9日、10日のインドでのG20首脳会議は、「先進国」G7とEU欧州連合グループにBRICSプラスグループなど新興国グループの集まりだ。議長国インドも新興国グループとなる。インドのジャイシャンカル外相によれば、首脳宣言の採択には、インドネシア、インド、ブラジル、南アフリカと言った新興国が主導的な役割を果たしたようだ。9日のBusiness Incider Africaは、「G20 members agree to refer to Russia's invasion of Ukraine as the 'war in Ukraine' instead of the 'war against Ukraine' in a capitulation to Putin, who wasn't even there(G20加盟国は、その場にさえいなかったプーチン大統領への降伏として、ロシアのウクライナ侵攻を「ウクライナに対する戦争」ではなく「ウクライナでの戦争」と呼ぶことで合意した。)」と題する記事を配信している。弱体化して行く「先進国」に対して、力を付けている新興国、グローバル・サウスは、「先進国」とは異なる立場で発言するようにもなった。グローバルサウスを牽引する中国やロシアを米国は経済制裁し、ウクライナを支援することでロシアを潰そうとしているが、思惑通りには運ばず、グローバルサウスを、特に中国から離反させようとベトナムやインドに働きかけているが、これも上手く行っていない。7日の台湾メディアDIGITIMES Asiaは、「ASML CEO warns against 'compelling China to be innovative' (ASMLのCEO、「中国に革新的であることを強制する」ことに警告)」を報じている。オランダの世界的な半導体製造装置メーカー、ASMLの最高経営責任者(CEO)は、「中国を完全に孤立させる望みはない」、「もし我々が技術を共有しなければ、彼らは独自の研究をするだろう。 我々がまだ思いつかないような解決策を考え出すだろう。 米国は、中国に非常に革新的な技術を強要している。 熟練工の入国禁止や輸出規制などによって中国を孤立させようとすることは、実際には西側諸国そのものを弱体化させることになる!」と述べている。ロシアでも同じであり、ロシアへの経済制裁は、ロシア経済を逆に強くし、サウジアラビアと共に原油価格を操作出来る立場にもなった。EUはロシアからの輸入が制限され、物価高騰を招き、企業はコストアップのために窮地に追いやられ、特にドイツ産業はてひどい打撃を受けている。今日の昼のTVでは、ガソリン価格の高騰を報じていた。価格高騰の大きな要因は円安にあるとしていた。日本の8月の消費者物価は2.8%の上昇だが、9月に入り円安はさらに進んでおり、サウジアラビとロシアの合意による原油の減産も、実際のガソリン代に反映されるのははまだこれからになる。ガソリン高騰は簡単には収まらない。 何故円安なのかの理由付けをいくつかTVで上げられていたが、最も主となる理由は、政府債務の金利である。金利が1%上昇すれば、年間10兆円以上の政府負担増となる。中央銀行である日本銀行は、デフレ脱却のための「アベノミクス」が開始された際、物価目標を2%とした。それが達成されるまで金融を緩和し、超低金利を維持するとした。もうすでに物価は2%を超えて上昇しており、さらに上昇する要因が消えていない。日本が相変わらず超低金利のままなので、日本から高い金利を求めて米国へ資金が流れて行く。これが円安の大きな原因だ。金利を上げない限りは円安は収まらず、輸入に頼る日本の物価は上昇を維持する。いずれ円安是正のために金利を上げざるを得なくなる。それを見越して、財務省は政府っ税制調査会を使って、サラリーマン増税を打ち出し、経団連は消費税増税も選択肢のうちなどと打ち上げている。TVの経済評論家も言及していたが、根本は日本経済の興隆だ。日本経済が持ち直せば、企業は利益を上げ、賃金を上げることも出来、税収を増加させられる。しかし、今の政府債務では、それももはや遅きに失する。あまりに債務が大き過ぎる。アベノミクスは円安を誘導し、企業が努力することなく利益を上げられる状態をもたらした。それが長期に維持されたため、企業は努力をすることをしなくなっている。これがまた日本の企業の競争力を削いでしまった。まさしく、アベノミクス自体が日本の経済衰退の元凶だ。自称経済学者はトリクルダウンが期待できるとして、アベノミクスを囃し立てた。しかし、結果は実質賃金の低下と企業の衰退だけである。日本の牽引車であるトヨタも中国自動車企業に完敗である。そして、それを加速させたのが、教育・研究への国費削減だ。今日の米国ZeroHedgeは、「China New Credit Rebounds Sharply On Surge In New Mortgage Loans(中国、新規住宅ローン急増で新規信用が急回復)」と「Peter Schiff: Fed Money Magicians Running Out Of Rabbits(ピーター・シフ FRBマネーの魔術師、ウサギを使い果たす)」を載せている。前者によると、中国で、「家計貸出の伸びは前月比年率4.7%」、「法人向け中・長期ローンの伸びは前月比年率換算で7月の7.3%から12.2%に増加した。」。「通常、企業の投資意欲に左右される企業向け中長期融資は、前月の2710億元から先月は6440億元に増加した。 最新の数字は、当局が不動産市場の活性化を支援するために多くの措置を講じた後、家計の住宅ローン需要が安定化の兆しを見せている可能性を示している。」、「ゴールドマンによると、9月の信用供与は引き続き堅調な伸びを維持する可能性がある」とある。後者では、投資家で2008年のリーマン・ショックを警告していたピーター・シフPeter Schiffの米国経済の現況についての考えを紹介している。「ピーターが指摘したように、CPI(消費者物価指数)が急速に低下した大きな理由の一つはエネルギー価格の下落だ。」、「バイデン大統領が戦略石油備蓄から石油を売却したのだ。現在、備蓄量は40年来の低水準にある。現時点では、現在の石油備蓄量では米国経済は20日間しか稼働できない。」、「一方、原油価格は数カ月前に底を打って以来、現在37%上昇している。そのすべてがまだ現れていない。まだ始まったばかりだ。」、「そして、もし米国が備蓄量を補充しようとすれば、世界の原油価格にさらなる上昇圧力がかかるだろう。要するに、米国はもはや原油価格を操作出来る立場にはないということだ。」、「バイデンはどうやって石油価格の上昇を抑えるつもりなのか?彼はやっていない。だから、インフレは上昇を続け、ディスインフレというシナリオは基本的に破綻する。」、「金利は上昇し、原油価格は上昇している。つまり、エネルギーは経済の主要な投入コストであり、消費者に転嫁される必要がある。しかし、金利も同様だ。何故なら、米国人がたくさん持っているものが一つある、それが借金だからです。そしてそれは企業にも当てはまる。...FRB(中央銀行)が金利をゼロにした時、誰もがこの借金乱痴気騒ぎに参加した...そして今、彼らはそのツケを払わなければならない。」、「一言で言えば、エネルギー価格が上がり、金利が上がった。これらすべてが消費者物価の上昇につながる。市場はまだこのことを理解していない。」、「ほとんどの人は、FRBがインフレとの戦いに勝利するのは近いと楽観視している。つまり、中央銀行はすぐに金利を引き下げることが出来ると言うことだ。」、「投資家は、たとえ失敗して市場が暴落し、景気が後退して業績に影響が出ても、FRBが介入して金利をゼロに戻し、すべてが上昇に転じることを知っている」、「もし市場がFRBによる救済を期待していなければ、投資家は株にこれほど高い値段をつけないだろう。リスクが高すぎるからだ」、「FRBが2008年の金融危機から経済を救済できた唯一の方法は、インフレを起こすことだった。FRBがそれを行えたのは、物価上昇率(FRBがインフレ率を測定する方法)が2%前後で推移していたからだ。その後、FRBはCOVIDの政府閉鎖の混乱から経済を脱却させるために、さらなるインフレを引き起こした。これが最後の藁だった。この2年間、私たちはインフレの影響(貨幣の創出)を物価の急上昇という形で目の当たりにして来た。」、「もしFRBが過去にやったようなことをやろうとすれば、ドルは吹き飛ぶだろう。 次の危機が銀行システム、経済、市場を襲うとき、インフレが上昇することは間違いない。つまり、高インフレが問題なのに、FRBはさらにインフレを起こさなければならない。そしてそれはさらに大きな問題となる。そしてドルが底を打ち、物価が本格的に上昇する時、FRBのやっていることはすべて裏目に出る。言い換えれば、FRBにはもう帽子から出すウサギはないということだ。」。インフレとは通貨価値の低下だ。そして今、米国は日本以上にインフレになっており、投資家が楽観視して高めている株式などの金融資産が暴落した時、もはや中央銀行はリーマン・ショック後のような超低金利で経済を救うことは出来ない。それをやれば、インフレはさらに高じて、ドルと言う通貨の最後の時を迎えることになるからだ。この時、日本の円も共倒れする。ドルの崩壊は日本の政府や企業が保有する合わせて1500兆円以上のドル資産を吹き飛ばす。

米国石油備蓄量推移

米国通貨量推移(近年の突出した増加ーインフレ)

米国の個人のクレジットカード負債(赤)と貯蓄率(緑)推移