米国のワシントンポストThe Washington Post紙は、今年1月24日、アンナ・ファイフィールドAnna Fifield東京支局長の「CLEANING UP AFTER THE DEAD(死後の清掃)」と題する記事を載せている。川崎市で死後4ヶ月経って発見された孤独死した54歳の男性のいたアパートの部屋の清掃現場を取材した記事だ。日本は今家族構成が大きく変化しており、こうした孤独死する人の数が増えている。国は孤独死の実態をあまり掴んでいないが、地方自治体の調査によれば、過去10年間で孤独死の件数が急上昇している。ニッセイ基礎研究所によると、日本全体では、年間約3万人が孤独死していると推計されている。日本ほど速く高齢化が進んでいる国はなく、65歳以上が人口の25%を占めているが、この数字は2050年には40%に達する。東京大学大学院人文社会系研究科一ノ瀬正樹教授は、「日本の家族の一般概念は、崩壊している」として、「一人でいる人の数が増えているので、誰の支援もなく死に至る人の数も増えて行くことは避けられない」と語っている。昨年5月に出版された『孤独死大国ー予備軍1000万人時代のリアル』の著者菅野久美子氏は、一人暮らしの人が生涯の仕事から引退すると、唯一のコミュニティを失い、孤独になる可能性が高いと言う。54歳の男性が亡くなった部屋には、特殊清掃員とともにファイフィールド支局長も入った。悪臭が漂い、茶色いシミが付いた布団、衣類、新聞、競馬の半券にはウジやハエがたかっていた。清掃員は布団を真空パックの袋に入れ、カップラーメンの容器やジュースのペットボトル、コーヒーの空き缶、吸い殻が残された灰皿、ライター、何ヵ月分もの新聞、乱雑に積まれた衣類などを次々にゴミ袋に入れていった。狭い浴室の中は、壁、洗面器、トイレの内側、あらゆる場所が黒かびに覆われていた。ドアや台所の流しにこびり付いた汚れは業務用の非常に強力な洗剤を使わないと落ちなかった。孤独死が増えるに連れて、こうした特殊清掃業者も増えている。保険会社も、賃貸人が孤独死した場合に、家主に対して部屋の清掃費用を賄い、家賃喪失を補填する新たな保険を販売し始めた。清掃作業完了後の「お清め」の儀式の費用をフォローする業者まであるそうだ。川崎市のケースでは家主が保険に入っていなかったので、清掃には25万円を支払っている。高齢化と独居の増加がこれからも加速し、誰にも見守られることなく亡くなって行く人の数も増えて行くだろう。
薬師公園の梅