先日、現行憲法は連合軍に「押し付けられた」ものではなく、日本の当時の首相が発案したものであることを書いたが、その憲法を政府与党は現在改正しようとしている。憲法では9条が話題にされることがほとんどだが、自民党が出した憲法改正草案では最悪の改正案が組み込まれているとして、巨費を投じてその危険性を新聞広告で情報提供されている方がいる。以前このブログでも記した2014年にノーベル賞を受賞された米国カリフォルニア大学中村修二教授と日亜化学との青色LEDの特許権をめぐる訴訟で、中村教授を支えた升永英俊(ますなが ひでとし)弁護士である。企業法務に長け、数々の訴訟で巨額の収入を得たが、その私費を憲法改正案の危険性を知らしめるための新聞広告費に当てられている。今月17日名古屋高裁金沢支部が下した今年7月の参院選の「一票の格差」が「違憲状態」であるとした訴訟にも大きな役割を果たされている。自民党の改憲草案98条、99条では戦争や内乱、大規模災害が発生した場合に首相は「緊急事態宣言」を出せるとしており、9条改正とは比べものにならないほど怖いものだとされる。かってドイツでヒットラーの独裁政権が成立したのは国政選挙での多数決によるものではなかった。2回にわたる緊急事態宣言により、報道や言論の自由を停止し、国会議事堂放火事件に関連して、5000人を逮捕・拘束し、周りに銃を手にした突撃隊や親衛隊を配置したクロル・オペラハウスで、全権委任法を成立させて、独裁政権を樹立している。同弁護士は、緊急事態宣言がそうした異常事態を可能にしたとされる。今年7月のトルコのクーデター未遂事件でも、その直後に「非常事態宣言」を発令され、3万5000人以上を逮捕・拘束し、8万人以上が免職や停職処分され、報道の自由が制限された。自民党は自然災害に備えるために緊急事態宣言条項を定めた改憲草案98条、99条が必要だと主張しているが、地震や津波といった自然災害などへの対処は、現憲法で十分に対応可能だ。さらに改憲草案21条1項は表現の自由を認めているが、2項で「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」として、1項を全否定している。これはまさに中国の憲法と同じだと言われる。中国憲法35条は「国民は、言論、出版、集会、結社、行進、示威行動の自由を有する」として、言論の自由を保障しているが、51条で「国民は、自由と権利を行使する時は、国家、社会、集団の利益および他の国民の合法的自由や権利を害してはならない」と、35条を否定している。自民党改憲草案も中国憲法も「公」を優先して「表現の自由」を否定しているとされる。「緊急事態宣言」こそが首相の目指すかっての「美し日本」に逆戻りさせるだろう。


色付いて来た街路樹