地球は46億年前に誕生したが、その地球に生命が現れた痕跡は2013年に東北大学とデンマークのコペンハーゲン大学の共同で、グリーンランドの38億年前の岩石から見出されている。2011年にはオーストラリアの石英砂粒から34億年前の最古の細菌の化石が見つかっている。この時代は地球はまだ水の惑星で、海水が風呂のお湯くらいの温かさだったと考えられ、この細菌は酸素がまだなかった環境で、硫黄化合物を食べて生きていたと考えられている。こうした化石から、地球上には40億年前頃に最初の生命が誕生したものとされている。以後、地球環境も幾たびも変動し、その変動する環境に適応しながら、細菌も進化して来た。地球上に発生した動物たちにも細菌は寄生し、互いに持ちつ持たれつの関係、共生関係を築くことで、互いに生き残って来た。現在では人の身体にも寄生する細菌が何百種類、1000兆個もいると言われる。皮膚と腸に常在し、いずれも重要な働きをしてくれている。皮膚では有害菌や紫外線から肌を守ってくれており、腸では食物繊維を消化したり、腸の粘膜細胞とともに人の身体の免疫の7割を受け持ってくれている。またビタミン類やドーパミンやセロトニンと言った重要な物質をも作り出してくれている。人間と細菌との共生関係は何万年もの長い年月をかけて築き上げられて来た。それをたかだか数十年で変化させてしまった。「清潔」にこだわり、抗菌力のある家庭用小物が増え、自然界にはない化合物が食品に含まれることで、腸内環境をも変化させている。無菌状態で生まれた子供は母親の産道を通過する時点で最初の細菌の寄生を受け、以後、いくつもの細菌が寄生するようになることで、免疫系の発達が促されて行く。そんな子供があまりにもクリーンな環境で育てられると、正常な免疫系の発達が損なわれてしまう。人類の歴史の99%は「不潔な」環境であった。人の身体はそんな環境に適応して来た。極めて短期間にその環境を「クリーン」に変えれば、細菌の寄生状態も当然変化して来る。現代の疾患の多くはこうした環境変化が細菌に及ぼすことから生じているところが大だろう。
朴(ほう)の木の花