく、習近平国家主席が「運命共同体」と呼ぶものの構築に向けた取り組みを中心としたビジョンを強化するものである。これは、世界規模でのプラスの影響を意味する。

中国がNATO、とりわけ米国に対して突きつける課題は、マクロ経済指標や貿易上の優位性を超えたものであることがわかる。

これは文明的な課題であり、世界観の違いでもある。習近平国家主席が「運命共同体」の構築を説く一方で、トランプ政権の国家安全保障戦略は、米国を世界で最も強く、最も豊かで、最も強力かつ最も成功した国家にすることを強調している。中国が状況を好機へと転換しようと努める一方、米国は運が好機をもたらしてくれることを期待して、衝動的に行動している。だからこそ、中国は保健、教育、科学、住宅、交通に投資する一方で、米国は兵器や、全世界を破壊しうる致命的な軍事力の維持に投資している。これが、米国を人類に対する真の脅威にしている。死の文化を助長し、強力な軍隊を保有する、優越主義者と迷信深い人々からなる国家。我々がその衰退を目の当たりにし、その終焉が迫りつつある帝国だが、戦って死ぬ帝国である。今日、かつてないほど反帝国主義は不可欠であり、世界の人々のあらゆる闘いの共通基盤でなければならない。今日の闘いは反帝国主義の闘いである。平和のために、生命のために、人類のために。

 

フキノトウ