今朝は朝から気温が11度にもなり、暖かい春風を味わうことが出来た。曇天のためにすっきりはしないが、昼休みに少し歩くと、いつもの冬のコートを着ているので、汗ばんで来た。職場の裏山には今日もシジュウカラの群れがやって来て、木々の枝や山肌を突っついて、何か餌になるものを食べていた。明日あたりまでこの陽気が続いてくれるようだ。 法政大学文学部の牧野英二教授は自分の給与や退職金、遺産を使って、奨学金制度を創設している。一人当たり年間二十五万円を若干名に毎年給付し、返済は不要と言うものだ。労働者福祉中央協議会の調査では、34歳以下で奨学金を借りていた人の39%が「奨学金の返済が苦しい」と答えている。かって「日本育英会」と言われた現在の「日本学生支援機構」は2004年に独立行政法人化されると、奨学金の返済に厳しくなり、3ヶ月返済が遅延すると、信用機関に通知し、9カ月間延滞した場合は一括返還を要求し、返済が滞ると有無を言わさず法的手段に訴えようになっている。2014年には3ヶ月延滞している人が17万3000人もいて、督促に応じない人への訴訟が5039件にもなっている。格差の研究で知られる同志社大学の橘木俊詔教授によれば、30年前には国立大と私立大の学費差は7~8倍あり、家が貧しくとも国立大学へは行きやすかったが、現在では年間学費の平均は1.6倍まで縮まり、国立大学すら入るためには経済的な余裕が必要になった。経済成長期は中間層が多く、それまでは日本の貯蓄率は20%あり、世界でも注目されていたが、1980年代から減少し始め、2000年に入ると急激に低下して行き、2013年度の「国民経済計算確報」では、家計貯蓄率がマイナス1.3%となった。現在では欧米主要国と比較すると最低となっている。所得の格差は世界的に広がっており、トマ・ピケティThomas Pikettyは2013年に『21世紀の資本Le Capital au XXIe siècle』で、税務統計を使った膨大なデータから所得と資産の分配に関する分析を行い、資産格差が所得格差を生み、それがまた資産格差を拡大させる、という格差拡大のメカニズムを明らかにした。2014年12月にはOECDの雇用労働社会政策局が「格差と成長」と題する特集を組み、その中で「所得格差は経済成長を損なうか?」とする論文が載せられた。それによると、1980年代以降、所得格差は大半のOECD諸国で拡大しており、明らかに格差の拡大は経済成長を損ねると結論されている。そして、よく議論される社会保障などの所得の再分配についても、再分配は成長を阻害しないとしている。「格差はなぜ成長を押し下げるのか」では「所得格差は、人的資源の蓄積を阻害することにより、不利な状況に置かれている個人 の教育機会を損ない、社会的流動性の低下 をもたらし、技能開発を妨げる」としている。格差は不利な状況に置かれている個人の教育機会を奪い、上方流動性を妨げる、つまり格差が固定される。質の高い教育や訓練、保健医療などの公共サービスへのアクセス拡大を提案している。日本の格差の原因として、よく高齢化が言われるが、高齢化は日本に限らず他の先進国でも同様に起きており、日本の高齢者間にも格差がある。格差には所得格差と資産格差があり、日本では税制的にも所得よりも資産を持つ人に有利な税制となっている。先進諸国の中でも「資産天国」と言われるほどの税率でしかない。まさにピケティの言う所得格差と資産格差の拡大循環がこれからも日本では進んで行くだろう。


ポニー