昨年以来日本では円高が継続している。現在おおよそ1ドル=90円のレートになっている。通常は経済が拡大しているいわゆる景気のいい国の通貨が高くなる。しかし日本の現状はけっして景気が良いとは言えない。むしろ景気面では悪い数字の方が多い。にもかかわらず円高が続くのは逆にドルを通貨とする米国の景気が日本よりずっと良くないことが大きく影響している。米国は巨大な財政赤字を背景にドルへの信用を危うくしており、もはや自国の税収だけでは支えきれずに国債を購入してもらうことで財政を支えている。この国債の米国外の最大の購入者は過去には日本であったが先年中国が日本に取って代わり、米国債の最大の保有国になった。しかしここに来て若干情勢に変化が現れた。先月17日の時事通信によれば2008年8月以来、1年4カ月ぶりに再び日本が中国を抜き米国債の最大の保有国となった。「日本は2カ月連続で米国債保有高を増やした一方で、中国は保有高を削減してきて」いるとある。「中国による保有高削減は、外貨準備の運用先多様化の一環とみられる。」が、「ただ、対中ダンピング(不当廉売)調査など通商政策をめぐり米側の厳しい対応が目立ち始めた昨秋以降、米国債の保有高削減が一段と加速している。」として米国の中国に対する厳しい姿勢への中国側の報復の可能性を暗に指摘している。3月9日China Press 済龍は、中国人民銀行の副総裁でもある中国外貨管理局の易綱局長が最近中国が、保有する米国債を急激に減少させている件について、「米国債の売買は外貨管理局が行なっている市場投資行為の1つに過ぎず、同件を政治問題化することは望んでいない。」、「中国の米国債売買はまったく正常に行なわれている。」と強調したとの記事を載せている。また新華社は同日、易綱局長がまた「金相場は過去30年間乱高下し、投資商品として大きな収益はなかった。中国は市場の状況を踏まえ、金の買い増しを慎重に考える」と表明したと伝えている。これら一連の発言は中国が米国債の購入を控え、金購入にシフトしたのではないかという憶測を否定するためのものと思われる。さらにロイター通信によれば14日に中国の温家宝首相は全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の閉幕にあたって記者会見し、海外からの人民元切り上げ圧力に反発するとともに、最近の米中間の問題をめぐり、米国を非難した、と伝えている。現在中国は日本や欧米の経済悪化を尻目に経済成長が進んでおり、人民元の実際の価値より低く設定されているため、中国の輸出に有利で他国の輸出に不利になっていると欧米から見られている。同首相は同じ全人代で2010年のインフレ目標を約3%に設定するとも表明している。中国は今や米国従って世界の経済に対して大きな鍵を握っており、内には自国経済の成長とともに生じるインフレを抑制しつつ、外にはドル崩壊に警戒しつつ米国債の保有量を調節しなければならない。インフレが急激に進むようなことがあれば中国は他国から言われなくとも人民元を切り下げざるを得なくなる。一方、ドル崩壊に向けての準備も裏では十分対策を執っているものと思われる。外貨準備を着々と資源に換えていることは以前にも記した通りだ。

馬酔木(あしび、あせび) 枝葉に有毒成分を含んでいるため馬が食べると酔って足がなえることから名付けられる

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