第2次大戦後、世界は米国を中心としたブレトン・ウッズ体制により始動した。世界最大の金保有国であった米国は他国に金1オンス(28.3g)35ドルで交換可能なことを保証した。しかし、次第に米国の金の保有量が減少し、1971年に突然、米国はこの交換を停止した。以来、基軸通貨ドルは裏付けのない通貨として大量に印刷されることになる。米国は他国から物を輸入し、消費するだけの国になった。税収以上の政府支出が行われ、2008年のリーマン・ショック時に9兆ドルであった政府債務は今では36兆ドルにもなった。トランプが関税を打ち出した直後の今月3日から7日にかけて、米国株式市場は下落した。この時、これまでの株式下落とは全く異なる動きが見られた。これまでの株式市場の下落では、「安全資産」として米国債が買い込まれた。国債の価格は上昇し、金利(利回り)は低下した。しかし、今回の下落では、その米国債が売られ、金利は上昇した。これに驚いたトランプは急遽、中国以外への関税を90日間延期すると発表した。債務が積み上がった米国は借り換えを含めて今年中に10兆ドルの国債を発行する。そのうちの6兆ドル分は6月に発行される。今月初めの国債の売りは、中国や日本だと米国メディアが速報したが、後に多くは米国自身が売っていたことが明らかになった。米国債は米国以外で40%が保有されている。そのうち最大は日本で、ついで中国だ。強烈な関税をかけられている中国は、もはや新たな米国債を買うことはないだろう。日本も多くは買わないだろう。巨額の米国債を誰が買うのか。買い手が付かなければ米国債は暴落し、金利は急上昇する。米国政府は窮地に追い込まれる。トランプはこの事態をいかに回避するのか。今、金価格は上昇を続けている。金はドルの反通貨だ。ドルの価値が下がり続けていると言うことだ。そして、米国債とは、まさにドル自体である。金の裏付けのない通貨は全て不換紙幣であり、ドルだけでなく、巨大な債務を背負う円も同じだ。米国債の暴落は円や日本国債の暴落の引き金となるだろう。円は価値を大きく失い、米国同様強烈なインフレに見舞われる可能性が強い。個々人のささやかな円資産が損なわれる。これを回避するには円を金に変えておくしかない。買える時に金を買っておく。これが唯一の資産喪失回避策だろう。(参考:「日本マテリアル」販売の金も世界基準のLBMA(ロンドン貴金属市場協会)公認の金を手数料なく販売している)。日本国債が暴落すれば、日本政府は実質的なデフォルト状態になる。この時、過去を踏襲する能力しか持たない、実質的に日本の国家運営を行なっている官僚は、1946年に倣って、財産税を導入し、預金封鎖を行い、国民の資産を回収し、これを国家債務に充てるだろう。6月〜8月にかけて米国債が売れない事態が発生すれば、金価格は急激に上昇するだろう。金の年間産出量は限られており、金への需要増は金価格の急上昇につながる。そしてそれは通貨価値の急低下を表す。 昨日の米国ZeroHedge、「Peter Schiff: America's Economy Is A House Of Cards(ピーター・シフ:米国経済は砂上の楼閣だ)」。ピーター・シフは経済評論家で、証券仲介会社ユーロ・パシフィック・キャピタル社のCEO。(アンダーラインは管理人)

 

最近のグレン・ディーセンとのポッドキャストで、ピーターは米国経済の脆弱な状態について説得力のある議論を展開し、金融インフレ、貿易赤字、人為的な低金利への持続不可能な依存を強調した。彼は、生産能力を内向きにすることで世界の他の地域が比較的スムーズに移行出来るのに対して、米国が前途多難であることを対比している。

 

    私たちは生産していないものを消費することが出来、お金を印刷することでその代金を支払っている。そして、世界は私たちのインフレを手に入れ、私たちは彼らのものを手に入れる。つまり、我々の方が有利なのだ。今、彼らは私たちの紙幣を使って、私たちの金融資産、株式、債券、不動産を買っている。つまり、彼らは資産を蓄積し、その資産から収入を得ているのです。つまり、私たちは現在を甘やかし、未来を犠牲にしているのだ。

このような放漫な行動は持続不可能だとピーターは主張する。米国経済を真に安定させるためには、米国人は犠牲と公共支出の削減を覚悟しなければならない:

    工場を建設するための資源を確保するために、巨額の赤字を垂れ流し、資本を使い果たすわけにはいかない。メディケア、社会保障、国防を削減し、米国人は支出を止めなければならない。工場を建設するための資金を節約する必要がある。何もないところから工場が出来るわけではありません。だから、やるべきことはたくさんある。しかしもちろん、誰もそんなことをする気にはなれない。私たちの経済全体は、過大評価されたドル、貿易赤字、過剰消費、人為的な低金利の上に築かれた砂上の楼閣だ。そして、そのすべてが崩れ去ろうとしている

ピーターは、現在の金融政策と関税の組み合わせは、経済的苦境を解決するどころか、既存のインフレと経済停滞を悪化させ、米国をさらに不況に追い込むだろうと警告する:

    すでにスタグフレーションが起きている。不景気になり、インフレが進むだろう。関税がインフレを金融市場から実体経済に戻すからだ。私たちはインフレを株式市場や債券市場に振り向けることで利益を得て来た。それがすべて逆転する。だから今日起きていることを見れば、外国株は大きく上昇している。私は今日、3%、4%、5%、6%上昇しているヨーロッパ、アジア、南米の株をたくさん持っている。トランプ大統領が望んでいることとは正反対だ。資本は米国に来ているのではなく、米国から逃げているのだ。

このような現実を踏まえ、ピーターは投資家に実践的なアドバイスを提供し、割高な米国資産から、よりファンダメンタルズ的に健全な海外、特に貴金属への投資機会へと軸足を移すことを勧める

    金価格上昇の恩恵を受ける鉱山株、貴金属鉱山株を保有すべきだ。金は3,000ドルを超えている。世界のドル離れが進むにつれ、金価格は上昇する。中央銀行は金を買い増し、国債を減らすだろう。金鉱株にとっては好都合だ。米国政府にとっては不都合だ。誰が国債を買うのだろうか?この不況で財政赤字はさらに膨らむだろう。FRBが国債を買い、さらにインフレが進むだろう。関税が物価を押し上げるだけでなく、FRBがインフレを引き起こすだろう。ドル安は関税の痛みに拍車をかける。

ピーターは、米国は困難な経済構造上の課題に直面しているが、多くの国際経済にはもっと簡単な道があると結論付けている。既存の生産能力を内向きに振り向けるだけで、崩壊するドルから自らを切り離すことが出来るのだ:

    世界がすべきことは、すでに存在している生産能力を回転させ、それらの工場を使い、それらの労働者を使い、それらの資源とサプライチェーンとインフラを使い、米国人のためにモノを作るのではなく、自分たちのためにモノを作ることだ
    ... 
    つまり、世界は簡単な仕事で、実際に楽しい仕事なのだ。大変なのはここ米国で、工場なしで消費する方法を考えなければならないからだ。だから、現存しない工場を建設しなければならない。それには多くの資源が必要だ。多くの努力が必要だ。だから、前途厳しい道を歩むのは世界ではなく、私たち自身なのだ

鈴蘭水仙