午前中は気温も上がり日も射していたが午後からは薄い靄のようなものがかかり気温がずっと下がって来て、空気が冷たくなって来た。職場の匠の方からこれがこの地方で言われる「やませ(山背)」だと教えて頂いた。オホーツク海の冷たい湿った風が海から陸に向かって吹いて来る。北海道や東北の太平洋岸で見られる気象現象だ。登山中に出会う霧のような感じだ。釜石の旧商店街のある被災地域ではここ2~3週間でやっとガスや水道が使えるようになったようで、電気も4月末までかかったそうだ。水道が通るまでは風呂にも不便だったと聞いた。海岸に近い嬉石地区の高齢の被災者の方の話では避難所の小学校にはまだ仮設住宅に入れていない人たちが十数人残っていて、中には小学生や中学、高校に通う生徒たちもいるようだ。その子供たちに今ストレスがかかっていると言う。それまで通っていた学校へ行きたいにもかかわらず、仮設住宅によっては転校をせざるを得なくなる。友人や先生とも別れなければならない。そのことを考えると夜も眠れない子がいる。残念ながらそうした事情をも踏まえた仮設住宅の選定は行われていない。あくまで「公平」を来すために抽選が優先されている。市当局にしてみれば場所と仮設住宅の戸数に限りがあるためやむを得ない処置なのかも知れないが。被災地域を抱える市町村の救急出動の6割は避難所や仮設住宅からの要請だと言う。現在は圧倒的にそうした被災者の方々の心身の不具合が多く発生していると言うことなのだろう。せめて避難所や仮設住宅への心身のサポート体制をしっかりと作り上げてもらいたいものだ。各避難所の近くに作られた仮の診療所も他県から応援に来て頂いていた医療関係者により維持されて来たが、それも今月一杯までのようだ。釜石では避難者がすべて仮設住宅に移るのが八月末になる予定だ。七月からはこまめな医療体制はむしろ縮小される。こうした医療的な支援も本来ならば長期的に必要なのだが。特にこれからはメンタル面でのサポートが非常に重要になって来る。単に薬を処方するだけの「心のケア」ではなく、相手の話を十分に聞き、適切な対応のできるカウンセリング体制が必要になる。U先生たちのようなカウンセリングを通じて少しでも落ち込んでいる被災者が立ち直ってくれればいいと思う。著名人が訪問することでわずかでも気分が高揚できるのであれば来訪にも意味が出て来るだろう。被災者の人たちは「何故自分たちだけがこんな目に会わなければならないのか」という憤懣が根底にあるように思う。偶然だが話を聞かせて頂いた嬉石地区の高齢の被災者の方が避難されている小学校へ今週半ばにアテネオリンピックの金メダリストである米田功選手が慰問に行かれることになっている。残念ながらその方のお孫さんの一人はちょうど修学旅行で不在なのだ。仮設住宅や避難所が校区外になったために別の小学校へ移った生徒も多く、その小学校の生徒数もかなり減っている。少しでも米田選手の訪問で元気付けられればと思わずにはいられない。
早池峰雪割草(はやちねゆきわりそう) 岩手の霊峰早池峰山に咲く雪割草