ドイツの社会学者マックス・ヴェーバーMax Weberは著書『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で著名であるが、彼は近代国家は官僚制と合理的法律を備えた合法的な強制力を独占する支配関係であると規定した。そして、官僚制と合理的法律を近代資本主義の成立条件とした。『職業としての政治』では議会を被支配者(国民)の同意を表明する手段とし、官僚の活動を監視する役割をも持つとした。その国の政治が安定するためには職業政治家の層を発達させ、議会が権力を持たなければならいと述べている。そして、職業政治家とは、情熱と冷静な判断力を兼ね備え、「責任倫理」によって支えられた政治家であるとしている。近代国家にとって、従って権力を保持した議会とヴェーバーの言う職業政治家の存在が必須である。現在の日本を見ると、すでに議会は権力を失い、機能を果たせておらず、政治家にも「責任倫理」が欠如している。「近代国家」の要件を満たしていない。今月6日、放送倫理・番組向上機構の放送倫理検証委員会はNHK総合テレビ『クローズアップ現代』“出家詐欺”報道事案について、「重大な放送倫理違反があった」とする意見を公表したが、その中で同委員会は、4月28日、総務大臣がNHKに対して厳重注意をしたことや6月にはメディアをコントロールしようという意図を公然と述べる与党議員が多数いたことを批判し、改めて「放送による表現の自由は憲法第21条によって保障され、放送法は、さらに「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」(第1条2号)という原則を定めている」ことを述べ、放送法で言う「「放送の不偏不党」「真実」や「自律」は、放送事業者や番組制作者に課せられた「義務」ではない。これらの原則を守るよう求められているのは、政府などの公権力である。」と正している。20世紀末の日本でのバブルの時期から政官財のモラルが大幅に崩壊し、以後、そのモラルハザードはさらに各界に広がって行った。中でも国の根幹をなす政治のそれは目を覆うばかりである。近代国家の要件である合理的法律がことごとく無視されるに至っている。憲法の曲解が平然と行われれば、放送法の曲解など容易だろう。福島第一原発事故は官僚と電力会社が何も責任を取らないことを露呈させた。経済界の不祥事も後を絶たない。ヴェーバー的な視点から見れば、歪みのある官僚制と合理的法律の崩壊した日本では資本主義すら成立しないことになる。漂流し始めた日本と言う国はどこへ流れ着くのだろう。
家の近所の紅葉